見出し画像

鑑賞ログ「涙の女王」


韓ドラ観劇記録

ずっと鑑賞ログをおざなりにしていたけれど久々に。
ログは書いてないものの、ちょこちょこ見ていて「面白いなぁ!」と一気見した作品はかなりある。わたしの韓ドラ記録は、その道を極めた方々からしたら決して多くないが、ここ1年くらいで観たもので特に印象に残っているものをピックアップ。

『怪物』主演の2人の演技がえぐい
『ウヨンウは天才弁護士』毎回泣く。カン・テオに沼った
『グローリー』ザ・復讐もの。ゾクゾクする
『もうすぐ死にます』主演が毎回変わる新しいドラマ(一人は変わらないけど)
『マスクガール』現代の闇を突き付けられる

などなどなど。また時間があるときにログを書くかもだけど、個人的オススメ作品。

涙の女王とは

ネットニュースなどであの「愛の不時着」越えと書かれまくっているので、見た人も知っている人も多いと思う。

あらすじを転載。

財閥クィーンズグループの3代目で、クィーンズデパートの社長ホン・ヘイン(キム・ジウォン)と結婚した、ソウル大学法学部出身の頭脳明晰な弁護士ペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)。財閥令嬢と平凡な社員のカップルは“世紀の結婚”と呼ばれ、財閥家の婿になりグループの法務理事の座に就いたヒョヌは、周りからは勝ち組と見られていたが、結婚して3年、執事のように扱き使われ、冷淡で自己中なヘインとの生活にうんざりしていた。ある夜、意を決して離婚を切り出そうとしたヒョヌは、先にヘインから余命3か月と告白されてしまう……。
 離婚したくてたまらなかったヒョヌは、もはや憎しみしかなかった妻のまさかの余命宣告で、あわよくば遺産相続をと考えて方針転換。彼女を気遣う優しい夫のフリをしようとする行動をヘインがいい方向へと勘違いしていく。だが、ヒョヌも、ヘインの学生時代の元彼で、M&Aの専門家&投資家のユン・ウンソン(パク・ソンフン)が現れたことで、予期せぬ嫉妬心を掻き立てられる。こじれた夫婦の愛が再燃する一方で、ウンソンの狙いは財閥グループを奪うことだったことも明らかになっていき……。

https://www.cinematoday.jp/page/A0009115

ドラマあるあるの身分違いの結婚、財閥家族の不仲、余命、あくどいライバル、裏切り、などがふんだんに散りばめられている。
つまり、よくあるパターン。なのに見ちゃう。何となく先は読めるのに見ちゃう。俳優の魅力、あるあるを昇華させる脚本、映像の美しさ、丁寧な伏線と回収、その理由はたくさんある。

特にキャラクターが魅力的。
ネタバレにならぬよう、キャラクターを中心に作品について書いていこうと思う。

ナイスキャラ賞

どの役柄もキャラクターが強くて、魅力的で、大好きなんだけど、一番を挙げるとすれば、ヒョヌの義姉、へインの叔母であるボムジャ(キム・ジョンナン)

3度の離婚を経験した上に、刑務所にも入っていて、ド派手な衣装でギャンギャン喚き散らす激昂型人間という激強キャラ。最初の登場シーンで「やべえなこの人」と思わせる。

ただ「やべえ人」だけで終わらないのが韓ドラ。大体こういう人は「いい人」でもある。冷淡な財閥家において”感情”を真っ先にストレートに出し、言いたいことをズバズバ言う人は理解されず、生きづらい。だけどその存在が色んなことを解決したり、癒したりするのである。物語が進んでいくと必ずみんなが好きになるキャラだと思う。

そして、ボムジャがこの物語において、コメディの三分の一くらいを担っているのでは?と思うほど重要なのである。
「生死」「愛憎」「復讐」をメインに扱っているから、どうしても重く、暗くなることも多い。だが、ボムジャが出てくると大抵はそのシーンが面白くなる。特にラブコメシーンでは「よっ待ってました!」と言っちゃうくらい欲しがっている自分がいた。
ぶっちゃけオバサンとオジサンの恋愛シーンなんだけど、とっても二人がキュートでキラキラして見えるのがいい。ちなみに相手のオジサン・ヨンソンは「愛の不時着」で”耳野郎”ことマンボクを演じていたキム・ヨンミン。つかみどころのない愛すべき田舎のオジサン。
このふたり最高。

キム・ジョンナンは「愛の不時着」で北朝鮮の村の主婦達のトップだったヨンエを演じていたのだという。「愛の不時着」も見ていたが、そのビジュアルと演技の違いに同じ人物と思えず本当にビックリした。

オマージュ祭り

「涙の女王」の面白さはオマージュやカメオ出演だろう。

わたしの大好きな「ヴィンチェンツォ」から飛び出し、そのままヴィンチェンツォの役でソン・ジュンギが出てきたときは思わず拍手をした。へインの弁護士としてヒョヌと対峙するのだが、かっこいいやら面白いやらで(完全コメディシーン)湧き上がった。

