見出し画像

高校生模擬裁判選手権を傍聴しました

先日、ある地裁で高校生の模擬裁判の大会がありました。
人生の中でこういうイベントは経験してこなかったので、最初に知った時はちょっと不思議な世界でしたが、これがなかなか気合の入った取り組みです。

この大会は、1つの刑事事件を題材にして、高校生自身が「検察官」「弁護人」になって、争点を見つけ出して主張と証拠を整理し、証人尋問・被告人質問・論告弁論を準備した上で、本番では実際の訴訟活動を行うという「実演型模擬裁判」の選手権です。(略)
事実を的確に把握し多角的な視点で考える力、事実に基づいて論理的に意見を構成する力、意見を分かりやすく他者に伝える力を育成することや、問題や課題を法に基づいて主体的に解決することに関心を持ち、積極的にその過程に参加する態度を涵養することなどを狙いとしています。

日本弁護士連合会


私は午後の一試合のみ傍聴しましたが、みなさん堂々としていてすごいんですよ。
なにより実際の法廷を使っての大会は貴重な経験になるでしょうね。
個人的には、色んなジャンルの方が審査に参加されていてワクワク感がありました。裁判官・検察官・弁護士・ロースクールなどの先生・司法記者、それぞれの立場による視点からの意見を聞ける機会としても貴重でした。普段の法廷では別々の立場にいる方々が一緒になって大会を開催している、そのことにキュンとします。…というのはちょっとマニアック?笑
講評に出てくる話題から、いつも見る裁判官がラガーマンだったことを知ったり、法廷では威圧的な検察官の表情が柔らかかったり(当たり前か)。
法曹関係の方って遠い存在だと思っていたけど、人柄が垣間見えることで司法自体の距離が近くなった気さえします。

そして傍聴しながらあれこれ感じた内容が、審査員の講評の中でもで取り上げられたことで考えを整理できたし、みなさんの伝え方も優しさ、厳しさ、期待などがつまっていて勉強になりました。
実は以前、別の大会で審査員役をさせていただいたことがあって(これがとっても難しかった!)その時にふわっとした講評しかできなかったかも…と申し訳なくて。思うだけじゃなく、相手に伝えられるようになりたいなぁ。

ちなみに今回の題材は、レゲエのクラブなどを経営する男性が被告人。男性が、出所して行き場のない後輩に自分のアパートを無償で貸し、後輩がそのアパートで販売のために大麻を栽培したのが発覚したため、共謀が疑われるという事例でした。

講評にも出ていましたが、「レゲエを突き詰めているなら大麻とも親和性が高いはず」とか「仕事も順調で結婚して子どもが生まれたばかりだから犯罪などするはずがない」など、バイアスに基づいた考えの危険性について指摘されたことを、参加者の方々が振り返ってくれたらいいなぁと思います。
私自身日々の生活の中でやってしまうこと多々あり、そのたびに反省するところでもあります。この歳になってやっとですが、気づけるようになっただけ成長。一歩一歩ですよね。
特に裁判では、検察は証拠に基づいて立証するということが絶対求められます。思い込みでストーリーが作られることがえん罪につながることもありますからね。

参加した方が法曹をめざす人ばかりでは無いでしょうけど、「法教育」によって、司法をチェックする目を持つ人が増えたらいいなと思います。

よろしければサポートお願いします。休憩のお茶代にします。