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【感想メモ】佐藤さとる『しかられぼうずのひみつ』偕成社

作・佐藤さとる著、画・むらかみつとむ
『しかられぼうずのひみつ』
偕成社、1984年第一刷

佐藤さとる幼年童話集全10巻のうちの第10巻です。

久々に読んでみました。
大好きな作家、さとうさとると、ゴールデンコンビの村上勉の挿絵です。

【あらすじ】
おもちゃを妹に壊されて、けんかになった。
お母さんは、「大事なものをちゃんとしまっておかない方が悪い」という。
でも、おもちゃは、ちゃんとしまっておいたものだった。
腹が立って妹を突き飛ばした。
そうしたら、お母さんから、夕方なのに締め出された。

そこに、近所のお友達が秘密の駅に行こうと誘いに来た。
そのお友達は、いつもより足が速く、いつもより活発で、ちょっといつもと違うなと不思議に感じた。

草むらを進んでいくと、子どもサイズの駅があった。
友だちは、タヌキの駅だという。
駅長さんがいて、切符をくれた。
電車に乗ろうと誘われたけど、お母さんに怒られるから切符を買う前に、一人で帰った。
小さな電車がやってくるのが見えた。

家に帰って、お母さんに、「さっきはごめんね」と謝った。

翌日お友達に確かめると、昨日は出かけてなかったという。
やはり、お友達に化けた子タヌキだったのかな、と思った。

この近所には、昔、タヌキがたくさん住んでいたという。

家に帰って、もらった切符を見てみたら、ツバキの葉っぱに変わっていた。でも大切にしまっておくことにした。

【感想】
お母さんに理不尽なことで叱られるって、とてもありがちな情景。
そこに、思いがけない、夕方の小さな冒険。
秘密の小さな駅って、とてもわくわくする。
でも、電車に乗ってしまったら、どこに連れていかれてたんだろう。
家に帰ったときに、ちゃんと謝れてとっても偉い。
昔タヌキが住んでいた場所、タヌキに人が化かされる話はよくあるけど、開発が進んで間もない時の民話と近代が背中合わせの生活の息吹が、なんだか伝わってくる気がする。





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