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iOS 14の本当の脅威

モバイルアプリ広告が始まった以来、Performanceという言葉はモバイルアプリマーケティングにおいて必ず出てくる言葉である事は間違い無いだろう。で、いつの間にかほぼ高い確率のケースで、‘Performance=費用効率‘という言葉として使われている。CPI、CPAが安いとか、ROASが良いとか。
少ない金額でより大きな収益性がアウトプットされること自体はいい事でそれ自体を否定する話では無い。ただ、それ自体が目的のように、それ自体がマーケター自身の存在価値で能力である様に勘違いしている世の中になっているのでは無いかなと思う。


はっきり言えるのは、そういうのはAIが代わりになり既に人が入る箇所はどんどん無くなっているのと、iOS14からIDFAが取れない時点で、これだけがアプリマーケティングの全てと考えていた人たちには、死が宣告されたのと同じ。特にiOSのシェアが65%と高い日本はなおさら。


データを元に自社のマーケティング活動に対する成果を評価するのはとても重要だ。そしてデータをより定量的に観察する為に、CPI, CPA, ROASなどの指標が存在する。しかし、これらがゴールでは無い。ゴールは、Oragnic比率の底上げ、DAUの底上げなど、より事業のコアな部分であり、持続的な成長を作り出す仕事こそが、仕事の色んな機能の中でのマーケティングの仕事だと思う。
が、計測された数値に慣れすぎて、CPI, ROASなどの指標を合わせるだけがマーケターの力量で、計測ツールで表示される数字だけを神様のように信じ込むマーケターや組織が案外多いのでは?


IDFAが取得出来ないLAT-ONユーザー層、特定広告ではView-throughがClick-throughに化けるケースの存在、各広告におけるTracking Link着火の動画の視聴秒の差、サイレントプッシュをベースにしたUninstall計測、Last Touchベースモデルなど、現在モバイルマーケティングにおける計測は完璧では無い。上に述べたものだけで、CPI、CPA、そして全てのコホートデータ自体を各広告別に比較できる環境では無い。一方、多くの場合、計測ツールで表示された数値だけに目がいき、こういう環境や中身に関しては思考停止したケースがまだ多いのでは無いか?


iOS14がもたらす本当の脅威は、ユーザーレベルのターゲティングが出来ない、リターゲティングが出来ない事では無い。近視的な指標に頼り、マーケティングの本来機能ではなく、良くない貿易や製造業のように安く仕入れる事や費用効果ばっかり考えていて、それがマーケターの仕事と考える人々や組織のマーケティングに関する力量の無さこそが、本当の脅威じゃ無いかな。

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