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テレビドラマ初回のみ“ふんわり”レビュー<2023年1月期>

※放送4週目『今野敏サスペンス 機捜235×強行犯係 樋口顕』と『インフォーマ』『アカイリンゴ』『僕らのミクロな終末』など深夜帯をいくつか追加。
最後にサラッと今クールの総評で終わり!

2022ドラマ1話を全部観てレビューするを1年間続けました。
つまり昨年のプライム帯ドラマの1話は全部観てます。
これは思った以上に体力と時間がいるので今年は止めようと思っていたのですが、なんと自然にドラマの1話をせっせと観ていた。
習慣て怖いですね。
ということで今年もゆるーくですが続けていこうかと思います。
まー軽い気持ちで流し見していただければ嬉しいです!

星の評価は
<★★★>次回楽しみ!
<★★☆>次回も観る!
<★☆☆>次回もまー観るかも!
<☆☆☆>次回以降もう観ない!
くらいの感じです。
ほぼ直接的なネタバレはないと思うのですが、未見の方は一応お気をつけください。

※ちなみにTVerで観ているのでTVerにはないNHKやWOWOWプライム等のドラマは除外してます。
リンク先のTVer等は期限切れで見れなくなっている可能性もありますのでご了承ください。

【月曜日】

<★★★>『罠の戦争』
最近話題作の多いカンテレ月10枠草彅剛主演、後藤法子脚本、三宅喜重脚本の『銭の戦争』 『嘘の戦争』に続く戦争シリーズ第三弾。
草彅剛といえばカンテレドラマなので当然といえば当然なのですが、ジャニーズ事務所を退所してから約5年が経って初となる民放の連続ドラマ主演。
前クールの『エルピス-希望、あるいは災い-』といい、カンテレはだいぶ既得権益とか従来のテレビの枠組みを打破する動きをしていて面白い。
元々は韓国ドラマのリメイクから始まり、金融業界・詐欺師ときて今回は政界が舞台。
20年尽くしてきた議員から裏切られて、息子を突き落とした犯人を探しつつ復讐に燃える草彅剛。
彼ほど“復讐”という言葉が似合う人間がいるだろうか?
ここで描かれる政界という伏魔殿は芸能界という別の闇とオーバーラップする。
そんな状況下で草彅剛がどんな復讐を果たすのか。
非常に興味がつきません。
しかし全然1話の感想になっていなかった…
ちなみに政界に巣食う本田博太郎岸部一徳片平なぎさ高橋克典魑魅魍魎感も凄いので注目です!


<☆☆☆>『ダ・カーポしませんか?』
秋元康
が企画・原作・脚本の命と命をかけた運試しエンターテインメント。
ちなみにこのテレ東23時のドラマプレミア23枠『じゃない方の彼女』以降今作まで6作連続で秋元康のオリジナル作品。
多重債務によって自殺しようとしていた8人を集めたデスゲーム。
ゲームマスターによって金か命かの運試し。
…あまりにも既視感が強すぎる。
しかもその1つ目のゲームが毒の入った飲み物を誰が飲むかって。
いつの時代のデスゲームなんだろう…
演出もなぜか『トリック』を意識したような謎のコメディ要素を投入。
かなり重要なゲームマスター役の武田鉄矢も全然イメージと違う。
この内容で全くワクワクしないのは致命的。
本当にこの6作、ほぼ面白い作品はなかったのでテレ東はそろそろ真剣に考えた方が良い。


<★★☆>『女神の教室〜リーガル青春白書〜』
今回の月9は 『ユニコーンに乗って』大北はるかオリジナル脚本のリーガル青春群像劇。
ジャンルモノ+青春群像劇の得意な大北はるかのオリジナルだけにかなり期待。
裁判官だったのになぜか法科大学院の先生として飛ばされる北川景子のお話。
ちょっと融通が利かない北川景子、全てを見通す上司役のミッチー、生真面目で謎のありそうな学生役の南沙良、凄くいい奴がゆえに板挟みになる学生役の前田旺志郎とかなり既視感の強いキャスティング。
ただ山田裕貴の天才キャラ(というかほぼ)は新鮮。
学生に必要な事は司法試験に受かるための必勝法か?それとも実際に裁判で必要な人間同士の関わり方か?
ここらへんのテーマをどういう結末に持っていくのか楽しみです。


