【図解】Spoon配信者はどうやって進化するか ー 定量的指標による配信者の分類と、配信者の時間的な成長過程について
お世話になっております。まるです。
今回の記事では、Spoonという音声配信アプリについて、配信者を一定のグループに分類した上で、配信者が時間に応じてどのように進化していくかということについて考えてみたいと思います。
何卒最後までお付き合いいただけると幸いです。
0. Spoonに関する用語集
Spoon (アプリ):
音声配信アプリのサービス名。ラジオのようにDJがトークを行い、リスナーがリアルタイムでコメントをDJに送信することで相互にコミュニケーションが生じるタイプの音声配信アプリ。
Spoon(ギフト):
Spoonアプリ内で、リスナーから配信者に送られるギフト。いわゆる投げ銭。
DJ:
音声配信を行う人のこと。聞き手はリスナーと呼ばれる。
Choice:
月単位でSpoon(ギフト)を多く受け取った上位のDJに称号。10位以内はTop Choice, 110位以内はChoice, 310位以内はNext Choiceという称号が一ヶ月間、運営より付与される。Choice以上の称号を取るとアプリのトップに配信が表示されるようになり、多くの人が訪れるようになる。
イケカテ・カワカテ・オモカテ:
それぞれ「イケてるカテゴリ(かっこいい声で女性を魅了する配信の総称)」「かわいいカテゴリ(かわいい声で男性を魅了する配信の総称)」「面白いカテゴリ(面白いトークをする配信の総称)」の略。
枠:
配信のこと。
Fan数・My数:
Twitterでいうところのフォロワー・フォロー中人数。
アクティブ:
配信のある時間におけるリスナー数のこと。例えばアクティブ10 = 10人のリスナーがリアルタイムでその配信を見ている、という意味となる。
VIP:
月単位でSpoon(ギフト)を多く投げたリスナー上位に運営から与えられる称号
裏よち:
「裏でよちよち」の略。つまり配信中(=表)ではなく、配信が終わった後にDMで個別のやり取りを行い(=裏)、ある特定のリスナーと仲良くなるDJの行動を指す。
1. はじめに ー 配信者の分類について
Spoonをしていると、様々な系統の人に出会います。
アプリのトップに表示され、第一線で活躍するChoiceを筆頭に、Choiceを目指す人たちや、Choiceではないが人気のある人、のんびりと少人数で配信をしている人など、様々な配信者が存在します。
配信のスタイルは人それぞれであり、全く同じ配信というのはどこにも存在しません。とはいえ、色々な配信を見ていると、何となく様々な配信者が、いくつかのグループに分類できるように思えるでしょう。例えば、ある配信者を「イケカテ」「カワカテ」「オモカテ」などとして捉えることは、まさに配信者の特徴を分類することに相当しています。
配信者の特徴を明らかにして分類方法を見つけることは、リスナーにとっても配信者にとっても一定のメリットがあります。
例えばリスナーにとっては、ある配信者のことが気に入れば、同じ分類に属する配信者は比較的気に入りやすいでしょう。これは新規の枠探しが楽になることを意味します。
また伸び悩む配信者にとって、伸びている配信者にどのような特徴があるかが明らかにされていれば、自分の足りない点がどこかを明確にし、努力すべき方向を見出すことができるでしょう。
このような実利的な面から、そして単純な好奇心という面からも、僕自身は「配信者の分類」という問題について興味を持っています。
一方で、配信者の分類は一筋縄ではいきません。
分類を難しくする一番の原因は、枠の分類が数量的に表すことが難しい質的な「空気感」によって左右される、ということです。
現に従来まで経験的に知られていた「イケカテ」「カワカテ」「オモカテ」といった捉え方も、リスナーの大半が何か数量的なものを根拠にして分類しているのではなく、枠を聞きながら「なんとなく」で分類することがほとんどだと思います。
質的な特徴の捉え方は、機械的な分類を困難にさせますし、「実際に枠に入って雰囲気を見ないと分類できない」というのは、何より手間がかかります。
そこで今回の記事では、従来のような質的な分類に頼らず、定量的な指標を用いて、より明確で、機械的な分類ができないかを考えました。
定量的な指標としては「Fan数」「My数」「総配信時間」「アクティブ数」「投げられたSpoonの数」と言った様々な指標が考えられますが、今回は「アクティブ数」と「投げられたSpoonの数」の二つの軸に注目して、色々な配信者の分類を試みました。
さて、Spoonを観察している中で、自分としてとても興味深いことを2つ発見しました。
1つめは、「アクティブ数」と「投げられたSpoonの数」という二つの量的な特徴軸を元に配信者の分類をすると、各領域において質的な特徴も大きく異なっていることです。つまり僕の観察の限りだと、量的な特徴量と質的な特徴量は深い結びつきがあります。これは、従来まで捉えることが困難だった質的な特徴を、量的な特徴として簡単かつ機械的に捉えることができる可能性を示唆しています。
