【今月の新人】CMLLの気になる若手:スペル・アストロJr.とエル・コヨーテ
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【今月の新人】CMLLの気になる若手:スペル・アストロJr.とエル・コヨーテ

2021年もあっという間に1ヶ月。緊急事態宣言による自由時間の増加に伴い、ルチャドールのインタビュー動画などを観る時間も増加し、「こ、これは貴重な情報だ!」と興奮の日々を送っている。しかし貴重な情報なのは私にとってだけで、世の中の9割、いやそれ以上の人にとってはどうでもいい情報だ。こうやってどうでもいいことに興奮して私は死んでいくのだろう。死ぬ前に、CMLLの気になる若手ルチャドール(2021年1月編)について書いておく。

■スペル・アストロJr.が試合中に発する「フイヤセ!」の意味は?

まずは2021年1月13日、CMLLの情報番組「インフォルマ」に出演した​スペル・アストロJr.(15分あたりから出演)。有名ルチャドール「スペル・アストロ」を父に持つ若手テクニコ(善玉)で、まだ20代前半ながら独特な魅力が炸裂している選手だ。

独特な魅力が何かというと、ひとつは試合中の掛け声。ベテランのルチャドールには言葉を発しながら試合をする選手が多い。リングを走りながら、相手を捕えながら、ハッタッタッ!などと軽やかに声を上げながら戦うさまは、観ている方も心が沸き立つ。若手でそれをやる選手は少ないが、彼は父親のスタイルを引き継ぎ、掛け声とともに関節技を出し、相手を投げ飛ばす。彼の試合には独特の躍動感がある。

そのスペイン語の掛け声の内容が謎なのが残念だ。しかしこれが日本人の私の限界だろう仕方あるまい。と思っていたが、番組司会のフリオさんにも謎だった模様で、それどころかスペル・アストロJr.本人にも謎だったことが判明した。

「父に『フイヤセ!』ってどういう意味か聞いたことがあるんです(笑)。バモス(行け~)とかオラレ(いいね/やろうぜ)とかシ・セ・プエデス(お前ならできる!)とか、いろいろ意味があると言ってましたね。

なぜ声を出すのか聞かれますけど、父との昔からの習慣なんですよ。いつも父と『フイヤセ!』って言ってから練習を始めるんです。それに大きな結果を成してきた父から、リングの上で感情を声に出すことは成功を手にするカギだとも教わってきたので」

ルチャドールは総じて、家族への愛と敬意を口にする。特にサンソン、クアトレロはBGMとしても成立するほど落ち着いた声で、聴けば荒んだ心も鎮まるのでおすすめだ。このスペル・アストロJr.も心を和ませる明るい声を持っており、聴いていて気持ちがいい。

スペル・アストロJr.は2018年からCMLLに参戦している。コロナに翻弄された2020年を振り返ってこう話した。

「おかげさまでCMLLに来て3年。2020年には実現してやろうと思った夢がいっぱいあったんですけどね…! というのも、今のルチャリブレは昔よりずっと激しくなって、その中で古くからあるタッグや6人タッグの戦いが忘れられているように思うんです。

新しいってより、今のルチャとはちょっとちがうもの。そういうルチャが観たい人もいると思うんですよ。だから2021年、僕は新しい世代のタッグ/トリオの戦いをCMLLのリングでお見せしたいですね! ソニックとかアルコン・スリアノJr.たちとやっていけるんじゃないかなって思ってます」

若手ルチャドールがアメリカや日本のスタイルを取り入れる中、メキシコの伝統を守る宣言とも取れるこの発言。頼もしい。

そして彼の実家はトルタ(サンドイッチ)店「トルタス・スペル・アストロ」を営んでいる。現在はコロナの影響もあり、朝9時から夕方6時までテイクアウトのみの営業(2021年1月13日現在)。おすすめは「トルタ・グラディアドール」。全長40cm、重さはなんと3kgもあるサンドで、ハム、チーズ、卵、チョリソー、チキン、サルシッチャ、ベーコンなど具だくさんなんですよ~と、軽やかに宣伝し、売り子の顔もチラ見せ。

この淀みないトークは、子供の頃からの店番で磨かれたのだろうか。いろいろ気になるスペル・アストロJr.である。ちなみにCMLL期待の新人アトランティスJr.は近所の幼馴染で、子供の頃からのエピソードがいろいろあるそうなので、そのへんもいつか聞いてみたいものだ。

さて、そんなスペル・アストロJr.を「すごいポテンシャルと空中殺法の男! 尊敬するライバル」と称賛するのが、野生のルード(悪役)、エル・コヨーテだ。

■エル・コヨーテのマスクの素材は◯◯!?

