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第91回全日本アイスホッケー選手権大会

2023年12月7日から12月10日まで新横浜にて、「アイスホッケー日本一」を決める「第91回全日本アイスホッケー選手権大会」が開催されました。
・優勝のゆくえ
・運営について
・優勝の瞬間を体験
について感じた事を書いてみたいと思います。

・優勝のゆくえ
いつもであればアジアリーグ参戦の4チームがシードされるのだが、今年は前回準優勝・実業団からクラブチームの流れにあった釧路のチームが選手全員離脱で不出場(アジアリーグからも脱退)し、離脱した選手・スタッフで結成された「北海道ワイルズ」が連盟特別推薦で出場。
実質アジアリーグ級の5チームでの優勝争いとなった。

「北海道ワイルズ」の初戦はアジアリーグで現在最下位の「横浜GRITS」。
最下位とは言え、近々のリーグ戦では1・2位のチームを破って調子をあげてきていた。「北海道ワイルズ」はたしかに試合がほとんどなかったわけだが、流石に力量のある選手を揃えているし、トーナメントでの一発勝負ではハンデはそれほどでもない。結果、接戦をモノにして「北海道ワイルズ」は勝ち上がり、準決勝で現在アジアリーグ3位の「東北フリーブレイズ」と対戦。ここでは延長含めて65分のゲームで決まらず、GWS戦(サッカーでいうPK戦)にもつれ込み、「東北フリーブレイズ」が決勝進出をものにする。
まあGWS戦は運もあり、ちょっと可哀想ではあるが。

アイスバックスは準決勝で最大の「壁」である「レッドイーグルス北海道」(以下REH)との勝負。日本のアイスホッケー界はかつては「西武グループ」の「壁」(西武鉄道・コクド 共に廃部)を越えないと頂点には届かないし、REHも旧王子製紙という名門からクラブチームに移行したチームで、乗り越えない限りは頂点が見えない。
この試合、ロースコアの戦いとなった事がアイスバックスに有利にはたらく。これには守護神・41歳のGK・福藤選手のスーパーセーブが連発された事が大きな要因。試合は60分のレギュラータイムで決着つかず。5分の延長戦に入る。
延長戦は3オン3のルールになってから、ここでは大きなリスクを避ける戦い方が主流になり、基本敵にパックを渡さない事が大事になっているが、REHがアイシングとGKがパックをキャッチしたことで、アイスバックスがオフェンスゾーンでのフェイスオフ。これが運命の分け目で、#88寺尾選手がシュートをゴールネットに突き刺し、決勝進出。正直GWS戦になったら不利だと思っていたので、なんという劇的な展開だったのか。
決勝は連覇を狙う「東北フリーブレイズ」と「HC栃木日光アイスバックス」の戦いに決定した。

・運営について
今回はKOSE新横浜スケートセンターでの開催となった。過去にも開催されており、だいたい全日本選手権は東京エリアでの開催が圧倒的に多い。しかしこの10年でみると、東京(旧東伏見アイスアリーナ)が3回、横浜(KOSE新横浜スケートセンター)が2回、札幌(月寒体育館)が2回、長野(ビッグハット)が2回、青森(FLAT HACHINOHE)が1回 となっている。
ただし、何点か苦言を呈したい。
1 チケットの発売開始が遅い。また座席指定なのに席を指定できなかった。これはチケット販売システムの問題だが、例年まで出来ていたのに、なぜ今年はこうなってしまったのか?
2 チケットが売り切れ(オンラインはローソンチケットのみ)にもかかわらず、当日の座席をみると指定エリアが大幅に空席のままになっている。これも発売システムの制約かもしれないが、発売終了が早く(12/4まで)、当日券売り場や委託チケット販売店にはチケットが余っていた。これは遠方から試合観戦に来られるファンには不便としか言いようがない。チケットの残席管理については改善をお願いしたい。
3 ゲーム進行に滞りがある。記念フェイスオフ時にエンジのカーペットを敷くのだが、シワだらけだし、ゲストがリンクから戻りきらないうちにカーペットを巻き上げてしまったり…過去にはこんな手違いはなかった。準備不足もいいとこである。また表彰式の開始までの進行がなかなかスムーズにいかず、間が空いてしまったように思える。
以上は、今までの大会では見られなかった事であり、今回なぜこうなってしまったのか、改善をお願いしたい。

・優勝の瞬間を体験
「HC日光アイスバックス」が「東北フリーブレイズ」に4-2で競り勝ち、3回目の全日本選手権制覇を成し遂げる。試合内容はフリーブレイズに押され気味で、実際危ない場面も多くみられたが、GK福藤の好セーブ連発でしのぐ。アイスバックスは「守って守ってカウンター」という戦況だったが、勝負の分かれ目は「パワープレイ」だったと思う。この試合も双方いたずらに反則する事は少なく(ただアイスバックスが準決勝・決勝ともにメンバーオーバー[to many players on the ice]の反則を犯したのは考えものだが)、今回はアイスパックがパワープレーのチャンスで2得点したことが勝利の要因の一つだったと思う。またこの試合は、内容では押され気味のアイスバックスがスコアでは必ず先行出来た事も大きい。ロースコアの試合では追いかけるほうがメンタル的につらい。そして反則が少なくゲームがなかなか止まらなかった事も今回はアイスバックスに味方したように感じた。最終ピリオドの17分44秒から19分05秒までゲームが止まらなかったのも、6人攻撃に入るタイミングが遅れてしまった要因になったのではないか(18分49秒でゲーム進行中に6人攻撃となる)。できれば18分30秒頃までに一度ゲームが止まったほうがフリーブレイズはやりやすかったのでは。

はじめて体験する「アイスリンクでのタイトル決定」は素晴らしい感動だった。自分もいつもより声を出し、得点にはスタンドアップして応え、もちろんアイスバックスのサポーターの方々もすばらしい雰囲気だった。みんな、いままでのチームの「苦労の歴史」を知ってるサポーター。だからこそ喜びが爆発する!

アイスホッケー、日本では年を追うごとにマイナー化の一途を辿っている。
実際に観戦すればそのほとんどの人が「面白い!」って言ってくれるのに、今はそれをアピールする場もほとんどなく、マスコミへの露出度も少ない。
ぜひ、アイスホッケーという競技に触れ、体感して欲しい。

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