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寒い夜に聴きたい曲③:ライフ・イン・ア・ノーザンタウン

連日寒い夜が続きます。そんな寒い夜には、冬の名曲を味わって、心から暖まっていきたいと思います。第三弾として取り上げるのは、ドリーム・アカデミー(The Dream Academy)『ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン Life in a Northern Town』(1985)です。

冬と言えば…… 頭に残る一曲

この曲は、英国のバンド、ドリーム・アカデミーが1985年3月に発売したデビューシングルにあたります。英国のフォークシンガー、ニック・ドレイク(Nick Drake 1948/6/19-1974/11/25)への哀歌として書かれたもので、レコーディングには、ピンクフロイト(Pink Floyd)のデビッド・ギルモア(David Jon Gilmour 1946/3/6-)が協力しています。1986年2月に米ビルボードチャートで7位を記録するスマッシュ・ヒットになり、いきなりワールドクラスの知名度を獲得しました。冬の定番曲と言われた時には必ずピックアップする一曲で、冒頭を聴くと、英国北部の寂しげな情景と美しいメロディーが浮かびます。

ドリーム・アカデミーは、ボーカル、ギターのニック・レアード-クロウズ(Nick Laird-Clowes 1957/2/5-)、サクソフォーン、ボーカルのケイト・セント・ジョン(Kate St John 1957/10/7-)、キーボード、ベース、ボーカルのギルバート・ガブリエル(Gilbert Alexander Gabriel 1956/11/16-)の三人組で、1983年に英国ロンドンで結成され、1991年に活動に終止符を打つまで3枚のアルバムを残しています。『ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン』は彼らにとっての最大のヒット曲です。

儚くも、美しい

私がこの曲を初めて聴いたのは、ラジオの『アメリカントップ40』です。『アメリカントップ40(AT40)』は、DJのケイシー・ケイサム(Casey Kasem 1932/4/27-2014/6/15)の特徴的なお喋りで知られたアメリカの人気ラジオ番組で、私が高校生だった頃は、ラジオ関西(ラジオ日本系列)で、毎週月曜日の夜に聴くことが出来ました。湯川れい子、矢口清治、今泉”スヌーピー”圭姫子の各氏の軽快なトークと洋楽ファン垂涎の解説や情報を毎週楽しんでいました。

この曲の美しいメロディーラインとコーラスには、最初から魅せられました。どことなく憂いや儚さも含んでいて、心に滲みる感じがありました。個人的には、以下の歌詞の部分が、とても印象深く感じています。

he said in winter 1963
it felt like the world would freeze
with John F Kennedy and Beatles
彼は言った ”1963年の冬は、世界が凍りついたように感じられたものさ
ジョン・F・ケネディとビートルズと一緒にね”

Life in a Northern Town/私訳

1963年の冬とは…… アメリカ合衆国第35代大統領、ジョン・F・ケネディ(1917/5/29-1963/11/23)がダラスで遊説中に狙撃されて暗殺された年、ビートルズが圧倒的な人気で世界中を席巻していた年…、そんな自分が知らない時代の歴史を湯川れい子さんが解説してくれたのを、記憶しています。

PVの美しさ

そして、この曲のもう一つの魅力は、2種類制作されているプロモーションビデオでしょう。当時は、MTV全盛時代であり、モノクロ映像を効果的に使ったビジュアルの良さも、ヒットに一役買ったことは間違いないと思います。

見るからに寒そうな光景の描写、閉ざされた暗闇から微かに希望の光を照射するような幻想的な感じがあり、好きなビデオの一つです。

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