エル・コヨーテは、メキシコ北部タマウリパス州出身の若手ルード。コヨーテをモチーフとしたマスクが印象的で、試合でも「ワオーン」と遠吠えをかます賑やかな選手だ。しかしイロモノでは決してなく、「メキシカンストレッチ」などと呼ばれる複雑なジャベ(関節技)の使い手で、試合ではあっという間に相手の足や手を絡め取るので目が離せない試合巧者だ。

子供人気も高く、試合中に遠吠えを真似するちびっ子もたくさんいるそうだ。「そんな子供たちの声を聞いたり、一緒に写真を撮ったりすると、ここ数年の努力が実を結んだと感じています」とコヨーテ。(いい人っぽいな!)

司会のフリオさんは、2020年3月13日のスペル・アストロJr.とのシングル対決を称賛しつつ「コヨーテのマスクは誰にも似ていなくて素晴らしいよね!」とマスクに興味津津。そう、彼はマスクにはかなりこだわるルチャドールなのだ。コヨーテのマスクは自分でデザインし、使う布地も自分でセレクトしており、過去のマスクには野生のバッファローの革を使ったものもあったそう。

「このマスクは自分のルチャに特別な個性を与えてくれたし、何よりコヨーテというマスクマンが観客に受け入れられたのがうれしいですね」

近いうちに本物のコヨーテの革を使ったマスクを作るそう。コロナで興行が制限されるからこそ生まれたマスクなので「COVIDエディションだね(笑)」とおっしゃっていた。

さて、エル・コヨーテはタマウリパス出身で、ルチャを初めたのは北部のヌエボレオン州モンテレイ(その時の師匠はミステル・リンス)。最初は「アンタリス」というテクニコとしてのスタート。

ルードに転向したのはその後の師匠の影響で、メキシコシティに来てからは偉大なルードであった故アルカンヘルに、その後はトニー・サラサールに師事し、ルードとして鍛えられたそう。さらに名前を挙げたのがチャチョ・エローデス。

「しっかり教えていただいたしいつも力添えをいただいたし、彼の息子(エローデスJr.)ともタッグを組んだ。運命の結果として別の道を歩むことになったけれど、エル・チャチョは自分のマエストロの一人だし、今でも大好きです」

ルードにはいい人が多いというが、彼も終始どこか真面目さが伺える話しぶりで、好感度はぐいぐいと上がり続けている。

「アレナメヒコで試合することは、タマウリパスのランチョ(農場)を出た時、自分に誓った夢だった」と語るエル・コヨーテ。別のインタビューでは、メキシコシティに出てきた当初は金が尽きて一時は路上生活だったと語っており、諦めずに夢を叶えたあたり、悪役レスラーながら子供たちのヒーローになるのは必然だったかもしれない。

蛇足だが彼が働いていたのは同郷のルチャドール/グラン・モロ氏の所有するランチョだ。私の頭はこういう役に立たない謎情報でいっぱいですよどうにかしたい。

番組の最後で「コヨーテの遠吠え」の仕方を教えてくれたのでみんなでやってみよう。

①胸を開いて②横隔膜を拡げてたっぷり空気を取り込んで③少しためて④上に向かって放つ。

アオ~~ン!!!

自粛ライフで沈みがちな気持ちも遠吠えがあれば乗り切れる(たぶん)!

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arigatito!
ルチャリブレ研究家/プロレス歌人。編集者/ライターとしても活動中ですが、ここではルチャリブレのことだけ書きます。 編集協力:集英社『週刊プレイボーイ』/彩図社『東郷見聞録 世界一周プロレス放浪記』/新日本プロレス「FANTASTICA MANIA」シリーズ公式パンフレット