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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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#水野和夫

希望という名の華々しい茶番劇

横浜の自宅に戻ってきて、寛いでいます。本日は、パラパラと読み返した水野和夫『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』(集英社新書2017)で引用されている、『希望という名の華々しい茶番劇』ということばから思い浮かんだことを膨らませて、自分の問題意識を深めておこうと思います。 「希望」は幻想一般に、「希望」は好意的に受け止められていることばです。「希望」ということばから受け取るメッセージは人それぞれではあるものの、「未来には何の希望もない」「希望の光が全く見えない」というような台

『正義の政治経済学』を読む❷~資本主義を問い直す

本日は、水野和夫・古川元久『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の読書感想文第二弾、『第二章 資本主義を問い直す』からです。 社会の<レジリエンス>を育てる【1】近代は、『経済成長』を目指すことが是とされてきましたけど、本来は<成長>そのものが目的ではなく、本当は成長の先にある<幸せ>ですよね。<成長>はあくまで<幸せ>になるための手段であったはずです。極論すれば、幸福でさえあれば、別に経済成長などしなくてもいいともいえるわけです。(P74-75 古川) 【2】セルバン

『正義の政治経済学』を読む❶~歴史から問い直す

本日は、水野和夫・古川元久『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の読書感想文、その第一回です。 さらば成長教…水野和夫氏は、著名な経済評論家(法政大学教授)で、古川元久氏は、愛知二区選出の現役衆議院議員(国民民主党)です。私の最近の関心事 ー脱成長ー に関連している本だったので、本屋で見かけて購入しました。 本書は、水野氏と古川氏の対談形式で、 第一章 歴史から問い直す(P19-71) 第二章 資本主義を問い直す(P72-162) 第三章 民主主義を問い直す(P163

『ショック・ドクトリン』を直視する

まずは御礼を。 2021/2/15に累計PV数が20万を突破しました。これまで私の記事に目を止めて読んでいただいた全ての方々に深く感謝を申し上げます。私は引き続き書き続けていきます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日のテーマは、『ショック・ドクトリン』です。 『ショック・ドクトリン』とは?『ショック・ドクトリン』は、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン(Naomi Klein, 1970/5/8-)が2007年に発刊(日本語訳版は2011年)した『ショック・ドク