盆には帰って来いと言われて、足立区の実家にいた。 仕事をするために住まいからPCを持ってきていたが、ひと通り作業を終えてしまい、暇を持て余していた。 今日は夏休み最終日で、明日から仕事が始まる。猛暑の日曜日だった。 昼飯も済ませ、家には近所のオバサン連中が涼みに来ていた。うちは町会の溜まり場のようになっていた。俺は2階の自室のベッドに寝転んでケータイをいじっていたがとっくに飽きてしまい、夕飯までの時間をどう潰すか悩んでいた。 時計を見ると3時を過ぎていた。町屋の
正月が嫌いだ。 正月だけでなく、そもそも特別な祝日・祭日が好きではない。 クリスマスやハロウィン、バレンタインはもちろん、お盆休みも、大きな括りで『夏休み』や『3月〜4月』なども苦手である。 理由は、いずれも「〇〇しなければならない」という暗黙の強制があるからだ。 クリスマスでいえば「恋人と過ごさなければならない」「ケーキやチキンを食べなければならない」「イルミネーションを見なければならない」。 ハロウィンなら「仮装しなければならない」「ガキにお菓子を恵まな
古狸やお局は煽てていい気にさせておくに越したことはない。敵に回すのは面倒だ。神輿は軽くてパーがいい。 馬鹿な上司と戦うのは至難の業だ。正攻法では絶対に勝てない。陥れるには手間がかかる。そのうち、こんな馬鹿に俺の貴重な労力を割くくらいなら、距離を置く方が効率がいい、という結論になる。 そう割り切ると、馬鹿と付き合うのは難しくない。目障りかもしれないが、駅前の街頭演説くらいと見做せるようになる。あれに「うるせー!」と目くじら立ててブチ切れる奴の方が異常だ。馬鹿と戦うというこ
矢沢永吉が50代の時に言った。 「このカツカツ感がいいのよ」 今年の9月で74歳を迎えるYAZAWA。ウチの会社の社長の15歳上だと考えると驚愕する。それは 、若々しいか老け込んでいるかという意味ではなく、まさしく、74歳の男として、かっこいいと感じるのだ。 一方俺は、今年の9月で30歳を迎える。あっという間だった。最近よく思うのは、「俺は30歳になるのに必要な手続きを済ませたんだろうか」ということだ。 先月、大嫌いな『同窓会』に行ってきた。中3のときの担任の先生
小学生の頃から、クラスには下ネタばかり言う奴、下ネタを言う事に全く抵抗がない奴というのはいた。俺はその類ではなく、いわゆる「遅い」子だった。異性に関心を持つのも遅く、高校進学では率先して男子校を志望したくらいだ。だから下ネタに関しては面白くも何とも思わなかったし、下品だからと嫌っていた。 男子校に入り、「目覚め」がすぐに訪れ、そして絶望した。お年頃でギンギンの15歳が焼け野原に放り出されたような感じだった。3年間は長く、楽しく、虚しかった。 当然、男子校で揉まれ、下ネタ
タバコを吸い始めたのは、おそらく25歳頃。だいぶ遅い。したがってダサい。 居酒屋で一緒に飲んでいた奴から、何となくマルボロのメンソールをもらってふかしたのがきっかけだった。 それからこっそり買っては家のベランダで吸っていた。25でタバコデビューなんてあまりにも恥ずかしいので周りには隠していた。 それでもだんだん本数が増えていき、隠しきれなくなってきて、ついにここ数年で各方面でバレ始めた。今では開き直って「どーだダサいだろー」とやっている。 本数が増えたことについて
W杯やWBCはおろか、オリンピックも観ないタチだ。スポーツに興味がないというのが主な理由だが、では大好きな音楽の祭典であるフェスには行くのかというと、実は一度も行ったことがない。10年以上バンドをやっているけど、プロミュージシャンのライブに行った回数は片手で数えられるほどだ。 子ども頃からそうだった。みんながやっていることをあえてやらないということに、カッコ良さとか粋ってものを感じる。 小学生の頃、自転車で山梨まで片道5時間かけて行って、ほうとう屋を素通りして少し先の