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ぽんちゃんことぽんた

ぽんちゃんは、生まれて(おそらく)3ヶ月の頃、島の南側の海辺で迷子になっているところを保護されました。

私は子どもの頃、「トンコ」や「ねね」「べんけい」という代々の猫達と暮らしていました。
けれど二十歳以降は、猫を飼うことができませんでした。
数十年が過ぎて、念願の古民家一人暮らしという夢が叶って幸せを実感した時、もう一つの夢を思い出しました。

そう、猫と暮らすということ。

自由を思う存分楽しめるんだとワクワクしてきました。

大袈裟かもしれないけど、私の自由の象徴、しがらみからの解放の象徴が猫と暮らすことでした。

友だちを通じて、海辺で育った保護猫ぽんたを家族に迎え入れました。
名前の由来はたぬき。
この島は昔からたぬきが多い島だから。それと、「ぽんちゃん」って呼びやすいなと思ったので、名前はぽんたことぽんちゃんに決まりました。

初めて会った時、そのハウスに保護猫はぽんちゃん一匹だけ。猫を「選ぶ」という選択肢は無くて、出会いがそのまま家族への迎え入れでした。
ぽんちゃんはケージの中で、白い両手をちょこんと揃えてハンモックに乗っていました。シャーって言ったけどそれもまた可愛い。その場で家にお迎えすることに決めました。
チャームポイントは、白ソックスの両手と、クルクルの目と、長い尻尾と、背中にあるお星様のような白い点。

抱き上げると見た目以上に軽い。
そ〜っと撫でてみる。
久しぶりに猫を抱く感触を楽しみながら、お家に連れて帰りました。

その後、すぐにご飯を食べて、お水も飲んで、ウンチもオシッコも上手にできたお利口さんでした。
少しずつ距離が縮まっていって、今では首の上で寝たり、腕枕で寝たり、足の上、お腹の上などところ構わず乗って来て、てろんてろんと寝てしまう甘えん坊です。でも、三歳になった今でも、怖がりで内弁慶。家族以外にはシャーシャー言うところは変わりません。

仕事を終えて帰り道、ぽんちゃんが家で待ってるなと思うと運転しながらニヤニヤしちゃうくらい嬉しい気持ちになります。

玄関を開ける音が聞こえたと思うと、いつも同じくらいのタイミングでにゃーんと鳴いて縁側からキャットタワーをトントントンと駆け降りて来る音が聞こえます。
そして、玄関の中のガラスの引き戸の前で待ち受けて、尻尾をプルプル震わせながらスリスリしてくれます。
ただいまと言うと「ただいま」と言ってくれる。
変わったこと無かった?って聞くと「にゃい」って言う。
食べる?って聞くと「たべる」と言う。

こだまでしょうか。
いえ、ぽんちゃんです。

一通りぽんちゃんのニャアニャア報告を聞いてやっと一息。そうするうちに仕事の疲れもほぐれていくのでした。

#猫と暮らす幸せ +#エッセイ

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