雪の日

今日の空もつめたい
灰色の雲が落ちてくる
いつになったら誰かに会える?
ストロベリーをつみにきた
森から見える僕の家
穴だらけでさむいのだ
僕の家は壊れた戦車のなかだ

ちょっと遠くまで来たけれど
誰もいなかった
壊れたサッカー場で
今日も松ぼっくりを蹴る
風の音がつめたい

僕の街は転がったままだ
僕の暮らしはとんでいったままだ
水面にうつる雲の流れだけ
いつものまま

知ってるよこの戦車
僕の写真があるから
お兄さんの帽子があるから

松の木がさわいでいる
風にぶるぶる
さむいさむい
きょうは操縦席で寝よう

いつの日か思い出せない
遠くの街から歌がきこえる
みんなで歌っているのだ
僕は新しい手袋を抱えながら
ほろほろ雪のなかを
歩いていて
母さまに買った
みかんを落としそうになった
ふと母さまの歌を
おやすみの歌を
思いだした

僕には
遠くて届かない歌声たち
あの街の灯りがほろりと
雪夜にとけていく











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