つづきのつづき(小説)最終回 第十四夜 結

 第十四夜 結

 「あなたのやることをやってほしい。仕事がそうなら仕事をすればいいし、音楽や小説やエッセイの執筆や、マズローの真似事や社会研究というならそれをすればいい」
と明日奈はジョニーに言った。

 結局今は仕事ではないので、職場にかけあって半日勤務にしてもらい、趣味の制作や研究に没頭した。そうしても食べてけるぐらいに別の収入源はいつしか軌道に乗っていた。
 夜は明日奈とトランプをし、いろいろなことを語り合った。

 生活も落ち着き、ジョニーの自己肯定感の木が回復してきた頃、ジョニーは明日奈に言った。
「君に出会うまで僕は悪夢のような日々を歩いてきた。意図とは別のことばかり起こり、人を大事にしたくても傷つけ、今でも気を抜けば悪夢に飲み込まれそうになるけど、できるだけ気にしないように努めている。僕がいなくなれば世界は少しよくなると思って生きてきた。だけど君に出会って、普通の人の幸せを久しぶりに思い出せたんだ。おかけで迷い少なくこれからしばらくは人生を歩いていけそうだ。これからもそばにいてくれないか。最初会ったときから君が好きだ。ささくれだった心が癒される。僕と結婚して下さい」
 明日奈は少し涙し頷き、二人は抱きしめ合った。
 昔ながらの蛍光灯のやさしい光が二人を優しく包みこむ。

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