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神様になった気分で

今月末公開の「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」に備えて、過去のシリーズを見直している。
一作目の公開が40年ほど前のことなので、細かい事はほとんど忘れている。
だから、逆に新鮮でもあり充分に、いやそれ以上に面白い。
まだ、CGなどない時代。
ロケとセットと合成と特撮だけであれだけの迫力を出している。
すごい事だと思う。
だから、あの頃は見終わった後に、「あのシーン、どうやって撮ったんやろ」と考えるのも楽しみのひとつだった。

さて、そのシリーズの2作目。
「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」
この中で、インディアナ・ジョーンズの相棒として登場する男の子。
この男の子の活躍する姿を見ていて、不思議な感覚にとらわれた。
僕は、この子の未来を知っている。
この子役の男の子に40年後、何が起こるのかを僕は知っている。
まるで自分の手の中に人の運命を握りしめた神様のような錯覚に陥ってしまった。
この子役、当時13歳。
そう、彼こそは、今年の3月、第95回アカデミー賞で助演男優賞を受賞したキー・ホイ・クァン、その人だ。
現在51歳。

キー・ホイ・クァンは、1971年にベトナムで生まれる。両親は中国系夫婦で、9人兄弟の7人目。
1975年のサイゴン陥落により、家族は難民としてアメリカに渡る。
その後、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」で役者としてデビュー。
しかし、当時のハリウッドでは、アジア系の役者が活躍する舞台が少なく、その後は制作陣として映画にかかわりつづける。
しかし、ここ最近のアジア系俳優の活躍を見て、俳優に復帰。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」において、アジア系としては30年ぶりの助演男優賞を受賞した。
授賞式での彼のスピーチ。 

「ここに至るまでの全ては妻、エコーのおかげです。彼女は毎月、毎日、この20年間、『いつかあなたの時代が来るわ』と言い聞かせてくれました。夢は抱き続けなければならないものだと…。自分の夢を諦めかけたときもありました。皆さんにお願いです、どうか夢を諦めずに生き続けてください。本当にありがとうございます。私をこの世界に再び迎えてくれてありがとう! 私はあなたたちを愛しています。本当にありがとうございます!」 

13歳の彼の耳元で囁いてあげたい。
「あきらめてはいけないよ、君の未来のために」
神様になった気分は悪くない。

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