【火曜日】

<★★☆>『星降る夜に』
『和田家の男たち』大石静オリジナル脚本で、プロデューサーに貴島彩理、演出に深川栄洋『にじいろカルテ』のスタッフが贈る大人のピュアラブストーリー。
前のクールから復活したテレ朝火9枠『科捜研の女』の次がこれです。一体どういう方向性の枠なのだろうか…
最近非常に増えてきた、ろう者健聴者のラブストーリー。
スタッフ陣に加え、吉高由里子が医者(産婦人科)、そして北村匠海光石研水野美紀とにじいろカルテ色が非常に強い。
しかし脚本家が違うのと、ラブストーリー(特に10歳差)というワードが前面に出てきているのでかなり違った展開になりそう。
序盤のキャンプ場での北村匠海の動きは普通の人がやってたら、ただの変質者。(北村匠海だから許される)
仕事のできないおディーンと安定の親代わり役の水野美紀は良き。
遺品整理と産婦人科。死と生の仕事。
その2人がどんな展開を迎えるのかを楽しみだけど、でもそれをセリフにしてしまうのはダサいなぁ…
ちょっとこれからどちらに転ぶか読めない1話でした。


<☆☆☆>『夕暮れに、手をつなぐ』
朝ドラ『半分、青い。』北川悦吏子のオリジナル脚本で、『ザ・トラベルナース』金井紘が演出の青春ラブストーリー。
全体的に朝ドラ臭が強く、なんでかなと考えてみると現代の物語かと見紛うほどの時代錯誤のオンパレード。
広瀬すずのなぞの訛りから始まり、噴水で顔を洗ったり、生徒の顔面を賞賛する先生も、客の見ている前でヒソヒソ話をするホテルマンもすべてが遠い昔のお話のよう。
フィクションだからで片付けられるレベルではない。
というか実在の地名などを出して「フィクションなので気にしないでください」は流石にその土地の人々を舐め過ぎている。
デザイナー、ボカロP、画家、ニューヨークの起業家、IQ140の天才…と出てくる要素もおよそ一般人の生活とはかけ離れすぎている。
何をやりたくて、何を見せたくて、何を伝えたいのかが1話目からは全く感じられなかった。
ひとつだけ確かなのはヨルシカ『春泥棒』は名曲だという事だけ。


<★★☆>『夫を社会的に抹殺する5つの方法』
三田たたみ&アップクロスの同名コミックスが原作、劇団ナナカマド上村奈帆が監督/脚本の社会派サスペンスドラマ。
めちゃくちゃ仕事ができるがモラハラ&不倫夫の野村周平
義理の母親も「子供子供」とだいぶモラハラ。
しかし妻役の馬場ふみかも子供が欲しい(できれば夫が変わると信じている)
でもこれって現実世界では子供ができたら地獄なパターン。
これを観ていて、本当の闇というのはモラハラや不倫されている事がみっともなくてとか恥ずかしくて他の人に言えないという病なんだなとしみじみ思う。
前半の壮大な不幸なフリから後半はめちゃくちゃやってほしい。もー立ち直れないくらい。
ドラマのテイスト的に無理な気もするけど…
そしてこのドラマ、制作協力をホリプロがしているのに、主演の野村周平(アミューズ)と馬場ふみか(ネイムマネジメント)がホリプロ所属じゃないという謎…


【水曜日】

<★★☆>『スタンドUPスタート』
福田秀による同名コミックスが原作で、『極主夫道』モラル瑠東東一郎の脚本/演出コンビで送る人間再生ビジネスストーリー。
今クールでは珍しいお仕事モノ。
前半、竜星涼小手伸也でほぼ物語が進んでいくという激渋展開。
訳あり人材に投資する人材投資家のお話で、仕事ってなんのためにするのか系の流れになりそう。
全体的な雰囲気として藤子不二雄A 『笑ゥせぇるすまん』的な感じがしてたのだけど、それよりはコメディが強め。
もー少しブラックユーモアがあるとさらに良いかも。
終盤の安達祐実のセリフは「家族を守って欲しい」じゃなくて「私が家族を守るから」だったよなー。
最後に少しでてくる三ツ星重工の顔ぶれがアベンジャーズすぎて今後の展開が楽しみです!
やり方次第でめちゃくちゃ化けそうな予感あり。


