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登場人物は「3C」だけで大丈夫?

 マーケティングの世界において登場人物を示す超有名な言葉があります。それは「3C」です。「顧客(customer)」、「競合(competitior)」、「自社(company)」ですね。しかし、現実的に考えると、会社は非常にたくさんの人と関わりを持ち、彼らに支えられています。ビジネスパーソンとしては、もう少し視野を広げておいた方が、結果的にマーケティングで成功するのではないでしょうか。

 みなさんは、「ステイクホルダー」という言葉をご存知ですか。経営を勉強したことある人なら聞いたことあるでしょう。「利害関係者」と言われたりしますが、会社に関係する人すべてと考えるとわかりやすいものです。

 では、一例を挙げてみましょう。

1)従業員(その会社で働く人)
2)顧客
3)競合
4)取引先
5)行政
6)株主
7)債権者
8)地域社会 など

 ここでは8つのみ書きましたが、もちろんこれだけでは足りません。例えば、今の時代、環境問題のことも忘れてはいけませんね。そうなると環境団体なども挙げられるでしょう。

 それでは1つずつみていきましょう。

 1の「従業員」は、会社で働く皆さん自身ですね。3Cの「自社」と一部重なります。2の「顧客」、3「競合」も「3C」と重なる登場人物です。商品を購入してくれるお客様、そして自社の商品の競合です。

 4以降のプレイヤーは3Cにはまったく登場しませんね。しかし疎かにするわけにはいきません。

 4の「取引先」は商品を仕入れたり販売したりする相手方のことをいいます。もちろん配送業社、パッケージ制作業者なども全て含みます。「取引先はありません」という企業はないでしょう。
 販売戦略が成功し、大量の注文をいただいたとしましょう。しかしその後商品の製造が予定通り進まず、お客様に納品できなかったら大変です。企業の信用も失います。だから取引先は重要なのです。
 「お客様が注文さえしてくれれば、あとはどうでもいい」という考えの担当者は無責任ですね。

 5の「行政」はとても重要です。会社の設立から清算(会社を終わらせること)まで全て法律で定められています。法律で定められた届出を出さないと、会社は存続不能になる場合もあります。
 もちろん日々の業務にも法律は関係します。トラブルが起きたら裁判所にもお世話になります。そもそも、行政の許可がないとできないビジネスもあります。行政とのつながりは、絶対に切り離すことはできません。
 営業現場でも取引先や顧客と契約書を交わすこともあります。日々の取引にも法律は関係しています。多くの方が、個人情報の漏洩などに注意しながら業務を進めているのではないでしょうか。ショップサイトを1つ作るのにも法律が関係します。つまり、行政なしに仕事はできません。

 6の「株主」は出資者として会社にとっては重要な存在です。どんな小さな会社でも株主なしに会社は成立しません。従業員が会社にとって「労働力の提供者」なら、株主は「資金の提供者」と考えるとわかりやすいかもしれませんね。

 7の「債権者」はたくさんいますね。「債権を持っている人」が該当します。取引先、銀行など、多く人が関係します。従業員も債権者にあたります。普段はあまり債権者という認識はないでしょうが、会社が破産したなどで給与の支払いに影響が出ると、債権者としての認識が強くなるかもしれません。

 8の「地域社会」は、皆さんの会社がある「地域」のことです。「1人会社」のような小さな会社ならあまり実感はないかもしれませんね。でも、どんな小さな会社でもその地域に税金を納めていますし、何らかの関係があるのは事実です。
 ニュースで、「地方自治体が企業誘致をする」ということを聞いたことはありませんか? ある地域に「有名企業の大工場ができる」となると、雇用の創出、地域経済の発達など、新たな経済発展が見込まれます。
 企業側も、建設業者をはじめ、地元の銀行、公共交通機関、コンビニや飲食店をはじめとした企業にもお世話にるでしょう。作っている商品によっては、その地域の人もお客様になるかもしれません。
 しかし、時には企業誘致が原因で問題が起きる場合もあります。もし企業が地域の環境を汚染し、あなたとご家族が工場の近所に住んでいたらどうでしょうか。あなたのご家族に健康被害があるかもしれません。
 つまり、会社と地域社会との関係は切っても切り離せるものではありません。

 「商品を売る」ために関係している人は、3Cだけではありませんね。また、1人の人がいろいろな部分に関わっている場合もあります。例えば社員(従業員)は「1)従業員、7)債権者、8)地域社会」で登場しましたね。お客様も、人によっては「2)顧客、6)株主、8)地域社会」かもしれません。そうなると「お客様は大切にするけど、地域社会に住む人は私には関係ない」とは言えません。実は毎日通勤途中に通うコンビニの店長さんがあなたの会社の商品の大ファンかもしれないのです。

 複雑化しているからこそ、マーケティングを考える時の「登場人物」は広い視野で考えるべきではないかと思うものです。

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