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竹中労【人と思考の軌跡】/ 鈴木邦男 を読んで

1月末に一水会創始者である鈴木邦男が亡くなった。右翼である鈴木邦男が竹中労との思い出を語った一冊。右翼というと児玉誉士夫と獄友であった岸信介が国際勝共連を作り財界とのコネクションを強めた自民党清和会周辺を想像してしまう。しかし、天皇を中心に置いた世界を理想とし欧米と対峙して行くことを目指した三島由紀夫的な精神を掲げた右翼達の思想は反体制の活動であった。「天皇の事は保留して共闘しないか」と呼びかけたのが竹中労。最終的に袂を分つが今は共闘できると奮闘した。三島由紀夫はゾルレンの天皇とザインの天皇という論考を持って右翼を再定義しようと行動を起こし多くの若者がこれに共感した。私は三島由紀夫に共感できる事は全く無いのだが敗戦を期に戦前にあった国体が頭をアメリカに挿げ替える形で無くなり自民党が新米路線を突き進む中、かつて独立した国を思い描いた人達が三島に心酔した気持ちは分からなくも無い。手軽に賢くなりたい人達がTwitterやYoutubeで稚拙な罵り合いをする現在において「人は無力だから群れるのではない。あべこべに群れるから無力なのだ。」という竹中労の言葉は重い。

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