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隙間に入り込む(写真日記)

このごろも、カメラを持ち歩き昼休みと夕方にぶらぶらとする。

とある飲食店の花壇にはツワの葉が茂っていた

飲食店を出てから本来の時間となる。商店街を突き、路地裏を抜け、建物のあいだに通用口を見つける。これらは車で走り抜けると直線的に切り裂かれていく視覚であり、歩行、散歩はそれ自体ひとつの現在へと志向する仕草である。

ノーファインダーによる

ミラーが脱落したニコマートELを手に散策する。私には目測距離が分からぬ。腕を被写体に伸ばし、指先でだいたい70cmの深度という感覚と、それでも分からなければ被写体まで一度歩く。一歩がだいたい60cmだろうという記憶を頼りにしたざっくり測量で歩数を数え積算して、もとの位置に同じ歩数で戻る。案外ばっちりのピントになっていてビビるが、これはまあ昼間なのでね、絞りを絞っている加減で被写界深度は自ずと深くなる。つまりある程度融通が利くということ。そういうこと。
では夕方はどうか。

いつもの公園で新たなものを探す

いや、悪くないんでないかい。そう思ってしまうのは私がアマチュアの撮影した本人だからだ。

この日陰で蔦に蔓延られつつも守られている蛇口のせめぎ合いが美しい
愛くるしく小振りな鉢植えたちよ
その破損の姿もブレファリズマの崩壊のようにきれい

といったところで、とうとう自分で接着するかと決意して2液性の接着剤を購入(店舗のおじさんも昔フイルムカメラを趣味にしていたらしく、ELのボディと外れたミラーを見せながらくっ付けたいんだと相談すると、懐かしそうに触ってくれた。ELもさぞ嬉しかっただろう。私は嬉しかった)、なお数日逡巡してようやく2液を混ぜ合わせた。

あほみたいにボケてるがこれはミラーのせいではないだって無限大にすればいいだけのはずのものだもの。バカなのか?

こうしてみると蒲公英に合わせたつもりのピントがうまくあってない気がするのでやっぱミラーの接着厚みはシビアなのかもしれない。まだ分からないけど。

夜の隣地区を歩く。怪しい人過ぎる。風呂の湯気が香っていた。

最近できた台湾料理店はなぜか青いネオンで、あたりにはほかに光源がないから主張が強い。しかもこれちょっと深いカーブの途中にあるので、夜間はわけのわからない青色光がカーブの向こうからビャアっと漏れている。UFOにでも攫われてしまうんかと思う。

この陰影がとてもすきだ。日射しは強く日だまりを眩しくして、木陰はしっかりと暗い。こういう写真をもっと撮りためたい。もっと状況がわからなくなってもいい。

やっぱちょっとファインダーのピント位置がずれてるのかもしれない。空にはうっすらひこうき雲
たばこ

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