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新型コロナウイルスのワクチンを「企業の商品在庫の調整」とイメージし、円滑に供給する方法を考える

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私の素朴な疑問……💉
それは、新型コロナウイルスのワクチンを職域接種した人は、自治体に「私、接種しました」と登録する場所がなぜないのだろうということ。

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 近頃、ニュースではワクチン不足の話が毎日報じられています。マーケティングの視点で考えると少し興味深いのではないかと思い、今回まとめてみることにしました。

「完売御礼」にできるのが企業の商品、やってはいけないのがワクチン!

 今、ワクチンが必要な地域に行き渡らないことが問題になっています。これは企業でも、「在庫がA店舗にたくさんあり、B店舗にはまったくない」という問題と似ています。

 企業は、顧客ニーズなどの分析、売れ行きの分析、在庫管理を行なっているため、極端な余剰は出ないでしょう。加えて、企業は「完売御礼」となっても問題ありません。人気のゲームの場合、「完売御礼。入荷未定」などはよくある光景です。完売御礼でもお客様の命には影響ありません。しかし、ワクチンの場合は、「完売御礼。次の入荷までお待ちください。」というわけにはいきません。

 しかし、実際にはワクチン不足が生じてしまいました。何か少し手を加えるだけで、スムーズにワクチンの接種ができないものかと思い考えてみました。

今回の件を考える前提として

 私は先日職域接種で1回目のワクチンを接種しました。そして自治体からも接種券が届きました。それらの経験を踏まえて今回書いていきたいと思います。

 私自身は、これらの業務に関わっているわけではないので、わかっていない点がたくさんあると思います。それらの点についてはご容赦ください。

今回の問題は「ワクチンを無駄なく供給すること」

 オリンピックが間近に迫っています。1日も早く接種希望者の方に接種をして欲しいと思います。そのためには、ワクチンを「足らないところに分配し、多いところから引き上げる」必要があります。そのためには、「職域接種で接種した人を正しく把握すること」と感じました。その情報を国や自治体がいち早く知ることで、ワクチンを無駄なく供給することにつながると考えました。
*打ち手の問題は、ここでは考慮しません。

今から大改革はできない。できる範囲で対応する!

 すでに接種が行われているので「国が一元管理を」や「マイナンバー制度の活用」など、理想的ではあるけど、今から採用することが不可能なことは一切取り入れないことにします。「現状の仕組み」を基本に考えます。

なぜ、今回の問題が発生したのか?

 あくまでも私の考えですが、自治体以外の場所で接種できるようになったため、ワクチンの供給システムがより複雑になり、加えて誰がどこで接種しているか把握できなくなったことが原因だと感じます。

 もし、自治体でしか接種できないなら、自治体に必要なワクチンを送付すればいいので、無駄のない方法でワクチンを供給することができたでしょう。しかしこれでは、接種完了するまでに時間もコストもかかります。職域接種を加えたことで、接種のスピードを加速することができ、更に時間とコスト(場所、医師などの)の節約が可能になりました。一方で、仕組みが非常に複雑になったのです。

職域接種の問題点1)申請数と接種者人数に差が出る

 職域接種は、企業・学校が「これだけの対象を接種します」と人数を国に申請(国からは1000人以上という条件があった)します。会社なら「社員、そこで働く関係企業の人、家族、地元の人」、学校なら「学生、教員、地元の人」など幅広く対応しています。

 例えば、会社の場合「我が社で働く人を対象に」ということで、働く人を数えるわけですが、それは必ずしも接種する人とイコールになるとは限りません。加えて、国が企業や学校に対して募集をかけていた時、「地元の人も対象に」「正社員だけか、契約社員やパートは?」などという情報も出ていました。だから申請する側も慎重になったことでしょう。

 もし全社員(契約社員等含む)が3000人いる会社で「きっと何らかの理由せ接種しない人が5%くらいいるだろうから」と計算して「全社員を対象とし2850人」と発表したら、社内外から「働いている人数と申請数が違うではないか。誰を除外しているのだ!」と叩かれるでしょう。自治体の方が接種スケジュールが早いという人や、アレルギー等で接種できない人、そして接種したくない人もいるわけですから、全社員接種するということはないでしょう。