<★☆☆>『リバーサルオーケストラ』
朝ドラ『エール』清水友佳子のオリジナル脚本、『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』猪股隆一が演出の音楽エンターテインメント。
韓国ドラマ『ベートーベンウィルス』に激似と話題ですが、『最愛』 『リバース』など奥寺佐渡子と共同脚本の清水さんのオリジナルという事で楽しみにしていたのだが…
とりあえず濱田マリ平田満前野朋哉岡部たかし坂東龍汰永山絢斗恒松祐里ツダケン石野真子生瀬勝久etcと謎に脇がめちゃくちゃ豪華!
全体的な流れも面白そうなのだけど、ひとつ大問題なのが楽器(特に弦楽器)が全く弾いている様に見えなかった。
流石にドラマのスケジュールの中で訓練して本当に弾けるようになるのは無理なのはわかるけど…
この手のドラマで演奏シーンが弾いているように見えないのは致命的では…
音楽モノの難しさだけど、それをどう上手く見せるかが演出家の腕次第。
細部が良かっただけにもったいない。


<★★☆>『それでも結婚したいと、ヤツらは言った。』
ヨーロッパ企画大歳倫弘が脚本のオリジナルの新感覚ウェディングドラマ。
結婚式をめぐる悲喜交々を結婚式場に巣食うネズミの目線で描く”ってまたテレ東深夜攻めてます。
ネズミ一家の長女役の鈴木ゆうかが潰れそうな式場(つまりは自分たちの家)を守るために人間に憑依して式場を立て直すんだけど、ネズミは匂いで嘘を嗅ぎ分けれれたり、めちゃくちゃ耳がよかったり特殊能力使って新郎新婦の問題を解決。
結婚生活ではなくて結婚式までの道のりという切り取り方が面白い。
30分の1話完結で見やすいのも良いなーと思っていたら、2話まで続く形だった。
今後一つの話をあまり引っ張りすぎないで見れると良いけど。
「それでも結婚したいと、ヤツらは言った。」
なんかタイトルの伏線回収あるんでしょうか?


【木曜日】

<★★☆>『インフォーマ』
沖田臥竜の同名小説が原作で、『アバランチ』やNetflix『新聞記者』藤井道人が脚本/演出を務めるクライムサスペンス。
ドラマのカンテレで昨年新設されたEDGE枠(関西ローカル)+Netflix配信で、世の中の真実を探るという藤井道人節全開のドラマ。
若干、序盤の若手記者の佐野玲於(GENERATIONS)が伝説の情報屋である桐谷健太と行動を共にするまでの理由付けがフワッとしていてわかりづらかった。
ただそこら辺も含めて今後の展開に期待を持たせる話の構成の作り方はさすが藤井道人。
伝説の情報屋である桐谷健人をはじめ、殺し屋集団のボス森田剛、先輩記者山中崇、謎のフィクサー石橋蓮司、鍵を握るキャバ嬢北香那と盤石のキャスティング。
30分で見やすさはあれど、この内容でどこまで話を深く掘っていけるのか。
ただ単純に先が気になる楽しみな作品。


<★★☆>『しょうもない僕らの恋愛論』
原秀則による同名コミックスが原作で、『婚活探偵』近藤啓介が演出を務めるヒューマンドラマ。
40代、仕事も下へ引き継いでいかないといけない。結婚もしていない。
そんな閉塞感ただよう眞島秀和
ここらへんの空気感からSNS申請がきて回想シーンに入るくらいまでの転換が抜群に良い。
特にあの頃の全てが詰まっていたカセットテープの演出は最高でした。
嶋田久作手塚理美杉本哲太と脇を固めるベテランも盤石。(杉本哲太はダ・カーポしませんか?とのダブルヘッダー。ちなみにGetReady!にもゲスト出演…)
そしてなんと言っても個人的に今若手で再注目の女優である中田青渚
もー写真の中ですら輝いて見える。
彼女の魅力をどれだけ引き出せるか。
一つ懸念点は閉塞感漂う中年男性の生きる意味的なヒューマンドラマなのか、それとも矢田亜希子を含めた三角関係的なラブストーリーへと発展していくのかでだいぶ今後は変わってきそう。
個人的にはヒューマンドラマの方を観たい…
そのあたりの展望が1話からは見えづらかったのでこのレーティングに。


