脊髄梗塞発症から6年。病気障害によるお困り事を、私なりに考えてみました。

令和元年、相変わらず超マイペースな私、マルですが、宜しくお付き合い願います。最近、ネット上に脊髄梗塞患者の投稿が目に付くようになり、そのユーモアに溢れた表現に感心させられて私も重い腰を上げてみた次第でした。
 最近とても驚かされたことは、令和初の参議院選挙のこと。比例区で初めて、重度障害のあるお二人が当選されました。それに伴って参議院では急遽、電動車椅子や医療器具等の対応で本会議場の改装を行いました。さらに、移動手段もようやく公の場で具体的な支援が形作られ、バリアフリー化が進みそうです。お二人の勇気ある行動に称賛と敬意を。そして障害者の生の姿、苦悩、底力を多くの方に知ってもらい、障害者の社会参加を加速する良いチャンスを作って頂いたと嬉しく思います。付け加え、お二人に常に寄り添って介助を行う方が、どんなに大切なお仕事を担っているかをも、多くの人々に理解して頂きたいと思いました。

 さて前回予告していた私のお困り事や考えていることを取り上げてみます。突然に脊髄梗塞を発症し、下半身不全麻痺となり、身体障害者になった私の心配事、困っていることです。

1.障害者雇用問題は大切。若者への中身ある支援を長いスパンで。

中央省庁で8割に及ぶ障害者雇用の『数合わせ』が発覚。障害者がおかれている状況の一部が世間に知られる事となりました。個人的には今騒がれている年金問題「人生100年時代、老後2,000万円貯蓄」より、障害者雇用は大きな問題だと思います。(生意気のようですが、私は50代からやむを得ず年金生活を経験しているのでそれ程驚きませんでした。)障害者の就労は、国の財源を将来的に押し上げる事に繋がると思うので、大切な問題だと思うのです。
 私の病気では、痛みが強く、落ち着かない状態が2~3年程あり、退院後の在宅生活で少しずつ行ってきた家事が身体に良いと感じました。体調がだいぶ落ち着いてきたところで、「自家用車を運転して外に出てみよう。」と思った時期もありましたが、夫は『無理するな。俺が送り迎えするから』と言う。金銭面のこと、家族にこれ以上心配を掛けないで欲しい…との想いもあったかと思います。そして、三食昼寝つき、手抜きOKの専業主婦モドキをさせてもらっております。夫も還暦を過ぎ、将来の不安はぬぐえませんが、考えてもキリがないと断念しました。
 
 そんな私が訴えるのもなんですが、どうか若い方への就労支援を。『就職したらOK』みたいな形ばかりではなく、長いスパンで。やりがいをもってお仕事が続けられるように支援して欲しいのです。障害者の就労支援はとっても難しい。断念したくなることもあるかもしれません。しかし、障害者にも出来る事があるはずです。だから諦めないで。もう一歩、環境を整える配慮を行って頂けたなら、また一つ、出来る事が増えると思うのです。
 残念なことに、仕事に就いても辞めて引きこもりになる方も多く、社会問題にもなっています。気付かれずにいる方も多いそうで、生活もままならないかもしれません。
 社会全体で継続的に支援し、ほんの少しでも手を差し伸べて頂いたなら…。例えば、横断歩道で立ち往生している人をあなたが手招きするだけでも、社会へ出られる方が多くなる。社会が明るくなると思うのです。(そう言う私も引きこもりですが…(^_^.)家族が、スタッフさんが、助けて下さって生きており、有り難いです。だから私も少ない年金から生活費を入れることにしておりますよ。)

