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笑顔が、心配へ変わる日々。


気付けば、コロナウイルスが世に現れてから
もう一年半以上の月日が流れている。

コロナウイルスが世に出始めた当初は、
まるで対岸の火事のような感覚で。

まさか、日々の生活を
こんなにまで変えてしまうと思わなかった。


『ソーシャルディスタンス』という言葉を
生まれて初めて耳にした時、

「何を言ってるの?」と他人事のように
聞き慣れない言葉への違和感を覚えた。

意識と行動を定着させるまでに時間も要した。


マスクを着けるのが苦手な私が、
一日中マスクをする生活を送るなんて
考えた事もなかった。

アルコールを使うと赤みが出る体質で
何年もアルコール消毒を避けていたのに、
これだけ頻繁に使い続けると
流石に身体が慣れて無反応になった。


行事が無くなる事が
「当たり前」「仕方ない」と思うようになった。

外食や旅行などの娯楽が
「してはいけないモノ」のような扱いになった。


ふと目についた公園が賑わっていた。

汗まみれになりながら
無邪気に友達と遊んでいる子供たちの姿が見える。

今までなら「楽しそう」と
こちらまで心が温かくなるような
ほっこりとした気持ちになれたのに……

今では、心配になってしまう。

そんな感情を抱く自分に気付いて、
堪らなく哀しい気持ちになる。

今日は映画館に行った。
コロナ禍となってからは初めて。

久し振りの映画館の雰囲気に
上映が始まる前からワクワクが止まらない。

人が少ない回を選んだので、
最終的には十名程度しか入らなかった。
安心して映画を楽しめた。


しかし……

上映中、不意に思い出してしまった。
満員の映画館の様子を。

座席の数だけ人が詰め込まれた、あの空間を。

隣の人と肘掛けを譲り合ったり、
手荷物の置き場に困ったり、
前の人の頭が邪魔で見にくかったり、

ポップコーンを夢中で食べたり、
劇場全体で笑い声が上がったり、
すすり泣く声が聞こえたり……

全く知らない人達と同じ空間に詰め込まれ、
窮屈で不満が湧いたりもするのだけれど、

一緒に泣いたり笑ったりする一体感は
映画館ならではの楽しみ方だったように思える。


人と人とが距離を保つ事で減ったストレスもある。

だけど、それと同時に、

沢山の楽しみを失った寂しさもある。


この距離感は気が楽だ……と思った時期もある。

コロナウイルスを言い訳にして、
煩わしい人間関係や
社交辞令の口約束から解放された。

堂々と独りの時間を楽しめて、
家に居る時間も必然的に長くなって、
これも悪くないかな?と思えた時もあった。


だけど、これはウイルスだから……

命に関わる危機が目の前に拡がっていて
楽しめる筈なんてなかった。


いつまで続くのだろう。


ニュース番組で、
旅行帰りの人達がニコニコ話す姿が映し出される。

それを憎らしい気持ちで見てしまう。

そんな生活から早く抜け出したいよ。

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