<★★☆>『警視庁アウトサイダー』
加藤実秋の大人気同名小説シリーズが原作で、『99.9-刑事専門弁護士-』木村ひさし演出、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ高橋泉脚本の超異色刑事ドラマ。
西島さん久しぶりにお得意の刑事役。
結構飛んだコメディ設定からのシリアス展開はミスマッチな感じするが、それが木村ひさしといえばそれはそう。
相変わらず好き嫌いは分かれると思う。
山下達郎エンディングからのクリフハンガー展開とか。
好き勝手やってます。
まーただ実際問題として次週が気になっている私がいるのも確か。(私は木村ひさし嫌いじゃないけど。)
とりあえず濱田岳の秘密がめちゃくちゃ気になる…


<★★☆>『忍者に結婚は難しい』
横関大の同盟小説が原作、『東京タラレバ娘』松田裕子が脚本、『純愛ディソナンス』土方政人が演出のラブコメ。
お互いライバル関係の忍者の末裔と知らずに結婚してしまう夫婦のお話で、「結婚は修行」とか「結婚は子供次第」みたいないわゆる結婚あるある盛りだくさん。
こーいう設定って普通“結婚生活上手くいってるけど秘密がある”パターンが多いと思うのだけど、今回は“結婚生活も上手くいってないし秘密もある”という地獄パターンです。
フィクション度が強いのでもう少しコメディが強くても良いかなー。
ただこの最低の状態から再生するのか?それとも崩壊するのか?先が気になるお話ではあります。
広瀬アリス山本舞香勝地涼とコメディ得意な強い布陣とエンドロールの原作コミックが映る演出&バックで流れるaikoの主題歌もポイント高いです。


【金曜日】

<★☆☆>『今野敏サスペンス 機捜235×強行犯係 樋口顕』
警察小説の騎手・今野敏が原作でテレビ東京でドラマ化している『機捜235』『警視庁強行犯係 樋口顕』が奇跡の合体。
なのでどちらか、もしくはどちらも観ていないと厳しい。
というかそもそもなぜこの2つを合体させようとしたのか疑問。
初回は2時間SPだったからよかったものの、次回以降の1時間で両方の魅力を引き出せるとはあまり思えない。
どちらもある一定層からはかなり支持されていると思うので、普通にどちらも単体のシリーズとして1クールずつやれば良かったのでは…
残念。
しかし内藤剛志はこれで何クール連続で連ドラ出演(しかも刑事役)なのだろう…私調べでは2021年10月クールから科捜研の女(2クール)→警視庁・捜査一課長警視庁強行犯係 樋口顕科捜研の女警視庁考察一課(2作品)→今作と6クール7作品目。
ちなみに内藤剛志は過去に27クール(81ヶ月)連続で連ドラ出演という日本記録を持っているらしい…


<★★★>『リエゾン-こどものこころ診療所-』
ヨンチャン竹村優作の同名コミックスが原作で、『Dr.コトー診療所』シリーズの吉田紀子が脚本のヒューマンドラマ。
まず初めにこのドラマは発達障害について非常に細い描写がある。
もちろんその全てが描けているわけではなく、ステレオタイプの表現だと感じる関係者や当事者がいるかもしれない。
でもその事がわかった上で、このドラマは素晴らしい。
山崎育三郎が演じる主人公の医師が話す通り、発達障害は凸凹だ。
その形はその人によって異なる。
だから絶対にこの物語の中で描かれる個々の事案について「ステレオタイプだ」と揶揄することは違うと思う。
それはあなたが見てきた事や感じた事とは少し異なるだけ。
少なくとも私にはこのドラマがそれを過度に誇張したり、劇的に描いたり、敬意を欠くような描写は感じられなかった。
その微妙な細い細いラインを超えない限り、今作は名ドラマとして語り継がれるかもしれない。
今後は子供のケアだけでなく、虚無感ややりきれなさを抱く親のケアについても描かれるといいな。
松本穂香の体全部を使った体当たりな演技も含めて今後が期待できる作品。


