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籾の選別器の分類

稲作に関する歴史や道具についてはクボタのホームページがわかりやすい。

籾の選別に使用される道具は時代ごと、地域ごとに変化してきた。今回はそれぞれの器具が選別する原理を書いてみようと思う。

選別器いろいろ

籾の選別器は稲穂から実をとった(脱粒)あとで、稲の葉や実のデキごとに選り分ける工程で使用される。選別器には以下のようなものがある。それぞれの器具には別名があるが、煩雑になるのでそれには触れない。

① 篩(ふるい)
② 箕(み)
③ ゆり
④ 万石通し(まんごくとおし)
⑤ 唐箕(とうみ)

各器具の形態と用法

① 篩(ふるい)

篩は縦横に編んだざる目の底をもち、これに曲げわっぱ(板状の木材を曲げて筒型にしたもの)がついた浅い桶型の器具。お菓子作りなどに使用されるのと基本的に同じ形状。この容器に籾を入れ、ザルの目幅以下のものだけがすり抜け落ちることで選別される。

② 箕(み)

手箕ともいう。竹や籐などで編まれたものでショベル状に三方が反って傾斜している。一方だけはフラットになっており、煽るように揺することで藁くずや籾殻、痩せた籾といった軽量のものが容器から脱落する。この作業には揺すり方の技術を要する。

③ ゆり

ゆりは揺すりの意、淘り板ともいうらしい。木製品であり、箱形をしているが、箕に似て一方に向かって壁高さが低くなっている。使用法についても箕に倣い、揺することで軽量のものが前方から脱落する。この前方部分をひもで吊り下げて使うらしい。材質や形状のため、箕より重量があり、保持できないためだろう。持ち手も箕は側面縁の中程を持つが、ゆりは後方の角に取っ手がついている。

④ 万石通し

千石通しとも。名称は箕やゆり、また篩より力と時間が節約され、技術的にも簡便であることに由来するものと思われる。選別する籾を溜めおくホッパー部と、その下の滑り台状の傾斜部からなる。傾斜部はザル目をしており、この区間で篩の原理で選別される。

⑤ 唐箕(とうみ)

万石通し同様ホッパー部をもつ。ホッパーから落とされた籾の横面に風を送ることで軽量のものを吹き飛ばして選別する。

選別の原理

それぞれの器具は選別の基準となるものが異なる。

Ⅰ 面積による選別
これはザル目を用いた選別器、①篩 ④万石通しに使用されている。

Ⅱ 比重による選別
②箕、③ゆり、⑤唐箕。質の良い籾にくらべ藁くず、質の悪い籾は軽いことを利用している。

また、④万石通しと⑤唐箕はホッパーから落とすことで選別空間に籾が投入され、落下中に選別圧(面積選別と比重選別)が加えられる点で共通している。このふたつは篩、箕、ゆりに比べ、体力、技術、時間といった面で労力が削減されており、昭和的に言えば文化器具ともいえる。

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