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「木漏れ日を縫う」             「額を紡ぐ人」

この物語のキーワードは、
「山姥」と「パッチワーク」だ。
一体どう繋がるのか想像しづらいかもしれない。



夫や義母から不等な扱いを受けながらも、
それを受け入れている母親と家に嫌気が差し、
上京し独立後はほとんど実家に寄り付かなくなった年の離れた3姉妹。
とにかく母のようにはならないと、
母を反面教師にするように理想の形を追い求めた長女。
女らしくすること、女として見られることを嫌う次女。
田舎臭さから抜け出し必至に都会の女性に近づくべく努力してきた三女。
そんな姉妹の母親がある日忽然と姿を消し行方不明になる。
ほぼ生存を諦めかけていた時、
突然母親が目の前に現れる。
ところが、
そんな母親に違和感を覚える。
仕草、
喋り方、
思い出。
それらに何も相違はないのだけれど、
何か違和感を拭えないでいる。
「山姥になってしまった」
母を名乗るその人が言う。


山姥だなんて、
なんて突飛な発想を膨らませた物語なのだ。
それでも、
これまでまともに向き合おうとしてこなかった母という人間と今、
じっくり向き合おうとすることで、
自分たちが見てこなかった他の事にも気づけるきっかけになる。



なんでも額装してくれるという額装師。
宿り木
鳥の鳴き声
カレーポット
依頼主が一体どんな思いを抱いているのか。
依頼主の中心部に深くフォーカスし、
その想いとともに額装する。


額装師だった婚約者と死別し、
同じ額装師を目指し婚約者の気持ちに近付こうとしている女。
川で溺れ友人を亡くし、
自分も臨死体験をしたという男。
人の命を助けたことがあるにも関わらず、
別の事故では人を見捨てたことがあるという男。
彼らのそれぞれの「命」というものへの向き合い方が、
決して誰が責められるものでもないけれど、
背負った傷がいつまでも彼らを苦しめる。
過去と向き合うことで、
今と、
さらに少し未来へ、
進めるようになるのかもしれない。


額に収めるものといえば、
写真だったり、
絵画だったり、
賞状だったり。
大切なもの、
好きなものを入れて、
部屋の目につくところに置くものだろう。
わたしは結構額を飾っている方かもしれない。
主に子供の写真だったり、
子どもが描いた絵だったり。
お気に入りのポストカード。
あと墨で書いた今年の抱負もある(笑)。
好きなものに囲まれた部屋は、
毎日の景色に溶け込んでしまうが、
それでも、
ふと目を留めた時「好き」がいつもそこに有ることにはいつだって意味がある。


お気に入りって減らせないわたしは、
少しづつ増えて棚がごチャついてしまうことだけが悩みだ。


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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