<★★★>『100万回 言えばよかった』
『きのう何食べた?』安達奈緒子のオリジナル脚本、『逃げるは恥だが役に立つ』金子文紀が演出のファンタジーラブストーリー。
幽霊になってしまった佐藤健松ケンは見える(寺の息子のため)しかも松ケンになら憑依できるという設定。
時系列バラバラ系。
井上真央は大人になって円熟味のある良い演技しますねー。
脇は松ケン荒川良々平岩紙と実力者揃い。
殺人事件と佐藤健の関係みたいなミステリー要素も絡んできそう。
人は相手が見えない中で何をもってその人を認識するのか?
この手の物語は設定がかなり肝なので、今後都合良くころころルールを変えていかないかが鍵。生き返るとかは本当にダメ。
ただこれはもう悲しい結末しかないやんという…


<★★★>『今夜すきやきだよ』
第26回手塚治虫文化賞新生賞を受賞した谷口菜津子の同名コミックが原作、『シジュウカラ』祖父江里奈『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』本間かなみがプロデュース、映画『あみこ』山中瑶子が演出、劇団子供鉅人山西竜矢が脚本、『きのう何食べた?』澤田かおりが音楽。
もうアベンジャーズみたいなスタッフ陣で谷口先生の最高のコミックをドラマ化するのだから、良くない理由がない。
と思って観始めたら「なんちゅう優しい物語なんだー」と涙。
原作でのコミカルさが少し薄れて、よりドラマチックに演出されている感じ。
とても好きです。
主演のトリンドル玲奈蓮佛美沙子も非常にマッチしていて素晴らしかった。
普通ってなんだよを自分にも社会にも問いかける等身大の2人の女性のお話です。
そーいえば「君の彼氏は原始人だ」はなかったなー。
ちょっと早くも今年のNo1が出てしまったかも…


【土曜日】

<★☆☆>『ハマる男に蹴りたい女』
天沢アキによる同名コミックスが原作で、『ゴシップ #彼女が知りたい本当の〇〇関えり香が脚本、胸キュン映画三巨匠の一人新城毅彦が演出のオトナの一つ屋根の下ラブコメ。
会社で左遷され妻にも逃げられたどん底も藤ヶ谷くんが女性3人が暮らす下宿(シェアハウス)の管理人になるという、ザ・深夜ドラマの内容。
“スーパーエリートで母親が大企業社長なのにシェアハウスの管理人やる”というよくわからない設定にしっかり伏線があれば面白い。
「何のために働くのか?」「誰かに必要とされるということは?」
みたいな目線なのか、しっかりラブコメを描くのかは30分しかないのでしっかり絞った方が良い気がす。
スピード感とかテンポ感はすごく良くて見やすい感じはあるのだけれど、たくさんあるドラマの中でぜひこれを見続けたいみたいなフックがない。
まーキャストのファン以外からは徐々に見られなくなっていきそう…
なんか非常にもったいないなーという感じでした。


<★★☆>『6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱』
僕シリーズ3部作橋部敦子のオリジナル脚本のファンタジーホームコメディ。
100万回言えばよかった同様の幽霊が見えちゃう系。
しかしこちらは本人(高橋一生)が見えるのでそこまでややこしくないです。
ドラマに出るたびに炎上し続けている本田翼ですが、今回はそんなに悪くない。
個人的には明るく元気な役より、今回のようなあまり喋らないミステリアスな役の方が良いと思う。
そしてなんと言っても橋爪功と高橋一生の会話劇が素晴らしい!
何気ない日常のやりとりが永遠に見ていられる。
なんか掴みどころがない、でも先が気になる不思議な感覚。
しかしこれ演出が松本清張のドラマ化や『やすらぎの郷』など激渋ドラマばかりを作っている藤田明二がメインの様なので、本当に何もなく終わる可能性もある…


<★☆☆>『大病院占拠』
パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜福田哲平のオリジナル脚本、『逃亡医F』大谷太郎が演出のノンストップ籠城サスペンス。
結果から言うと、ネット等でめちゃくちゃ叩かれている割にはそんなに悪くはなかった。
任務を失敗して犯人を死なせてしまいPTSD状態の櫻井翔グランドホテル形式で理由あり気な人々(比嘉愛未はいつも通り病院で働いています)を伏線としながら、序盤の病院が占拠されるまでは良くできている。
しかし犯人が出てきてからは完全に鬼タイジ
サブマシンガンも出てきて一気にリアリティは喪失。
あとは籠城と謳っているので基本この病院内で話が進んでいった時に代わり映えしない展開で10話前後持つのかは不安材料。
でもやはりフィクションだと割り切ればそんなに悪くない気もする。
週末に頭空っぽにして観たい時など。
ただ既に1人完全に怪しい人がいましてその人が黒幕だったら冷めるな...