観察の内に発見した興味深いことの2つ目は、配信者は時間に応じて進化し、様々な別のグループへと移り変わることです。この進化の仕方には分岐があり、配信者は各自の特徴に応じて異なるグループへと分類が変化します。自分の特徴を把握した上で分類を眺めることで、自分が配信者としてどのような努力を積めば良いか、方針を立てることに役立てられるかもしれません。
今回の記事では、配信者の分類・進化の様子を一つの図にまとめて提示しながら、自分の考察結果を記載していきます。
この記事の残りのパートは以下の通りです。
続く2章では配信者の分類・進化の様子を一つの図として提示し、今回の観察により得られた分類の外観を眺めます。
3章では、この分類のそれぞれの特徴について詳しく記載をします。
4章では、この分類で重要となる「アクティブ数」と「投げられたSpoon」の関係性について考察を行います。
最後の5章で今回の記事の総括を行います。
2. 配信者の分類・進化図
1章で述べた通り、今回の観察では、「アクティブ数」と「投げられたSpoon」の二つの軸からなる量的な特徴に対して、配信者の空気感・雰囲気といった質的な特徴が対応していることが見受けられました。この特徴は比較的境界が明瞭に見え、いくつかのグループに分けることができます。
以下の図は、この量的な特徴と質的な特徴グループの対応関係、および進化の過程を示した図です。
この図は今回の記事のメインであり、この記事の以降のパートの大半が、この記事に対する詳しい説明や補足となります。
上の図に示す通り、配信者は「アクティブ数」と「もらったSpoon」の二つの量的な特徴量を元に、以下の7つの領域に分けることができます。
過疎枠
駆け出し配信者
一般配信者
人気配信者
太客一本Choice
よくいるChoice
実力派Choice
それではこの図の各領域について、詳しく見ていきましょう。
3. 分類・進化図の各領域について
この章では、2章で示した図の各領域についての詳細について説明を行います。
過疎枠
アクティブ5人以下程度の領域
配信というよりは、友達とのコミュニケーションと思ってSpoonを使ってるケースが多い。
多くの過疎枠主は過疎であることに満足しているため、アクティブを増やそうとしたり投げられようとしたりはせず、他の領域の配信者への進化はしない。
かけだし配信者
アクティブ5人以上、10人以下程度の領域
枠周りをそこそこしているDJや、配信に少しずつ慣れてきたDJで構成される領域。
まだ多人数の枠に慣れておらず、人が多いとテンパったりコメントが遅延したりする。
人の多い環境を経験して枠回し力を身につけ、一般配信者に進化する。
まれに超絶太客VIPに好かれ、太客一本Choiceに突然変異する。
一般配信者
アクティブ10人以上、20人以下程度の領域
枠回しや初見さんへの対応が慣れてきて、ある程度リスナーが多人数でも枠を成立させられるDJ。
枠回し力やトーク力を鍛えたり、本人にずば抜けた魅力がある場合、人気配信者に進化する。
枠がイケカテ、カワカテなどSpoonのメインユーザー層の需要と合致しており、よく投げてくれるリスナー(大抵は異性)を上手く囲いこんだ場合、よくいるChoiceに進化する。
人気配信者
アクティブ20人以上程度の領域
DJに魅力やトーク力があるため、純粋に楽しめる枠が多い。
魅力があるのにChoiceになれない(=投げられない)ことには、いくつか理由が考えられる。
リスナーと枠主が友達のように対等な関係であり、「推す側」と「推される側」といった明確な対応になっていない。このケースでは多くの場合、本人もChoiceになりたいと思っていないため、進化することはほぼ無い。
リスナーが投げた時に感じる高揚感が薄い。Choice配信者の多くは、Spoonを受け取った時のリアクションが大きかったり、専用のスプコメをいくつも用意したりと、投げた時にリスナーが気持ちよくなる要素を散りばめてる。この領域の配信者はその部分が足りていない可能性がある。
実力に加えて、配信者のChoiceになろうとする努力と、リスナーが投げたいと思える枠作りが全て揃った時、実力派Choiceに進化する。
太客一本Choice
アクティブ15人以下程度のChoice配信者。
トークも平凡、枠回しも上手いわけではなく、はたから見ると魅力的と言い難いDJだが、本人のどこかしらの特徴が超絶太客VIPに刺さることにより大量のSpoonを投げられ、Choiceへと突然変異した形態。
多くの人にとっては面白さを見つけにくいDJであるため、この領域のChoiceの配信を聴くなら、上記の人気配信者を見ていた方が楽しめる場合が多いと思う。
ただし、「本人の何かしらの特徴が、ある人には相当な金額を出したいと思えるほど魅力的だった」という事実は評価すべき。
サブ垢を使った自分投げや、身内の相互投げのケースもある。これは論外。
よくいるChoice
アクティブ15人以上、25人以下程度のChoice配信者。
多くの場合において、「一般配信者」がイケカテやカワカテなどSpoonのメインリスナー層の需要と合致し、4,5人以下程度の少数の太客により支えられてChoiceへと進化するケースがよく見られる。
異性のリスナーを中心に魅了することが多い。DMなどで個別に裏よちするケースもある。
配信者側からすれば、Choiceを維持するためには少人数の太客を囲えばいいので、枠は内輪気味であることが多い。そのため初見で入ると内輪ネタを延々と聞かされる感覚になる。