職域接種の問題点2)重複カウントされる仕組み

 職域接種は、仕事をしている人や学校に属しているとチャンスがあります。逆に言えば、仕事をしておらず、学校にも行っていない人には、あまり縁がありません。

 加えて、こういう人もいるのではないでしょうか。「仕事をしながら、学生でもあり、都市部に住んでいる」という人で、自治体に加え、職場、学校、近所の企業で接種できるという人です。「職場」「学校」「近所の企業」の3カ所で職域接種できるなんて、スゴイですね。この人は、3カ所でワクチンの人数にカウントされている可能性があります。しかし、当然ながら接種するのは1カ所のみです。そうすると2カ所に行きませんから余ります。もしこの人が自治体で接種したら、職域接種でカウントされている分全て余ります。

職域接種の問題点3)接種したことを個人が自治体に報告できない

 自治体は、今、私が職域接種したということを知りません。自治体に電話をかければ話を聞いてくれるかどうかはわかりませんが……。私はやっていません。

 職域接種をすると、自治体から発行された接種券を職域接種の会場に持っていくことになっています。おそらくその後自治体は私が職域接種したことを知ることになるのでしょう。

 しかし、私が職域接種をしたことを現段階で自治体が把握すれば、その分のワクチンは余るわけですから、有効に活用できます。私1人なら小さな数字ですが、職域接種は非常に多くの人に行われています。全ての情報が1回目の接種直後に国や自治体が把握できれば、ワクチンの供給が迅速に行われるのではないかと考えるものです。

職域接種した人が自ら報告できる仕組みを加えるとどうなる?

 もし、職域接種した人が、1回目の接種後と2回目の接種後の15分待機中に、毎回所定のサイトから「私、接種しました」という自己申告による登録ができたらどうでしょうか。

 例えば、国が1つのサイトを準備します。そして接種者は15分の待ち時間中に、「住所」「氏名」「生年月日」「連絡先」「接種会場名」などを入力し、「ワクチン接種のシールを貼った書類」の写真を撮りサイトにアップロードします。(URLなどは接種会場の待機場に表示)

 接種者が登録した情報を国と自治体で共有するとどうなのでしょうか。そうすると次のようなメリットが考えられます。

・自治体で必要なワクチン数が把握できる。将来の計画も立てやすくなる。

・国はワクチンの供給計画を立てやすくなる。

・規定以上接種している人を見つけることができる。例えば、仕組みを理解せず、誤って規定以上の回数(A会社、B学校と2カ所で合計4回接種するなど)を接種している人などがいたら把握できる。*レアケースかもしれないが

・誰がどの会場で接種したか把握できるため、接種後の手続き(国と職域接種の企業や学校)の際にも役立つ。

*この方法では、職域接種の候補が複数ある人に対しての余剰ワクチンの把握はできません。

*私は、大規模接種会場の仕組みはよくわかりませんが、こちらの情報も同様に、可能な限り把握すべきなのかもしれませんね。

職域接種の場合、接種者のインターネットスキルが高い傾向にある

 65歳以上の接種の場合、インターネットでの予約が問題になりました。しかし、職域接種の場合、基本的には企業や学校が行っています。つまり、対象は会社で働く人や学生です。この場合、多くの人がインターネットを利用することができます。よって、「ネットが使えなから登録できない」という心配は、65歳以上の接種に比べて、大きく下がるのではないでしょうか。もちろん苦手な人はいるかもしれませんから、多少の配慮は必要かもしれません。

職域接種は、とてもありがたい仕組みである

 職域接種が加わったことで、広い年齢層での接種が実現されました。これにより、リスクの高い職場で勤務している人や、留学を控えている大学生など、早く接種したい人の希望が叶ったことでしょう。オリンピックも間近に迫っています。メリットはたくさんあったと思います。私自身も職域接種があったおかげで早く接種することができました。

 すでにワクチン接種の取り組みは、全国的に動いていることですし、大きな枠を変えることはできないと思います。しかし、早く接種することで多くの人の命が安全になることは確かです。利用者が混乱しない範囲において、何か少し工夫することで、円滑に物事が動くなら、それは加えるべきではないかと思います。新たな仕組みを加えると反発する人もいます。しかし同意してくれる人もいるでしょう。その人たちからだけでも情報を集めると、物事が円滑に動くのではないでしょうか。

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