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第26週(6/24~6/30)

▲下院選挙
日曜日18時半、職場の休憩室のテレビは20時の開票を目前にした下院選挙を報道しています。

30日日曜日、通常であればほとんど人気のない公的機関の職場も、大事な選挙日とあって、いくらか業務を控えています。
二年半勤務し、この日が退職日となる私にとって、最後まで仕事があることに喜びを感じるのは、この仕事を気に入っていたからかもしれません。転機を前にすると、過去の屈辱やプライドは些末なことになるのか、いま、職場に対して前向きの感情だけが心に残っています。

研修するにあたって当初期待したこと、すなわち"fiers de leur travail"(仕事への誇り)が思い出されます。シェフは、そのうち自分はいなくなるだろうと言いつつ、その職場が決して動くものではない(からいつでも戻ってくると良い)と言います。自己を謙遜しつつ組織の揺るがない価値を認めていることを感じます。

私のフランス滞在の多くは職場の体験が占め、料理人として多くの経験をしました。公式の会食、私生活の食事、パーティーの食事、移動の食事、間に合わせの食事…いずれの食シーンも、対価を払う人を探すためではなく、コミュニケーションを円滑に進める目的のためであったからこそ、食事が触媒として働く一つの意義を見出せたように思います。

思えば、最初は働けることを望んでもいなかった職場でした。フランスの食文化全体を肌で感じる経験が記憶に刻まれたことは確かです。しかし自分を奮い立たせる環境を求めるとすれば、そろそろ場所を変える時期が来ていることを感じます。

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