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先制点を入れたほうが7割勝つ。

「逆境に打ち勝つ」、「不可能を可能に変える」、「変革者」、「最下位からトップへ」。よく目にするストーリーだが、すべてフィクションだと思った方がいい。ダメなものが一夜にして最高になるというのは、人の感情に訴える手法だが現実にはなかなか起こらない。

野球でもサッカーでも、先制点を取ったほうが7割の確率で勝つ。つまり、先制点が入るまでが最も緊迫した真剣勝負なのだ。そのあとは、先制点を取った方が心理的にも統計的にも圧倒的に優位。上記のような「逆転ストーリー」が目立つのはそれだけ珍しいからであって、狙ってできるものではない。

ものすごい当たり前のことだが、自分に都合の悪い状況には目を向けないものだ。仕事でも、恋愛でも、スポーツでもなんでもいいが、自分に圧倒的な自信がある人ばかりではない。どんな人だって苦手な人やシチュエーションがある。つまり戦う前から気持ちで負けている。月曜の朝、営業の詰め会、上司との1オン1、客へ謝りに行く。負け戦と知りながらそれでも戦わないといけない状況が我々の日常だ。だから希望を持つ必要がある。そこで大逆転ストーリーが支持されるようになるわけだ。

負け戦がほんの一時的なことなら大抵の人は耐えられる。やり過ごせばいい。でも、その終わりが見えなかったらどうだろう。仕事のすべてが不可能なほどの点差をつけて負けているように感じられたらどうだ。大逆転の可能性に賭けてしばらく走り続けることはできるだろう。しかし必ず現実に直面するのだ「先制した奴が7割勝つ、今勝ってるやつがやっぱり勝ち続ける」。面白くないが、それが現実だ。

私はしばしばそういう経験をしてきた。そういう時にできることはただ一つ。仕事をリセットすることだ。つまり、異動する、辞める、転職する。自分から状況を変えるのだ。まだ先制点を入れられていない、五分五分の状態まで戻してやるのだ。それだけで人生は晴れやかになる。勝率が2割とか3割の状態で長いこと働くことは自分の人生を豊かにしない。

投資で逆張りは危険だ。資金が尽きても夢を見続けてしまう。投資はお金の問題だが、仕事はお金だけじゃない。自分の貴重な時間を最も多く使う場所だ。人生の質そのものなのだ。他の誰でもなく、自分の内なる声によく耳を傾けるべきだ。

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