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ペット飼育におけるネグレクトについて考える。<壱>

※ これは、ペット飼育ネグレクト疑惑動画をupしているYouTubeチャンネル『やまねこと猫』の動画を振り返り、問題点を検証していく記事である。

■ 妊娠猫の保護

『野良猫動画を撮るため徘徊中』のおじさんが見つけた三毛猫(以下、ネネ)。
冗談で車のドアを開けると乗り込んできたため、そのまま保護したというおじさん。
それから病院へ連れて行き、エコー検査も実施して妊娠している事が判明。
すでに6匹もの先住猫がいたが、医師には産ませると伝えた。
この時には、リビングと同程度の広さがあるという倉庫兼猫小屋が完成していたので、何の問題も無いという。

ネネはそれまで自然の中で生活しており、『ダニがヤヴァイ』ので家には入れられない。
だが、妊娠しているのでお風呂も薬もダメ、と医者が言ってたと主張するおじさん。
コメントには妊娠中の猫にも使える薬や、ノミ・ダニに効く首輪もあると親切にあったが、その後の動画でそれらに触れられる事は無かった。
ちなみに動画内のテロップにある『伊之助がお風呂に入れられた状況』が問題視された事があり、現在この動画は非公開状態である。
(※ 捕獲された直後の伊之助が目の細かい洗濯ネットに入れられ、頭から水をかけられるという内容。洗濯ネットに入れて猫をお風呂に入れる方法が紹介されていたりするが、その場合は”目の粗い”洗濯ネットに入れた方が良いと書かれていたりする。)

その後、ネネを保護した日は他の家族は帰省していたので一人だったと語るおじさん。
事前に家族と話し合ったのだろうか?
おじさんは冗談で車のドアを開けたら”偶然”乗ったと動画内で語っているので、それが真実だとしたら突発的行動だったはず。
猫を飼育する際に必要な経費(ネットで調べた程度だが)は、

● 飼い始め → およそ4万円~10万円程度(健康診断やワクチンの接種、生活用具の費用など)
● 年間の必要経費 → およそ15万円~17万円程度(食費・消耗品費、病院代など)

1匹でこれくらかかるようだ。
今回は親猫+仔猫なので、少なくても2倍以上の負担になる。
それを家族と相談もせずに保護するのはちょっと考えられない。
仮に保護した親猫と産まれた仔猫の里親を探すとしても、見つかるまでの費用はかかる。
だがおじさんは里親を探す事はせず、親猫も産まれた仔猫も飼うつもりだという。

■ 病院不信が招いた結果

最初に行った病院ではまもとに診察してもらえなかったので病院不信の中、仔猫の頭数が分からない状態で出産を迎えようとしているおじさん。
おじさんの住む地域には、1軒しか動物病院が無いのかな?
他の病院を探すという考えは無いのかな?
そうして迎えた出産の日。
病院不信だと言っていたおじさんなので、猫が出産する際の注意点などは病院側に確認したり不測の事態に陥った際の対策などは取っていなかっただろう。
この出産で4匹産まれたのだが、おじさんが撮影を始めた時には3匹が産まれ間もなく4匹目(以下、ロロ)が産まれるところだった。
カメラに注意が向いたのか、ネネはロロの右の後ろ脚がまだ引っかかっている状態で体勢を変えそれに引きずられていくロロの様子が確認できる。

■ ”偶然”作られた『可哀想な状態』

出掛けていたおじさんが、カメラで動きがあったと知り急遽戻ってきた。
猫と言えど、出産は命懸けである。
4匹の子を産み、ネネは疲れ果てたのかロロの羊膜を舐めとる様子は見られなかった。
また、おじさんはそれをただ『見守り』続けた。
ただひたすらに見守り続けた結果、最低でも2分もの時間が経過している。
もしカットシーンがあったとしたらそれ以上の間、おじさんはこの状態を放置したことになる。
疲れ果て甘えたかったのか、ネネは出産直後のロロに構うことはほぼ無かった。
また、ロロは上手くおっぱいを探せないのか、動画が終わるまで約10分間、お乳を含んだ様子も見られない。

”もし”、おじさんがネネの出産前にきちんと仔猫の頭数を確認していたら。
”もし”、不測の事態が起きた時のアドバイスを受けていたら。
”もし”、見守るだけの出産でなかったら。
今さら何を言っても無駄とは思うが、これら最低限のことができていれば、ロロは障害を負わずに元気に走り回っていたかもしれない。
そう思わずにはいられない。

出産直後のロロの体重測定の際、よく見るとすでに震えがあるのが分かる。これが小動物にありがちな体の震えなのか、後に判明する障害のせいなのか判別はつかないが、育つにつれて顕著にあらわれる体の震えと同じものを感じてしまう。
この日、過去におじさんが語った『稼げる猫動画』の条件である”仔猫”と”可哀想な状態の動物”が揃った。
ただひとつ、覚えていてほしい。
『人は可哀想な動物を見るのが好き』なのではなく、『ハンディを克服して楽しそうに生きている姿を見るのが好き』だという事を。

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2021/2/25、記事作成。
2021/9/4、転載・加筆修正。
2021/9/15、一部加筆修正。
2021/12/16、画像削除・加筆修正。



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