2.難病稀少病でも気負わず、自然体に生きよう。

 難病稀少病は世界中で数えられぬほど多くあることが知られていますね。脊髄梗塞も珍しい病気で、病気の診断が難しく、原因も不明、治療法も確立されていませんので、難病稀少病に含まれるようです。
 私の症状は両下肢不全麻痺、温感麻痺、多少の感覚がある程度。ベッドの柵に手で掴まり寝返りを、移動は車椅子ですから、ベッドと車椅子の上にいる生活です。四六時中、腰から足の指先にかけて痺れ、痛みがあり、鎮痛薬等の副作用もあります。脊髄は中枢神経ですので自律神経の不調も大きい。気候の変化について行けず、体調不良になることもしばしば。最近は足の浮腫みも心配しています。そして間接が弛く、筋肉がつきにくい。左右のバランスが悪い状態ですが、リハビリを行っても思うほどの改善は見られませんでした。
 最初は辛く、受け入れられませんでしたが、今は慣れました。痛みの緩和、現状維持に勤めております。快眠、快食、快便、清潔が基本で、これが本当に大切だと思います。体調を見ながら自分なりに工夫して環境を整え、家事をこなすようにしています。でも、自分で何でもやろうとしない。出来ないことは諦める。気負わず生きるのも良いと思うようになりました。片意地を張らず自然にまかせても良いかな、っと。

3.脊髄梗塞のリハビリ入院は6ヶ月間。特例はなし。

 脊髄梗塞は特定疾病、難病に認められていないため、医療保険内の療養型リハビリ、サービスが主です。
昨今は種々リハビリマシンがあり、自分に合うリハビリはないか、利用出来るサービスはないかと模索しましたが、特例はありませんでした。無論、リハビリマニュアル等も確立されていませんでした。そして、退院後の通院リハビリも出来ないと言われました。体は辛く、動かぬままで、『出来ないのなら諦めよう。』と、考えも後ろ向きに…。
 しかし、回りを見渡せば多くの支援者、家族が寄り添っています。病気障害をもつ次男が、6年経った今でも時折、朝に軽いリハビリのような事を施してくれています。『逆に私は幸せ者じゃないか!車椅子生活でもまぁ良いか!』と。なにか辛いことがあってもウジウジしないで、逆の見方をしようと思えるようになりました。車椅子から見上げる景色もなかなかなものですよ♪強がっていますが、表情にっこり(^_^)

4.障害者福祉用具サービスは全て個人負担。リース枠がありません

 福祉用具の購入に対する補助事業は、障害者手帳を利用して市区町村に申請。認定を受けたら一旦は自分で全額を支払う。後日、その9割が自治体から返金される仕組みです。1割負担は有難い!その人に特化した用具が購入できる事が利点です。しかし、”リース枠”が無いので初期投資が膨大になることも。補助にも上限があり、越えた分は全額実費ですので、自分に本当に合う福祉用具が買えないこともあります。最近は福祉用具も種類が豊富にあり、モジュールなどで整える方も増えているようですが、どの製品も「高額だ!」というのが本音でしょう。
 さらに、用具が壊れた等で再購入する場合にも補助には規定があり、私の車椅子の場合は購入してから6年後となります。その間、体に変化が見られた場合の申請にも、色んな縛りの中で利用しなければなりません。
それに、介護保険にはある”定期メンテナンス”が障害者自立支援にはありません。補装具を体の一部にしている障害者にとって、壊れてから申請して修理するのでは困ります。私は、福祉用具店からその都度代替え品をお借りして何とか対応していまして…。『ですから、助かります。』助け船を出してくれて、時には使用したことのない用具を試させてもらったりしています。

5.医療-福祉-行政のネットワークに、力不足を感じます。

 マイナンバー制度ができても手続きにスピード感がないように思います。日曜日、祭日、それに仕事帰りにも手続きが出来たら良いのに…。私は自分で申請に行けないため、夫の手をわずらわせてこの6年を生活してきましたが、この生活がいつまで続けられるのだろう…。将来は息子に頼むしかないのかしら?親は、なぜか子供に負担をかけたくないもの。聞くと、代理人にお願いする方もいるようです。一人暮らしの方は行政の人がサポートしているのでしょうか。現代はネット社会ですし、スマホなどの手続きも視野に入れて欲しいですが、セキュリティの問題は大きいですね。

 それにしても医療-福祉-行政のネットワークの弱さは考えずにはいられません。すでに病院間ではカルテが共有されていたりしますが、まだまだ分野の垣根は高く思えます。
 例えば、介護等で使われる”サービス計画書”は決められた項目はあれど、事業所ごとに様式が違うようです。それでは電子化しても、ひと手間加えなければやり取りが難しいでしょう?国が統一したもの、様式を決めるのはどうですか?情報共有、事務処理が一層スムーズになると思います。マンパワー不足、個人情報の保護などで簡単ではないのかもしませんが、これからはAIを活用する時代。効率化と人手不足の担い手になると思いますのでしっかりと構築し、1人でも多くの方を元気にしてもらいたいですね。

6.社会のバリアはいつ解ける?

