路上

深夜に国道をこつこつと音たててあるいて、
もう何時間歩き続けているのか判らなくなっているけれど、
疲れてそれでも進み続けるさまはまるで砂漠の真ん中で舌を出している痩せた犬のようだ。
我に返りたくないので、休憩はお店に入らず路上で、周囲は工業地帯か若しくは閉店し尽くした繁華街か若しくはガラス張りのオフィス街、
そこに唐突に現れる一人きりの人は、たいていがその孤独な世界を楽しんでいて、そして日常に倦いていて、途方にもくれていて、滅多に口をきかないけれども優しくないわけじゃないしこの世はなんて美しい事でしょう、って思っている。

わたしを全部あげるからあなたを頂戴!!!!!!!!!!!!!

あんたの主張する個性やら差し迫った事情なんてまだ要らん、わたしはわたしの前をそんな顔で通り過ぎている今の状態のあなたの事が無性に欲しくて欲しくて、もう他の一切のものなんかどうでも良いんです‥

2006

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