<★★★>『三千円の使いかた』
原田ひ香の70万部を超える大ヒット同名小説が原作、朝ドラ『エール』の共同脚本も務める嶋田うれ葉が脚本のホーム“マネー”ドラマ。
渋すぎるキャストでどんなお話が来るのかと思っていたらいきなりのミュージカルスタート!
タイトル的に財テクの話かと思ったら人生の中でお金を何に使うかというお話だった人生訓的な内容でした。
“人はなんのために働くのか?”という人類の恒久的な難題をどのくらい深掘りしてくれるのか楽しみ。
特に「人は大金ではなく、3000円くらいで何をやるか?何を買うか?で人生は決まる」という言葉がやけに頭に残って非常に気になります。
良作の多い東海テレビの土ドラ枠なので期待が高まる!


【日曜日】

<★★☆>『僕らのミクロな終末』
丸木戸マキによる同名コミックスが原作で、『来世ではちゃんとします』三木康一郎が脚本/監督を務める恋愛ヒューマンドラマ。
深夜ドラマに非常に力を入れているABCテレビ制作。ABCテレビはなんと日曜深夜帯に3連続でドラマをやっているらしい!
あと10日で隕石が落ちて世界が破滅する中で昔付き合っていた恋人と再会してしまうという物語。
非常に興味深い設定ながら1話は終始回想シーン。
予算規模からSF的な描き方には限界があると思うので、そこをどう上手く演出するか期待。
同製作スタッフによる『ポルノグラファー』シリーズなど過去にBLの世界観とも造詣が深い三木さんの細かい描写にも注目です。


<★☆☆>『アカイリンゴ』
ムラタコウジによる同名コミックスが原作で、映画『ハケンアニメ』政池洋佑が脚本を務める禁断のラブストーリー。
地上波にしてはかなり攻めた内容で性描写が非常に多い。
異性間だけでない色々な形を描写していたり、インティマシーコーディネーターを入れていたり攻める分の脇もしっかり固めている印象。
しかしマンガなら良いけどドラマになると一気に陳腐になるテーマというかジャンルってある気がして。
なんか設定上仕方ないんだけどあまりにもお話がアホらしすぎるというか。
コメディとしてなら良いけど、製作側にその意図はなさそうだし。
大人が観るような内容ではないような…
大好きなハケンアニメの政池さんがメイン脚本で楽しみにしていただけに残念。


<★★★>『ブラッシュアップライフ』
バカリズムがオリジナル脚本、『美食探偵 明智五郎』水野格が演出のタイムリープヒューマンコメディ。
このドラマ、前半はオフビートの何気ない会話が繰り返されます。
異常に地元の情報(色恋関連)に詳しい夏帆とか。
そこから一転してのタイムリープ。しかも産まれた時から。
主人公の安藤サクラは前世の記憶を頼りに徳を積んでもう一度人間に生まれ変わるために奮闘します。
そこで出てくるのが前半部分の何気ない会話。
ここ前世パートで触れていた内容を後半部分でどんどん回収していく。
これはシンプルに凄いです!
きっとこれから先もそれが続いていくと思うのですが、不安要素は前世の会話部分(1話前半部分)だけで1クールの伏線が足りるのか?
まーバカリズムの事なのでもしかしたら何か別の仕掛けを準備しているかもしれない。
今後の展開が非常に楽しみ。