 地方はバリアフリー化が遅れがち。私は車椅子での移動や障害者用トイレを探すことに苦労し、結果自宅に引きこもり。社会参加は難しくなりました。それと、困難を乗り越えられた方々に失礼ですが、男女の体力差はあると思います。自力での外出は断然、男性が多いように思うのです。扉の向こうにはバリアが張り巡らされ、身体がついて行けません。
2016年に障害者差別解消法が施行。そして、2020年のオリ・パラリンピックを見据え、バリアフリー法、ユニバーサル社会推進法が成立したそうですが、環境整備はまだまだこれからなのか、障害者への偏見もあるように思います。なのであえて深く考えず『今出来る事をしよう。いける所に行こう。人の目は気にしないようにしよう。』と思っています。

7.障害者の『65歳問題』利用料金、サービスの変更。

 現在は障害者自立支援サービスと医療サービスの併用が出来ていますが、65歳になると介護保険が優先されてしまいます。つまり、併用できた2つのサービスが1つにまとめられ、支援区分枠をオーバーしてしまう可能性があります。最初は障害者自立支援サービスより介護保険の豊富なサービスに魅力を感じた時もありました。ですが、少ないサービスの中、公私を含めた多方面のサービスを利用することで上手く利用する術を知り、今は生活が安定してきました。
 介護保険は、介護度の高い方ほど限度枠が大きく、様々なサービスを利用できます。しかし、仮に障害等級が重い人でも環境を整え、努力して出来ることを増やしたとすれば介護度は下がり、サービス枠は少なくなります。障害と向き合い出来るようになったことで、かえってサービスが足らなくなる場合もあるのでは…。現在利用しているサービスが利用出来なくなるのは大変困ります。(障害者自立支援サービスでも、区分でサービス枠が決まってはいましたが、緩やかに色んな制度を選択することが出来たように思います。)
 となれば、介護保険はあえて申請せずに、現状の2つのサービスを利用する方が良いのでは?!しかし今は超高齢化の時代で支援を求める人数はうなぎ上り。国の障害者関係予算が2兆円を越える中で、現在の仕組みが続く保証はないだろう…と不安になります。介護保険で給付対象外となるサービスを自治体財源から補填して提供できる”横だしサービス”というのもあるそうですが、これも確実性にかけ、オーバー分は実費になるのではないかと…。そうなると、年金暮らしでは受けられるサービスが限られてしまう。

 さらに、現在は全額行政負担で支援専門委員が作成している”サービス計画書”が、将来的には利用者負担になるかもしれない。介護負担も1割⇒2割⇒3割と年々増え、高齢者/障害者の負担が増々重くなっている。それに伴って利用控えが出て、生活がより一層苦しくなるのではないか。どうしても出来ないことがあるから、私もサービスを利用しているわけで…。老化は進むばかりですし。どうしたらいいですか?逆転の発想はありますか!?皆さん、教えて下さい。お願いします。

8.社会参加、活動を外に

 人それぞれの思い、体力、保有財産、置かれた環境で目標は異なります。少ない力でも周囲の協力を得ながら、工夫して生活している方も多いそうです。こうして更新しているブログについても、作成にご協力頂いているTさんとのやり取りは、周りのお力を借りて出来たと思い、本当に感謝しております。
 外に出るには介助が必要な私です。頼み夫も、重たい車椅子を車のトランクから出し入れすることがいつまで出来るのか…。それは元より、夫はいつまで運転できるかしら…。介護タクシーなどの輸送サービスも予約が一杯と聞きます。新聞を眺めていると、超小型EV車の実用化をトヨタ/ホンダが研究しているとの記事を発見。二人乗り、60km/h走行、満充電で約100km走り、高齢者、運転不慣れな人、車椅子の連結をも考えているそうです。車椅子の場合、普通車が収納に良いと言われている中で、逆に超小型車♪興味深いですが、お値段が気になりますね。

