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自動車メーカーの不正行為公表について

19:30でも明るいこの時期は、好きな季節です。ここまで陽が長くなると、冬の間は松本市街地に出るのが寒くて億劫だったのが、部屋で自炊して細々と夕食をいただくのが虚しくなってしまい、ふらふらと外飲みに出掛けてしまいます。

さて、本日は昨日に続く時事ネタで『自動車メーカーの不正行為公表について』というテーマで、吠えたいと思います。

やっぱり、やってんじゃん……

昨日(2024/6/3)公表された、日本を代表する大手自動車メーカー4社+1エンジンメーカー、トヨタ・ホンダ・マツダ・ヤマハ発動機・スズキの5社が、国土交通省の定める型式認定を簡単に済ませる為の不正行為を行っていた、というニュースをネットで見た際の第一印象は、「やっぱり、やってんじゃん……」でした。

今回のケースは、数年前からずっと連なっていた不正の筈です。(敢えて断言!)表向きは、昨年発覚したダイハツの大規模な隠蔽操作を受けて自社点検した結果、驚くべきことが発覚した…… という体裁ですが、個人的には、自動車業界の計算ずくのやらせ(出来るだけ穏便に着地したいという願望)…… だったと疑っています。

というのは、数年前に日産、スバルが不正行為を行っていたことを重く見て、日本を代表するトヨタGr.が総点検をしなかったことが今回明らかになったからです。あの時、日産が批判の矢面に立ったことを受けて、各社の幹部陣は真っ青になった筈です。でも、そうではなかったようです。今回不正が発覚したホンダは、現行車種は問題なくて、過去には問題があった…… というストーリーを仕立てています。現在の私はホンダ車ユーザーですが、「そんな訳ないでしょ…」と思いました。だいぶ前から問題が表に出ることがわかっていて、こっそりと是正を続けており、現行生産車種への影響を回避できるこのタイミングで公表に踏み切ったということなのだと推測します。

日本の20年デフレに一役買ったカーメーカー

ことのほか辛辣にことばにしたのは、私が以前勤めていた鉄鋼業界が、この手の不適切行為の発覚を受けて、マスコミや事情をよく知らない一般人、需要業界の一部から、クソみそに叩かれた経験があり、そのことについて少なからず怨念を抱いているからです。今の私は、かつて在籍した古巣企業含めて、鉄鋼業界を擁護する立場にはありませんが、当時を思い返すと、嫌な気分になります。自動車メーカーは、報じるマスコミにとって大スポンサーであり、大きな社会的制裁を受けることはないでしょう。広告自粛の話にもなっておらず、通常通りコマーシャルも流れています。強きは援けられ、弱気は叩かれるのが世の常です。

現場で問題に直面されていた人たちに、同情する気持ちはあります。不正行為は良くないと正論をぶち上げても、組織的には黙殺されるだけですし、かなりの確率でチームワークを乱す人認定されてマイナス評価を受けます。赤信号は皆で渡れば怖くはないものの、バレて責任を取らされるのは、実際に手を染めていた部門の責任者です。今後も、この手の不適切案件が明るみに出る度に、あの苦い時代を懐古することでしょう。多分、生涯忘れない気がします。

日本の後半の20年デフレ(2000年~2010年代)に、自動車メーカーは一役買っていると、私は信じています。「値上げは悪」「コストダウンは正義」「儲けは俺たち、損失はヤツら」という風潮を日本社会に植え付けるきっかけになったのは、稀代のコストカッター、日産自動車元社長カルロス・ゴーン氏にはじまる......  と私は確信しています。デフレの中、結果的に自動車メーカー各社は我が世の春を謳歌したように思います。中で働く社員の方はそこまでの恩恵を受けていないと思いますが……

2022‐2023年前半にかけて、自動車メーカー各社は、大手半導体メーカーが、自分達のことを最上級なお客様とは認識していない、という現実を見誤り、自動車生産に必要な半導体が十分に調達できない、という大失敗を経験しました。「供給責任」という便利なことばが通じる相手ではありませんでした。おそらくですが、やりたい放題やり尽くせる我が世の春が終わりを告げたことを、心ある自動車マンは、痛感した筈です。

名古屋出身なのに、T自動車が大嫌いだった先輩の思い出

私は1991年に社会人になりましたが、新入社員の時、社会人としての1から10まで、仕事の極意を教わった先輩は、生まれも育ちも名古屋の方でした。その方は、O田さんと言い、入社年次は私の二つ上でした。O田さんは、お酒好きで、連日のように飲み屋街を連れ歩いて貰いました。

ある時、残業終わりの居酒屋で、「O田さん、生まれも育ちも名古屋なんだから、T自動車に就職を考えなかったのですか?」と質問しました。これが、O田先輩のスイッチを入れてしまったのか、その後延々1時間以上、いかにT自動車で働くことがブラックで、三河が本拠のT自動車が、尾張名古屋を食い物にしてきたか(当時の私は、愛知県東部は三河の国で、名古屋エリアが尾張の国であることを知りませんでした)を滔滔と語られました。その夜は、なかなか帰してもらえず、独身寮のベットに倒れ込んだのが、明け方3:00過ぎでした。翌日は、普通に仕事だったので、これは社会人1年目の鮮烈な洗礼でした。

昨日のニュースをネットで見た時、もう30年以上前になる、あの時の記憶が甦りました…… 


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