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美しく歩くということ

この記事は、6月に念願だった奈良県にある信貴山で、阿闍梨の触りの修行に参加させていただいた時の一コマを切り取ったものです。
この時の感動が大きく、この風景を忘れたくなくて一気に書き込んで投稿した内容です。

この修行は、現在学ばせていただいている陰陽五行論塾のお仲間とのもので、本当は2020年春に行ける予定でした。
残念ながら中止となってしまい、やっと今年行けたのです。

お寺での2泊3日。
朝3時半に起きて、護摩修行。
護摩修行は参拝者が願い事を書いた護摩木を炎を使って祈祷する行。

その後場所を本堂に移して大般若経を行わせていただきました。
管主様の読経の声の美しさは涙が出るほどの感動を引き起こします。
山々に響くのは度胸の声と鳥の囀りだけ。

そんな世界に行ってきた時のことです。


*   *   *   *   *


信貴山での修行中。

作務衣に雪駄姿で無言で歩く行がありました。

朝4時半。


白々と夜が明ける中、雪駄の音と衣類の擦れる音だけが響く。


私はお師匠様の歩く姿が見たくて見たくて

必死で真後ろ近くを付いて歩かせていただきました。


行を重ねてきたお師匠様の歩く姿は本当に美しい。


凛としたお姿。


華やかに舞う指先。


軽やかな足音。


途中、お堂の前に来ると足を止め、お堂に向かってなさる一礼。


そしてまた無言で歩き続ける。


   歩いた後は浄化された道ができていく。

   この道を歩くのは本当に心地がいい。

   その道を穢さないように

   ただひたすら所作を真似をしながら歩く。


   お師匠様が右足を出すなら 私も右足を。


   テンポをピッタリ合わせるには

   足元は見ない。


   見るのは頭の動き。


   それで歩きのテンポはわかる。


   後は雪駄の音に耳を傾ければいい。


ずーっとこのまま歩いていたいと思う。


美しい衣装を着ていないから

かっこいいハイヒールを履いていないから

スポットライトも浴びてないから

美しく歩くことだけが際立つ。


お堂に一礼されるあの膝と首の動きとリズム。

脳裏に焼き付いているお師匠様の所作。


   お師匠様の歩きの所作に

   不思議な感覚を覚えた。


   左腕は行中だったので固定されている。


   右手は歩きのリズムに合わせてヒラヒラと

   空を舞っている


   なのに私にはどうしても

   もう1本右手が見えてしまう。

   感じられてしまう。


   その右手は胸の真ん中に添えられている。

   大切な思いと共に歩くように。


あれは私にとっての宝物。


私が伝えたい歩きは究極こういうこと。


そんな美しい歩きを一瞬でも誰かに味わってもらえたら‥。

そう思いながら今日も一歩を出し

一礼をしよう。


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小野寺MARIKO麻理子
オフィシャルサイト

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