リビングデッド

 その日は起きたときから何もかもが最悪だった。

 まず、身体が動かない。なんか怠い、まだ寝ていたいとかではなく動かないのだ。

 頭は起きているが身体は起きていない。そんな覚醒状態で10分ごとに鳴るアラームをとめる。

 一時間後、尿意がピークに達した。鷹を駆らなければ、熊を駆らなければ。

 身体は案外簡単に動いた。何とか動かすことができた。だが身体は動くことを拒否するかのように心筋以外の筋肉を動かすのを放棄している。油断して力を抜けばその場に倒れ込んでしまいそうだった。

 大学なんて休めばいいのに、哀れな完璧主義者は欠席したくないようで、こんな状態で大学に向かおうとしている。

 最近発売されたamazarashiの「リビングデッド」を聞きながら準備をする。
 (リビングデッド リビングデッド 人生を無為に徘徊して)

 自転車に乗っているとき過呼吸になりそうになりながらも何とか堪え、大学の講義室についた頃には身体の調子が戻っていたかというと全く戻っていなかった。

 汗が止まらない、変な汗だ。

 地震が起きてる、震度2くらいの地震がずっと。実際には自分の心臓が大げさに動いて、僕の身体をずっと揺らしていたということにすぐ気付いた。

 筋肉は未だ心筋以外自分で動かさないと動かない。一瞬気を抜いただけで椅子からずり落ちそうだ。

 こんな状態で講義を2つも受けた。これは褒めてほしい。凄すぎる。馬鹿だ。

 家に帰ってすぐに布団へ。何故か自分が何を考えているのか全部誰かに話してみたくなっていた。

 話し相手なんて当然いないので、Twitterを開いて思ったことをそのままツイートした。こんな時でも言葉を選ぶ余裕はあったようで、とんでもないことは言わなかった。

 いつの間にか寝落ちしていた。身体は普段の動きをしてくれていた。

 枕元にあったスマホを開くと、友人からのLINEが一通。

「なんなの? なんで嘘をつくの?」

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