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方向音痴

大きな大学病院の内部は迷路みたいだ

隣り合わせの赤いエレベーターとシルバーのエレベーター

うっかり間違うと見知らぬ場所に下ろされてしまう。

慌てて登り直すエレベーターは

また、見覚えの無い場所へと誘う。

トラップばかりじゃないか。

私のクエストは6階まで無事にたどり着く事

元々、私は方向音痴だ。

一緒にカフェに入ったのに出る時は友人と逆方向に歩き出す。

乗る電車も逆方向に走り出す。

動物には帰省本能があると言うが

私には皆無だ。

話を戻すと

かれこれ小一時間、大学病院の中に囚われている。

途方に暮れて開き直ってるところだ。

悠長に、窓の外なんか眺めてみて、イチョウの木が散る様を

「雪のように儚く綺麗だわ」などと現実逃避している。

ひとつ分かったことは、この景色、病院の裏だ!

なぜだろう。

入口付近のエレベーターに翻弄されているうちに

真裏のカフェに迷い込んでいる。

( 私には )
一旦、このカフェから脱出し、道路から入口に入り直す方が早い

この後、無事に6階までたどり着けるのだろうか。

どうでも良くなってこのままここにいようか。

いやいや、行かねば。

さて。

重い腰をあげるとはこういうことなんだな。

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