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ハマータウンの野郎ども / ポール・ウィリス を読んで-その2

「ハマータウンの野郎ども」やっと読了。
分析の章が難解で、理解するのに時間を要しました...

資本主義者では「肉体労働」より「精神労働」の方が給料が高く設定されている。
学校では「精神労働」に従事する事を是とする教育がなされる。時計による時間管理という概念は資本主義社会を運用するためのツールであり「時間割」に即して進められる「授業」は資本主義システムへの適性を測るスケールとなっている。ヤンキー達は「時間割」に従わず授業を抜け自分達で参加を決定する。この洞察は資本主義を疑問視しる姿勢として正しい。
しかし、ヤンキー文化の中から現在の資本主義システムに反対する声は上がらない。これはヤンキー文化自身が持っている価値観とリンクしている。ヤンキー文化では「精神労働=女性」「肉体労働=男性」という固定概念が根強くある。また女性蔑視の姿勢も中産階級と比べて強い。これによりホワイトカラーが従事する「精神労働」を「女々しい仕事」と判断する。結果として資本主義システムが創り出すヒエラルキーを自らの中で逆転し、進んで「肉体労働」へと従事していく。

この本が書かれて40年が経過するが、資本主義システムの中でこの状況が再生産され続け今に至っている。学校も悪気があって、この教育を続けている訳ではない。社会全体のシステムとして「現状を是とする」人々が多いので仕組みが変わらないだけだ。しかし40年前に比べて状況は悪化している。派遣労働に加えUberのような資本家の都合で労働密度を過剰に圧縮し、利益を上げる手法は飽和状態にきている。「飯が不味くなるまで革命は起こらない」と聞くが上野公園で目にした食料配給の長い列を目にすると、その目前まで来ていると思う。

去年から女性の権利を主張する動きが加速してきている。この男女平等の概念は想像を超えて大切なものである。この本を読んで、「中高年のおっさんが運転する資本主義社会という列車」は、男女平等というポイントを切り替えるだけで全く別の方向に進む事が可能だと確信している。著者が最後に「やってくる憂鬱な 月曜日の朝が今までと同じに繰り返される必然性は全く無い」と結んでおり全くその通りだと同意する。

皆さん選挙に行きましょう。j

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