サイコパス揃いの『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

これは衝撃的な映画。

アメリカで初めてトリプルアクセルを成功させた
トーニャ・ハーディングというフィギュアスケート選手が、
ライバル選手に暴行を加えたというスキャンダルの真相を描いた作品。

今から24年前ということで、一応僕は1バリバリ小学生やってたけど、
この事件および、トーニャ選手のこともまったく知らず(笑)

いやしかし、これは想像を絶する映画だった。
スキャンダルの真相は映画を見ていただくとして、
それ以外で、この映画の衝撃的だった部分の感想を書きたい。

関係者(といっても役者だけど)へのインタビューと、
ドラマが交互に描かれていくスタイルなのだけれど、
フィギュアスケート選手としての苦悩なんかよりも、
トーニャと彼女を取り巻く環境が常軌を逸していた。

オリンピックに出るぐらいの選手なら、
もしかしたらめずらしい光景ではないのかもしれないけれど、
まず母親がやべぇ。
娘を娘と思ってねぇだろ、これ。
「鬼」の一言である。
幼い娘に対しては、暴言吐きまくりで、
練習中はトイレにも行かせず、
椅子に座っている娘を椅子ごと蹴り倒すなど、
もはや虐待に近い行いだ。
それはトーニャが成長したからも変わらずで、
言い合いの末、ナイフを投げたりしているからな。。。
オリンピックでメダルを取らせるための非情冷徹なまでの対応。

そして、彼氏もやべぇ。
DVの嵐。
一度頭に血が昇るともう止めらんない。
殴る蹴るが当たり前。
なんでこんなのといっしょにいるんだって思うけど、
あんな母親の元に育ったら、
暴力彼氏でも心を許してしまうのかもしれない。。。

スキャンダルの真相がどうだったかよりも、
そこに至るまでのトーニャの生い立ちや、
彼女に多大な影響を与えたこの2人のドサイコパスの狂気の沙汰、
これこそがこの映画の本質だろう。
そして、このような状況下に置いても、
スケートで一定の成績を修めているのだから恐れ入る。

これが実話だからな。。。
見ていてなんだかかわいそうに思えてきたよ。。。

ちなみにDV彼氏を演じているのが、
セバスチャン・スタンで、
今絶賛公開中の『アベンジャーズ/イニフィニティ・ウォー』で、
バッキー・バーンズを演じている人。
ここではヒーローの欠片もねぇ。
むしろクズ野郎だ。
ただ、短髪にヒゲ面の彼は、
クイーンのフレディ・マーキュリーにも見えるから、
クイーンの映画やるなら、彼をキャスティングしたらいいと思う(笑)

映画の最後に、実際の映像が流れるのだけれど、
それを見ると、マーゴット・ロビーのスケートが、
まさにトーニャ本人そのもので、
3ヶ月間みっちり特訓したと書いてあったけれど、
演技もスケート技術も半端ねぇなって思った。

当時の事件を知る人も知らない人も、
現実にこういう人たちがいたっていうのがわかるだけでも、
だいぶ刺激になるので、ぜひ映画館に足を運んでみてほしい。

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