いい椅子。 #エッセイ
ショッピングモールのフードコートでちょっと良さげな椅子に座った。
良さげだったけど、ポキって背もたれを折ってしまいそうな感じのデザイン。
最初は普通にもたれていたが、途中からこれ折れるんじゃないだろうか、と不安になってきた。
プラスチックでできていて、頑丈そうではあるけど、持ち運びやすいように軽くしてあるのか、その軽さが怖い。
本当にこの背もたれ本体と繋がっているか?とちょこちょこ振り向いてしまう。
隣のテーブルに座っていた小学生もチラチラと後ろを振り返っている。
私は20なんぼにもなって小学生と同じこと心配しているのか、と思うと少し冷静になった。
ショッピングモールが折れたりするような椅子をこんなに堂々とほったらかしていないだろう、と思い直して素直に背もたれにもたれ掛かる。
が、やっぱり折れそうな気がする。
折れそうというより、座り心地が良すぎて本当に背もたれがくっついているか心配なのかもしれない。
ショッピングモール効果なのか、ほんとに座りやすい椅子なのか分からないが、存在感がない椅子だった。
本当にいい椅子というのは、存在感がないほどしっくりとくるものかもしれない。
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