また「ヴィンチェンツォ」でお調子者の悪役だったクァク・ドンヨンは「涙の女王」ではへインの弟スチョルを演じている。やはりお調子者で、強者について回る金魚のフンみたいな奴なんだけど、どこか憎めない。ズルいやつ。

あとは「サイコだけど大丈夫」からオ・ジョンセがカメオ出演。もっと出てほしかったけれど、1、2シーンだったような。

とにかく「愛の不時着」「ヴィンチェンツォ」繋がりのキャストやシーンが多くて、にやけちゃう。

まとめ記事に詳細あり。

成長したキム・ジウォン

財閥令嬢ホン・へインを演じたキム・ジウォンの出演作品は「私の開放日誌」「サム・マイウェイ」「太陽の末裔」など多数あるが、実はほぼ見ていない。

だが、主演じゃないがキム・ジウォンを覚えている作品がある。
それは「カプトンイ~真実を追う者たち~」

主人公の刑事に片思いする高校生を演じていたが、その頃から当たり前だけど抜群に可愛かった。妹的な扱いをされても気を引こうと頑張ったり、事件に協力しようと無謀な行動に出たりと、そんなキャラだった。

実際にあった事件をモチーフにつくられた作品なのと、サイコパス役のイ・ジュンが良かったのでハマって見ていた。

私としては、高校生役をしていた若かりし(たぶん20歳くらいの時?)キム・ジウォンが、財閥令嬢でデパート社長で、結婚していて、でも離婚寸前で、さらに余命宣告されて……成長した娘を複雑な親心で見ていた感じである。

へインの、華やかなファッションに身を包み、愛想もクソもないけど自信満々で、会社のために必死で戦っている姿は、結構好きだった。

そしてヒョヌと再び向き合っていく中で、へインの弱さ、可愛らしさが見えてくるのが微笑ましい。いわゆるツンデレなんだけど。

おばさんはジウォンちゃんを応援しているよ。

悪役大魔王パク・ソンフン

各媒体でも取り上げられているのが、ザ・悪役に終始徹したパク・ソンフン演じるウンソンである。悪役すぎてSNSでも誹謗中傷が来たほどだそう。

ウンソンはへインに片思い(というか執着)しており、どうにか手に入れたくて八方手を尽くすけれど、ヒョヌに邪魔されてうまくいかず、常軌を逸した行動に進んでしまう。彼の生い立ちが強く影響しているが、生まれ持ったサイコパス性もあるからまた大変。

パク・ソンフンと言えば「グローリー」でも見事なクズ金持ちチョン・ジェジュンを演じていて、最後は天罰がくだってスッキリしたのが記憶に新しい。「グローリー」では正直ただの悪一味の一人で、その背景や詳しい人間性はなくて、生まれながらの金持ちでクズで、って感じだったけど、「悪」はとても板についていた。

こんなに悪役が似合って、視聴者から1ミリも同情されないって役者としてはスゴイこと。それこそ嫌われる覚悟がいるし、演じている時の精神状態って結構しんどいと思う。だからとても尊敬する。ソンフン、えらいぞ!

彼もこの作品のブレイクで主役をやることになるのかしら。「梨泰院クラス」のアン・ボヒョンみたいな流れで。

涙の女王とは誰か

タイトルの「涙の女王」。
もちろんヘインのことだろうけど、スヒョン演じるヒョヌのことでもあると思う。

外から見たらヒョヌは逆玉で、「嫁を迎える」というよりは「嫁に行く」という表現が近い。ヒョヌの実家は田舎町で家を出ているし、ヘインの家族と一緒に住み、その一族が経営する会社で働いているのだから。

どちらも優秀だが、トップダウンで率いていく社長のヘインが王様で、調和を重んじる法務取締役のヒョヌが女王、だと考えたほうがしっくりくる。

涙するシーンもヒョヌほうが多い気がする。
そして何より、スヒョンが泣いている姿がとてつもなく可愛い。

ヒョヌが酔って泣きながら愚痴を言うシーンがあるのだけど、その可愛さたるや……思わずほくそ笑んでしまう。

作中でも、ヘインが「酔った姿は可愛く、泣く姿は母性本能をくすぐる」と愚痴るように褒めるのだが、首を大きく振って頷いている自分がいた。

物語の後半では、ヒョヌの男らしさや強さみたいなものがどんどん急上昇してくるのでそこにキュンとする回数も増えるけれど、それでも、母性をくすぐられる回数のほうが圧倒的に多い。

だけど、キャストみんなが、涙の女王であるとも考えられる。

主役ふたりの物語であるが、ふたりを取り囲む全員にそれぞれの人生があって、それぞれの笑いと涙に溢れているから。誰かを愛したり愛されたり、憎んだり憎まれたり、後悔したり、喜んだり、腹が千切れるほど笑ったり、失ったり、得たりして、生きているから。

そして私たちにも、その人生があって、時として、奇跡のような、ファンタジーのような、できごとは起こる。ごくたまにだけど。

みんなが涙の女王なんじゃないか、その答えは。

この記事が参加している募集

#ドラマ感想文

1,355件

クリエイトすることを続けていくための寄付をお願いします。 投げ銭でも具体的な応援でも、どんな定義でも構いません。 それさえあれば、わたしはクリエイターとして生きていけると思います!