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どこからが空なのか、言われてみれば

第一話第二話と、自分語りが続いてしまったので、
今後はいろいろなジャンルについても投稿していきたいと思う。

今日のテーマは広告ということで、
自分の好きな広告を紹介したい。

とはいえ、広告ミーハーの僕にとっては、
たっくさんあるので、今後もシリーズ化予定。

記念すべき1個目は、
僕が広告コピーに興味を持つきっかけをくれ、
現在いる博報堂のクリエイティブに憧れるはじまりを告げてくれた、
細田高広さん(TBWA/HAKUHODO)のとある居酒屋のポスターのコピー。

その居酒屋とは、
千歳船橋にある五明(ごみょ)という店。

前述の細田さんが、
アートディレクターの小杉幸一さん(博報堂)と、
店主のつながりから始まったポスター制作とのこと。

早速だがその広告はこちら。


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そういえば、

どこからが空なんだろう。


親友の真里子が結婚する。
高校の仲良しグループで、未婚者は私だけになってしまった。
いや、いいのだ。仕事に生きるのだ。
と、数年前までは開き直れたけれど。
ファッションの仕事は、年齢に厳しい。
若い子に囲まれて、近ごろ私は、浮いている。

この先どうなるんだろう。幸せって何だろう。
焼き鳥をかじり、ビールで流し込む。
考えごとですか、と聞いてきたのは店の主人。
「どこから空なんだろうと思って」とふいに私は答える。
子どものときから、ずっと疑問だった、
私の頭の上と空はつながっている。
だけど、それが、どこからはじまるのか。
教科書には、書いていない。

「飛びたいと、思う高さからですかね」
グラスを拭きながら、主人は答える。
禅問答みたいな回答だけど、私には響いた。
そっか。空の高さは、みんなにとって違うんだ。
くらべるより、どうなるかを思うより、
どうしたいか、を考えればいい。
そう言われたようで、少し気が楽になった。

残っていたビールを飲み干す。
頭の中では、勇ましい鷹が空を飛んでいた。

今宵も、一杯。
五明

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初めて読んだ時の自分もそうだが、
今の自分が読んでも、
この広告は本当に心が動かされ、大好きである。

会ったこともないこの物語の主人公だが、
仲良しグループでの未婚だったり、
仕事に生きるんだって、思い立ったり、
共感ポイントがとても多い。 なんなら一回デートにいきたい。

たったこの一枚の広告でこの女性の背景の物語までいろいろ想像できる。

心が動かされる広告は大抵すべてを語らず、
その物語の背景まで思いが巡るものが多い気がする。

最近読んだ、はあちゅうさんの新著『婚活っていうこの無理ゲーよ』の、
婚活三人組の婚活レースを通じて各々の人生のしあわせを見つけ、納得して前を向いて生きていく、、というストーリーに通ずるような、
「人生とは」「結婚とは」「しあわせとは」を悩む女性の情景が思い浮かぶ。

▼写真はこの前の朝渋でのはあちゅうさんのイベント


そして特に好きなシーンが、

この先どうなるんだろう。幸せって何だろう。
焼き鳥をかじり、ビールで流し込む。
考えごとですか、と聞いてきたのは店の主人。
「どこから空なんだろうと思って」とふいに私は答える。

という、部分。

本当にその悩みわかりすぎるくらいだが、
主人公の女性に対する下記の言葉が、またよきなのである。

「飛びたいと、思う高さからですかね」

グラスを拭きながら、主人は答える。

禅問答みたいな回答だけど、私には響いた。
そっか。空の高さは、みんなにとって違うんだ。
くらべるより、どうなるかを思うより、
どうしたいか、を考えればいい。
そう言われたようで、少し気が楽になった。


そっか、空の高さはみんな違って、
人とくらべるんじゃなくて、
自分がどうしたいか、
それが大事なんだなって、思わせてくれる。

このコピーは、広告業界に入って悩んでいた頃、
「僕はぜんぜんおもしろい仕事ができていない」
「同期ばっかり大きい仕事していてうらやましい」
「クリエィティブに関わる部署には入れなかったから仕方ない」
と、うじうじしていたときに背中を押してくれていた。

大抵悩んでいる時って、だれかと比べて劣っていたりとか、
自分はどうなってくんだろうという不安だったりが多いけども、
このコピーを読むと、「そっか、結局は自分がどうしたいかだわ。」
と、毎回のようにハッとさせてくれる。

そしてなによりも、居酒屋のコピーである。

残っていたビールを飲み干す。

頭の中では、勇ましい鷹が空を飛んでいた。

この2行がもう、
まるで文章を読むと同時にビールが喉を通るかのような、
読後感が最高の喉ごしである。

何度このコピーを読みながらビールを飲み干して、「がんばろう。」
と思わせてもらったか。

▼最高にうまかった初めてのADFEST@パタヤでのシンハービール

そんなぼくが感じたような原体験を、
これからも仕事を通じて多くの人に作っていけたらいいなと思う。
そして、いつか僕もこういう物語のあるコピー、書いてみたいなと思う。

今日はここまで。

あ、みなさん、僕と五明、いきましょう。


さぁみんな「この指とまれ!」