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PANDORAの箱

届きました。

冷凍食品のような、中身の見えないパッケージ。久しぶりにワクワクした。

3月24日に発売した、go!go!vanillasのニューアルバム『PANDORA』。

以下、内容物などネタバレがありますので、ご注意下さい。



ドライヤーを当ててシールを丁寧に剥がす。どこに貼ろう、なんて考えるのも楽しい。

色々入ってるー!

アルバムを買うのはいつぶりだろう。
ワンオクか、ヌー以来な気がする。

正直、アルバムを買わなくてもサブスクで聴ける時代。でも、バニラズは毎回買ってしまう。

勿論バンドを応援する、という意味もあるのだけど、彼らが一年以上の月日を費やして創り上げた「作品」を、ちゃんと形として受け取ることに意味があるんだと思う。ボタンひとつで簡単に再生するのとは異なる重みがある。

なんと言っても、アートワークが好き。ジャケットもグッズも抜群にセンスが良いんです…。


歌詞カードが、ひとつの冊子になっていて、歌詞に線が引かれていたり、コメントが添えられている。

線が引かれている部分は、キーとなる歌詞なのか、お気に入りの歌詞なのか。ラジオまで追えていないからわからない。

一曲一曲に添えられた手書きのコメントで、より一層歌詞の世界へと入りこむことができる。
このコメントが好き。


アルバム全体の感想としては、「よくひとつのアルバムにまとめたなぁ」と思うくらい、曲のバラエティに富んでいる。

一つ前の『THE WORLD』というアルバムは全体的にとてもまとまりがあり、流行りのHiphopやRapの影響を色濃く感じる曲も多かったので、ある意味対称的な一枚かもしれない。

インタビューで「コロナ禍によりフェスや対バンが無かったがために、他バンドの影響を受けることなく、自分の中から出てくるものを改めて作ろうと思った」というような話をしていたが、本当にその通り、バニラズ100%な内容。

だからかわからないが、なぜか随所にインディーズ感を感じた。「ひどく雨の続く─」は音が宅録っぽいし、「馬の骨」は露骨過ぎる歌詞が面白い。「one shot kill」や「倫敦」は遊び心満載で、如何にバニラズが実験的なバンドなのかを改めて感じさせられる。


「ラッキースター」のように現実とは少しかけ離れたファンタジー感だったり、「マジック」のように聴くと元気になれるような曲のイメージが強かったバニラズだけど、前作『THE WORLD』以降はより現実世界にリンクした重々しい色も音に乗せるようになった。

前作の「No.999」や「雑食」では没個性が謳われる現代社会での生きる人々へ問いかけ、今作の「アダムとイヴ」「鏡」では美しいだけではない人の裏の部分を歌うなど、より一層人の深い部分まで潜り込んできている。

そして、それを

"ダメなことだとわかるけど それも含めて美しい"──「アダムとイヴ」

と表現するところも牧さんらしい。

バニラズらしいキャッチーな聴きやすさも残しつつ、聴き込むと面白い歌詞。これぞバニラズ沼、という感じで、バニラズの今後がより一層楽しみになった1枚でした。

個人的にお気に入りは「鏡」「アダムとイヴ」「ca$h from chao$」「PANDORA」です。


パンドラの箱の中にはありとあらゆる災害が入っていたが、最後に残ったのは【希望】だったという。コロナ禍という、未曾有の災害の後、人々に残るものが同じであることを願いたい。ね。

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