<★☆☆>『Get Ready!』
堤幸彦演出のオリジナル医療エンタテインメント。
今クールは堤幸彦vs木村ひさしの師弟対決あり。
テレビドラマの新しい道を常に切り拓いてきた堤幸彦による6年ぶりのテレビドラマシリーズ。
ただ近年は微妙な作品が多いのも事実。
今回もオリジナルとは言っているが、脚本家が5人もいて一体誰のオリジナルなのだろう…ショーランナー的な創作に責任を負う立場の人がちゃんといて作っているのだろうか…
あとこれは堤幸彦一派(木村ひさしとか)の特徴として、異常に登場人物が多い。まーだいたいそれらはコメディ担当なんだけど、今作はあまりにも多すぎる。病院サイドと警察サイドはどちらかだけでよかったような…
フィクションなので「そんなんで手術できないだろ」的な話はやめておきます。
ただちょいちょい出てくるB級アニメみたいな表現方法には疑問。
あと個人的には藤原竜也妻夫木くんの役は反対な気がする。
そして池松壮亮が1人別次元の演技をしている池松劇場が開演されてました。
んー毎回ゲストが引っ張っていく感じなのかな…
堤幸彦の過去作のビッグファンなだけに…


ランキング形式まとめ

<★★★>
『ブラッシュアップライフ』『100万回 言えばよかった』『罠の戦争』
『今夜すきやきだよ』『三千円の使い方』『リエゾン-こどものこころ診療所-』

<★★☆>
『警視庁アウトサイダー』『忍者に結婚は難しい』『女神の教室〜リーガル青春白書〜』『星降る夜に』『スタンドUPスタート』
『それでも結婚したいと、ヤツらは言った。』『夫を社会的に抹殺する5つの方法』『6秒間の軌跡〜花火師・望月星太郎の憂鬱』『しょうもない僕らの恋愛論』『インフォーマ』『僕らのミクロな終末』

<★☆☆>
『Get Ready!』『リバーサルオーケストラ』『大病院占拠』『今野敏サスペンス 機捜235×強行犯係 樋口顕』
『ハマる男に蹴りたい女』『アカイリンゴ』

<☆☆☆>
『夕暮れに、手をつなぐ』
『ダ・カーポしませんか?』


ふんわり総評

今期の1話を観ただけの個人的オススメは『ブラッシュアップライフ』『100万回 言えばよかった』『罠の戦争』『今夜すきやきだよ』『三千円の使い方』『リエゾン-こどものこころ診療所-』の6本です!

『ブラッシュアップライフ』はサスペンス/ミステリー系で使われることの多いタイムリープを日常系に、しかもかなり長い期間で取り入れるという新しい形を開拓。毎回のゲストも楽しみだし、バカリズムの集大成的な作品になりそう。
『100万回 言えばよかった』いわゆるシンプルなラブストーリーが多い中でファンタジーやミステリー要素を絡めての差別化に成功。久しぶりの連ドラ主演で井上真央の円熟した演技にも注目。
『罠の戦争』は毎回繰り広げられるであろう罠の数々に期待が膨らむ。何より草彅くんが大きな権力に復讐するという内容だけでみんな観たいと思いませんか?
『今夜すきやきだよ』は人生の中で大切な事が全部詰まっているような優しい物語。最高の原作をさらにパワーアップさせてこの作品は、普通ってなんだよって悩んでいる全ての人に観てほしい。個人的な今期No1。
『三千円の使い方』はテレ東深夜で見られる教育系ドラマ(観るだけで勉強もできるような)と思いきや、人生・仕事・お金の価値を問う異色作。ドラマを観た後に少しだけ世界の見え方が変わっている良作です。
『リエゾン-こどものこころ診療所-』はタイトル通りの発達障害という事象を通して人間の心と社会の在り方描く。劇中で山崎育三郎の言う「発達障害は凸凹」はきっと発達障害だけでなくあらゆる人間に当てはまる事なのではないかな。

これまでは3,4作品だった三つ星が今回は6作品と非常に良作が多い印象の2023冬ドラマ。
傾向としては刑事モノ・ミステリーモノが減ってラブストーリーが増えたことと、原作がないオリジナル作品(特に女性脚本家)がプライム帯で多くなた。
オリジナル作品が多いと言うのは非常に良い事ですが、その分ドラマの質は保証されないのでとても面白い作品ととてもつまらない作品の2局化が進む事に…
まぁ淘汰されていくというのもまたクリエイティブの運命でしょうか。
あとはカンテレ月10枠や東海テレビ土ドラ枠、ABCテレビの日曜深夜3連続枠など特色を出して制作している地方局の存在も今後面白い要素になっていきそうです。

それでは4月頃にまたお会いできれば。


テレビドラマにコロサレル!

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