 助けを必要としている単身世帯も社会問題とされています。その中でも、障害者ほど一人暮らしが多いように思います。「地域コミュニティが要。」と言われて久しいですが、いざというときに十分機能するか否かは…中々難しいのかなと思います。
 友人から『とあるお年寄りの話』を聞きました。ある日、大きな地震がきて津波警報が発令された。地域の人たちが高台へと非難する中、その方は一人暮らしで、足も不自由なこともあって高台に逃げる事ができず、自宅に待機するしかなかった…。幸いにも事なきを得たとのことでしたが、怖かったことでしょう。もし私の住む地域で避難するような災害が起きたなら、私も自宅待機しかできない。そう思うと、『ぞっ!』とします。「早め早めに避難を!」と声掛けされても回りは高齢者ばかり。避難もままならないでしょうし、そう言うならどうして避難訓練に高齢者や障害者が参加していないのでしょうか?避難に難しい障害者、高齢者はどうしたらよいでしょうか?
  「個人情報保護の観点から地域で情報共有が出来ず、避難者の支援が遅れて救えなかった…。」という報道を聞いたことがあります。そう考えると私の場合は逆に、しかるべきところでは要支援者として情報の共有を望み、支援をお願いしたいです。弱者が置いてきぼりにならないようにお願いしたいですね。

9.オンリーワンでは足りない。補装具も使用目的、体の変化で変えるべき。

 私は起立性低血圧のため、車椅子の背もたれが後ろに少し倒れています。軽いリクライニング状態とイメージするとわかりやすいかと思います。体力がついて姿勢が保てるようになっても、車椅子を変える事ができず、移動の度に背中が反り返り、腰にも負担を掛け、よくよく痛みがありました。移動する時も、ハンドリングの位置が通常より後ろにあるために力まなければならず、切り替えも大変。買い替えを考えましたが車椅子はやっぱり高い!前述しましたが、再購入で補助制度を利用するために6年間我慢することにしました…。とはいえ体は悲鳴をあげるので、背もたれにクッションを入れてしのいでいますが、十分とは言えない。実際、千挺間節痛、腰痛、肩こりがひどく、ブロック注射を何度も打っており、これも車椅子生活の宿命だと諦めています。
 支援を受ける中である物を代用したり、工夫したりして生活する必要があると知りました。福祉用具について相談した時に、”さじ加減”が大切だと教えて頂いたこともあります。こちらを良くすれば、あちらが困る。重心を前にすれば作業がしやすいが、安定感が損なわれる。料理の味付けのように甘い辛いも”さじ加減”。昔の人は良いことをおっしゃったものだと思います。

 また、補装具は主に何処で使用するかで選ぶと良いと教わった事がありますが、逆にお尋ねします。『あなたは外ばきと、内ばきを使用していませんか?!障害者は一組で足りるのですか?』専門家も、利用者の思いに近づこうと努力されているようですが、法的枠によって2つを手にする事はできませんし、求めれば個人の負担が増すばかり。
 思い出してみてください。過去に、メガネを掛ければ障害者のように見られていた時代がありましたが、今はそう感じることはありません。視力低下が国民病になりつつも、工業化と流通が後押しでメガネ・コンタクトは気軽に手に入り、ファッションでかける方も多い。人々の価値観までもが変わりました。そんな風に多くの補装具が、今よりも簡単に、安価に手に入る時代が来てほしいです。障害があっても「少し手助けをした」「補うための道具を用意した」ぐらいに思って頂けたなら障害者差別解消法は普通のこととして展開され、世の中のバリアはもっと少なくなると思います。障害を”その人の個性”と表現し、『共存社会の推進を…。』と耳にすることがありますが、この言葉は違うモノと違うモノを一緒くたにするように聞こえて、私は違和感を覚えます。バリアフリーとは、普通の生活を誰もが営まれる状態のはずですから皆同じはず。特別のことではないのですから、もっと心のバリアを外し、普通に生活が育まれる世の中になって欲しいです。

~お困り事はこれからも次々と出て来る事でしょう。体は不自由ですが、心はしなやかに。それでも駄目なら逆の発想を展開し、私も皆さんと同じように普通の事としてやり過ごせたなら爽快に思います。

おかげさまで、今回が10回目のブログになりました。
ご傾読ありがとうございました。またいつか(^^)/

令和元年9月 稲刈り真っただ中
~マル~

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