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西尾維新『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』はシリーズ化するのか?

ネタバレあり

 西尾維新氏の代表作の一つである戯言シリーズ。その正統続編である『キドナプキディング 青色サヴァンと戯言遣いの娘』が2023年2月8日に発売された。スピンオフを除けば『ネコソギラジカル』から18年、作者デビューから21年も経っているのだとか。 

 戯言シリーズは学生時代にリアルタイムでドハマりした大好きなシリーズだ。内容はほとんど忘れていたが、『キドナプキディング』を読むにあたって前9作は特に再読したりはしなかった。

・まずは読んだ感想
 すごく面白く一気に読み切ってしまった。哀川潤が導入で登場してめちゃくちゃしたりジョジョとかの漫画ネタが出まくるのも『クビツリハイスクール』を思い出して懐かしくなった。それとMCUネタで時の流れを感じた。
ミステリー部分はアッサリ。しかし前9作でも回を追うごとに徐々にミステリー部分薄くなっていったので気にならず。

・そしてタイトルの疑問
 初めて『キドナプキディング』の存在を知ったのはYouTubeの20周年記念動画だった。その動画のタイトルに20TH ANNIVERSARYとあったのだが、動画のラストの衝撃でそのことは意識に残らず、『キドナプキディング』を読むまでは当然シリーズ化前提だろうと考えていた。

 しかし読み終わってみたら、「これもしかして単品かも?」という疑問が出てきた。以下自分がそう感じた理由を挙げる。

・「パパの戯言シリーズ100」がすべて判明している。
 読んでる途中も感じたが作中で出し惜しみせずに結構な数が登場するし、なんなら小説の最後でシリーズその100の「戯言だけどね。」で〆。綺麗に終わってる。
 これは読み終わってから知ったが、書籍版の特典で「パパの戯言シリーズ100」しおり101種類がランダム封入しているらしい(自分は電子書籍で読んだ)。SNS上では101種類の全てが既に判明しているし、全部集めようとしている猛者もいた。シリーズ化を考えているなら、いきなり全公開はしないのではないか?と感じた。

・特定の決め台詞、というか決めフレーズが何度も出てくる。
 「私は玖渚盾。誇らしき盾」、パパの戯言シリーズその1「まず名乗れ。誰が相手でも。そして名乗らせろ。誰が相手でも」、この2フレーズが作中でも何度も出てくる。これらも今後シリーズ化したら新キャラに出会うたびに繰り返すことになるのか。

・英題 が ’≪Our daughter≫ is the END.'
 戯言シリーズでは小説の最後に英題が出てくるのだが、『キドナプキディング』の英題は≪Our daughter≫。何と言うか前9作の主人公「僕」と玖渚友の二人の存在が前提になっているというか、二人の存在が玖渚盾より大きく出ているように思う。

・誇らしき盾(矛らしき盾)
 YouTubeに上がっているスペシャルPVのコメント欄の書き込みを読んで知ったのだが、誇らしき盾(矛らしき盾)→矛盾という西尾維新節全開の言葉遊びとそれに絡めた動画のナレーション文。シリーズ化するつもりならこういうネタもまだ取っておくかも?



新シリーズ予定の第1作目にしては色々見せすぎで戯言シリーズファンに向けたほんとに記念本、という風に感じた(公式は初めからそう謳っているが)。
玖渚盾の機械に対する破壊性という設定も今回オチとして明かされたわけだけどシリーズ化を考えてるなら、もう少しこう徐々にネタ晴らしなり規模を大きくしていく感じにするかも?とか考えた。毎回暴走・爆発オチなんてできないし、しょっぱな人工衛星落下というド派手なネタやっちゃったけど次大丈夫?みたいな。


とまあ色々と書いたが、売り上げと読者の反響が良ければシリーズ化するだろう。もちろん次回作が出たら必ず読む。

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