ここが「Choiceの枠はつまらない」とか「怖い」とか言われる一番の由縁だと個人的には思っている。
一度内輪に入り込めれば楽しい枠になるのかもしれない。
実力派Choice
アクティブ25人以上程度のChoice配信者。
実力と努力とリスナーの愛で成り立つ、名実共にChoiceと呼べる領域。
自分が語るのもおこがましいので特に語れることはない。
4. Choiceはみんな人気者?
今回の分類では「人気かどうか(=アクティブ数)」と「投げられるかどうか(=Choiceかどうか)」という二つの項目を独立なものとしています。
というのも、自分の中では人気であることと投げられることは別の次元であることが多いと考えているためです。
実際、Choiceより人気な配信はいくつでもありますし、Choiceなのに過疎な枠もちらほらと見かけることは、人気と投げられることが別であることを裏付ける一つの証拠となるでしょう。
「どうすれば人気になれるか」という問いについては、枠回しやトーク力など、ある程度努力で改善できる部分を列挙できるます。
一方で「どうすれば投げてもらえるか」という問いに対する答えは、自分の中でもまだしっかり分かってはいません。そんな中で、いくつか思いつく回答としては以下の3つが挙げられます。
配信者とリスナーという立場を明確に分ける。友達感覚ではなく、「推す側」と「推される側」として接する。
リスナーが投げて気持ちいい配信を作る。
たくさん投げてくれる方と巡り合い、気に入ってもらう。
1 と 2 については、「人気配信者」の項目で記載した通りです。
一番問題なのは 3 で、ほぼ大多数のChoiceの方が実質少数の「太い」リスナーに支えられていることを考えると、場合によっては最も大事な要素であるかもしれません。
では、たくさん投げてくれる人と巡り合い、気に入ってもらうには、どうすればよいのでしょうか。
僕はSpoonを始めてから1年半の間、色々なケースを見てきましたが、正直、運次第のところも大きいと思っています。
Choiceまで押し上げてくれるほどに投げてくれるリスナーは、Spoonの中でもごく少数です。そして、その少数のリスナー達は、それぞれ様々な趣味嗜好の元に配信者を好み、Spoonを投げています。
そんなごく少数のリスナーの方に巡り会うには、ある程度は運次第なところもあるかと思っています。
(もちろん、巡り合いやすくなるように努力することは可能だとは思っています。)
上記のことを踏まえると、僕は「人気な枠」と「投げられる枠」は別物だと思っており、個人的な感覚としては
人気(=アクティブ)は努力である程度上げられる
投げられるかどうか、特にChoiceになるまで投げられるかどうかは、巡り合いの問題があるため、ある程度運も絡む
ただ、多少は頑張ることで投げてもらえる人と巡り会う確率を上げることはできる。
という線が妥当なところでは無いかと思っています。
5. おわりに
今回の記事では、配信者を定量的な特徴により分類し、その結果として現れるグループの質的な特徴について、観察の結果を列挙しました。また配信者が各自の特徴に応じて、時間経過と共にどのように進化していくかについても述べました。
1章でも述べた通り、配信者の分類はリスナーにとっても配信者にとっても有用なものですが、今回提示した「アクティブ数」と「投げられたSpoon数」による分類だけでは不十分であることに違いはありません。今回の分類により得られた7個のグループだけで配信者の特徴を述べられたとは思わないため、より深く洞察を行なった上で分類の細分化は必要になるでしょう。とはいえ、今回の記事のように「質的な特徴を量的な特徴から求める」というアプローチは実利的な観点からも非常に有用と言えるはずです。
今後の課題として、観察の継続により、さらに細分化された分類を発見すると共に、それらの分類を量的な特徴に変換できる方法について、考察を続けていきたいと思います。
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また、僕自身の配信でもこのようにSpoonについて考えたことを度々話したりしているので、もし面白いと思っていただけたらぜひ配信に遊びに来てもらえたら嬉しいです。
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