「きのこの山」と「ちっちゃいチョコの木」徹底比較!~どれだけ似てる!?~
はじめに
Twitterの知財クラスタで度々論争になる「きのこの山」と「たけのこの里」の争い。
最近、「きのこの山」は押され気味なのですが、そこに新たなネタが投下されました。
なんと、「ちっちゃいチョコの木」なる名称のチョコレート菓子がミニストップで売っているという!!
これは一見すると「きのこの山」のパクリ商品ではないですか!?
きのこ派の私としては、早速ミニストップに走り、現物を入手しました。
「きのこの山」と比較してみます。
きのこの山
「きのこの山」は株式会社明治から40年以上販売されているロングセラーのチョコレート菓子です。
パッケージはご存じのとおりです。
株式会社明治では、このお菓子の形状について、立体商標の商標権を取得しています。
商標登録 第6031305号
中身も、この商標と同じ態様です!
ミニストップでの価格は、74g入りで199円でした。
ちっちゃいチョコの木
一方の「ちっちゃいチョコの木」は、株式会社フクイが製造し、ミニストップのPB商品として販売されている準チョコレートです。
準チョコレート??
どうやらカカオの量が「チョコレート」よりも少ないみたいです。
パッケージはこんな感じです。
中身は、こんな感じ
ミニストップでの価格は41g入りで100円です。
比較
「ちっちゃいチョコの木」が「きのこの山」の立体商標に似ているかどうかは、その立体形状を通じて、需要者が出所の混同を生じるかどうかで判断されるので、形状の対比を行いたいと思います。
立体商標の商標見本からは具体的な大きさはわかりませんので、各部分の長さの比で検討します。
・全体の形状
両者とも、釣鐘形状のチョコレートに棒状のクラッカーが付いた(刺さった)形です。
・チョコ(釣鐘形状)とクラッカー(棒)の長さ比
「きのこの山」は、おおむね[ 30:33 ] です。
一方の「ちっちゃいチョコの木」は、[ 30:35 ]です。
両者ともクラッカー部分の方が若干長いという感じでしょうか。
・チョコの形状
「きのこの山」は、横から見ると放物線を描いたような曲線を描いており、上から見ると、六角形の各頂点に半円を描いたような形状です。
高さと幅の比は、おおむね[ 60:74 ] です。
一方の「ちっちゃいチョコの木」は、横からみると台形状で、上から見ると、正円形状です。
高さと幅の比は、[ 60:90 ]です。
「ちっちゃいチョコの木」は頂点が平らな分、高さが低いのでしょう。
・クラッカーの形状
「きのこの山」は、チョコレートに付いている部分から下方に向けてなだらかに広がっており、くびれを有していると言えます。
縦横比(全体から見える部分)は、おおむね[ 42:28 ] です。
一方、「ちっちゃいチョコの木」は、まっすぐ寸胴で曲線はありません。
縦横比は、[ 42:24 ]です。
クラッカーの大きさはほぼ同じで、違いはくびれの有無だけでしょう。
検討
以上のように、全体的な形状(基本的な構成)は、釣鐘形状のチョコレートに棒状のクラッカーが付いた形で、両者は一致します。
そのため、パッと見て似ていると感じます。
一方で、個々の細かい部分を見ていくと、形状や寸法に差はあります。
ただ、実物は、チョコに棒がきれいに刺さっていることはなく、斜めに刺さっていたり、中央からずれたりと、個体差が結構あります。
これは、「きのこの山」も「ちっちゃいチョコの木」も同じです。
そのため、寸法の細かいところは微差といってよいと思います。
そうすると、実際に差があるのは、チョコの形状と棒の形状程度だと思います。
ここで、商標の類否で考慮しなければいけないのは、その需要者です。
100円~200円程度で売られているチョコレート菓子の需要者は、子供から大人までの一般的な消費者です。
そして、商品を買うときには、パッケージに掲載された商品の形状をパッと見て購入することも十分に考えられます。
そうすると、細かく見ればチョコの形状と棒の形状が異なっていても、パッと見て購入する際には全体的な形状が印象に残って、間違って買っちゃう可能性もあるんじゃないでしょうか!?
お小遣いを握りしめてワクワクしながらミニストップに来た小学生が、「きのこの山がミニストップのPBで売られてる。安くてラッキー♪」と思って間違っちゃう、みたいな。
そのあと、「コレじゃなーい!」って。
ちなみに味は
味に関しては、私は「きのこの山」のほうがおいしいと感じました。
チョコレートは「チョコレート」と「準チョコレート」の差があり、やはり「きのこの山」の方が、コク深い味がします。
クラッカーについても、焼け具合は「きのこの山」のほうがキレイなきつね色になっており、カリッとした触感は「きのこの山」が勝っています。
「ちっちゃいチョコの木」のクラッカーは、ボーロのようなもそもそした感じがします。
さいごに
セブンイレブンのPB「セブンプレミアム」の成功例を見ると、「PB商品=二番煎じ」に見えるやり方は見直す時期なのかなと思います。
消費者としては、「パクリ商品」としか認識しません。
同じようなチョコレートとクラッカーの組み合わせ商品を作るなら、せめて全体的な形状を変えて、商品化するなどの対応はあってもよいと思います。
例えば、丸いチョコに細めのクラッカーを複数刺して、「コロナ」っていう名前で出すとか(といっても、菓子の分野で「コロナ」は森永乳業が商標権持ってるみたいなので、ライセンスを受けて、やるしかなさそうですけど)。
今回は、勝手に言いたい放題でした!
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