機械技術2019年12月号から考える最新工作機械トレンド

 こんばんは。週1投稿で頑張ろうと思っていましたが、また2週間空いてしまいました。ネタは結構思いつくのですが、あまり情報を集められなかったり、逆に複雑すぎてうまくまとめられなかったりするので、書き始めるまでがすごく時間がかかってしまいました。
 そして今回は、先日本屋でたまたま手にとった雑誌「機械技術2019年12月号」に、最新マシンの活用術という題で様々な工作機メーカー(計28社)の最新商品と特徴が載っていたので、それをまとめてみました。開発の背景から書かれているため、工作機のトレンドが掴めるのではないかと考えたからです。(コロナ前に出版されている本です。)

 上記PDFに各メーカーのターゲット(市場の課題)とメイントピックとメカ・ソフトの特徴をまとめました。まとめてみて感じたことを書きます。

1. マシニング関連(メカトレンド)
 マシニングメーカーは5軸加工機の提案がほとんどでした(8/10社…残り2社は横中ぐりしかない倉敷機械と、旋盤も作っており複合加工機の自動化を提案したマザック)。このことからもユーザー側からみても5軸加工機での工程集約がトレンドであり、さらにメカ的な技術革新が飽和しているのではないかと言われている工作機業界の中で、まだ5軸加工機は技術革新の余地が残っているのではないかと考えました。例えば、今までは5軸加工のみを考えて3軸よりも剛性がなかったり、自動化は考えられていないような周辺機の設計が多かったが、5軸加工機自体の剛性UPや、自動化するための周辺装置の配置と行った商品が目立ったように思います。
 これからはより多品種小ロッドのワークが増えていき、5軸機もより浸透していくのはもちろん、3軸加工での使いやすさ(剛性含め)や、自動化を含めて様々なワークに対応できる許容性が重要ではないかと考えます。

2. 旋盤
 反対に旋盤メーカーは各社、自動化や周辺機・IoT関係という旋盤自体の革新的技術ではありませんでした。唯一旋盤自体を提案した中村留も複合加工でマシニング要素の技術向上といったものでした。既に技術革新の進んでいる旋盤関係は、今後は測定や洗浄も含めた工程集約やより多品種の自動化といった技術が出てくることが予想されます。

3. 研削盤
 研削盤関係は研削盤の精度を生かした3次元測定を機上で行うというものや、円筒研削盤でも測定子ユニットをつけて工程集約するものが多数でした。研削盤も今後は工程集約や多品種に対応するための自動化が進んでいくのだと考えられます。

4. ソフト面
 全加工機種を通して、ソフトの改良に関する提案も多数ありました。そして中でも、AIによる熱変異補正とプログラミングの自動化が様々な機械で多くみられました。熱変異は工作機の大きな課題の一つですが、ユーザーによって違いが出てくるため、AIを使って設置場所や時期ごとに最適な補正をかけるというものはより高精度化、安定化のため今後一般的になってくるのではないかと感じました。
 さらに今回私が一番印象に残ったのは、プログラミングの自動化・簡素化技術です。メカ的な工程集約・自動化が進み複雑化する中で、プログラミングの時間削減、簡素化は非常に有効と思われます。製造業は人手不足で、機械を扱う人が決まっていたり、機械は高性能だが、使いこなせていないところも非常に多いです。機械を動かすまでのプログラミング自体に時間がかかってしまっているところも非常に多いと感じます。プログラミングの自動化、簡素化はこれらの課題に対して解決策の一つとなりうるので、今後より注目していきたいと考えました。

5. 最後にターゲットや世の中の課題
 各社のターゲットをみていると、具体的なワーク名が出ている中では、自動車用大型金型が多数ありました。EV化・HEV化に伴い、自動車の大型樹脂部品が増えているとメーカー各社も考えているということだと思います。金属積層造形ではなく、あくまでマシニングで提案しているメーカーが多く、大型の加工に関しては、まだまだ切削加工が主流であり続けるのではないかと感じました。

 2019年末の情報ではありますが、各社の新製品・新技術を比較することで、今の工作機械関係のトレンドを少し読むことができました。今後も工作機械メーカー各社の新製品のトレンドを掴んでいきたいと考えます。



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