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トレラン記⑫~マウンテントレイル in 野沢温泉ー後編

2023年、8年ぶり4回目のフルマラソン(北海道)完走、初50キロ(沖縄)完走、そして2024年、トレイルランニングに挑戦する41歳わたしの物語。

トレラン記⑪はこちら

37kmへの挑戦スタート

あっという間にスタートの号砲。
37kmの部は約350人が参加。
最後尾よりゆっくりとスタート。
15kmに参加の仲間が写真を撮ってくれた。
こういうのは仲間がいるからこそで嬉しい。

カメラ目線じゃないやないかい笑

最初はお仲間のうっちー(後ろのカメラ目線の人)と並走。
と、広場を出てすぐにクレイジージャーニーでお馴染みの鬼軍曹こと田中さんが道に立って誘導してくれていて、ものすごく感動した!写真撮りたかったけど、レース中なので断念。

うっちーはフラット(ロード)が苦手で山道が得意と言う人なので、途中で「先に行って下さい!」と背中を押され、野沢温泉街に入るちょっと前から一人旅がスタート。

昨日ぶらぶらした温泉街がコースになっているのは面白い。
住人の皆さんも応援してくれて、これから始まるレースの不安が少し和らいだ。

公式Facebookからダウンロード!いい写真!

ロードから登山道へ

温泉街をぐるりして、朝行った受付の前を抜けて林道へ。
若干の登りだけど走りやすい道が続く。ここで10kmをマーク。
あと27km、、、、

しばらくすると登山道へ突入!

細い道なので、ランナーは連なって進んでいく。
水のせせらぎを聞きながら、または滝のダイナミックな流れを見ながら、トレランと言うよりは登山に近い序盤の走り。

すでに雨ははらはらと降っているけれど、苦にはならないレベル。
ガスッていて景色も皆無だし、なんなら雨は少しずつ強くなっている気もするけど、ひたすら登ることに専念すること2時間45分。
ようやく最初のピーク毛無山頂へ到着。
…とはいえ山頂感はなく、ただの通過点って感じ。

ここからくだりがスタート。
雨に打たれた身体は冷たくなりかけている。けどエイドまでは我慢。
しばらく下ると第1エイドに到着。

水を補給して、トマトとオレンジを頂く。
そしてジェルや補食を整理して、買いたてのレインウエアを装着。

「あったかぁ~!!!」

雨がしのげるだけで何という温かさと安心感!!
ちゃんと準備してて良かったぁ!(必携品です!!)

かなりの雨よ

クラッシュ祭り

エイドを過ぎても気の抜けない道が続く。
雨は止むどころか強くなる一方で、シューズのぐちょぐちょも既に諦めがついており、水たまりへのダイブが通常運転。

そして始まったのが、岩ゴロゴロのくだり道。
滑るのなんのって。

ずっとこんな下り道

前を行くランナーたちが次々にクラッシュ!
わたしは絶対こけるまいと、慎重に慎重を重ねて進んでいく。
再びランナーが連なり、クラッシュしたランナーさんに「大丈夫ですか?」とか、後ろのランナーさんへ「ここ気を付けて!」とかお互いに声をかけながら下っていく。

すでに何度か追い越し追い越されしている同じくらいのペースの人たちだから、不思議な一体感が生まれている。そして個々人の妙なテンションも相まってながれる独特の雰囲気が、この上なく異次元な感じがしてとても面白い。

そんな岩くだりを奇跡的にクラッシュせずに終わり、再び最初の広場に戻ってきた。すでにゴールした人たちと、これからまた戦場へ向かうランナーたちで賑わっていた。

泥んこ祭り

雨はピークを過ぎて緩やかになっていた。
一旦レインを脱いで、次のセクションへ気持ちを奮い立たせる。

ロードへ出て、今度は北竜湖方面へ進んでいく。
しばらくすると林道が続く。
比較的フラットな道は走ろうと決めて、コツコツと歩を進める。

二つ目のピークはあるけれど、毛無山ほど高くない。きっと大丈夫。
もしかして緩やかなのぼりが続く系?だったら頑張れるかもしれない。

淡い期待をしていたわたしを打ちのめしたのは、石の階段。
まごうことなき「地獄の石段」である。

修行僧になった気分

走れるわけなどない。
顔を上げるのすら困難である。
とにかく一段一段登るのみ。

チェックポイントの小菅神社にようやく到着。
ここがピークかと思いきや、登りはまだ続いていた。

しかもぬかるんだ登り。
道が狭い。危ない。滑って、足が前に進まない。。。
またもやクラッシュ多発。みんな泥んこだらけになってる。
ここでも近所のランナーさんと声を掛け合い、譲り譲られしながら、進んでいく。
わたしはやはりこけまいと、安全な足場をどうにか見つけ、体幹フル稼働させて耐える。

ついに泥んこの中へ…

何とか耐えきたクラッシュだけど、限界はいずれやってくる。

レースはおそらく後半。
だけど気持ちは終わりなき旅の最中にいるようで。

泥のぼりが終わったら、もちろん泥下りが始まるわけで。

ぐっちょんぐっちょんの道。
いや果たしてこれは道なのか?

泥道の登りから並走していたランナーさんがある瞬間、しゃがんで靴裏で滑り出した。まるで草スキーのような見事な滑り。

わたしは驚きと感嘆のあまり、その拍子につるりところんで滑り下りそうになったところ、ロープのように横に這っていた細い木の根が脇の下に引っかかり、止まった。
まるでコントのようだった。

「大丈夫ですか?」と声をかけられ、恥ずかしさと面白さでニヤニヤしてしまった。手やお尻についた泥を拭う術はもはやない。

泥滑りプロのランナーさんは「わたしこれで行きますねぇ~」とあれよあれよと下っていき、すぐに姿が見えなくなった。

わたしも真似をしてみるが、彼女のようにはうまく滑れない。
体重もあるからめっちゃ速度が出そうになるので怖い。
だけど走ることもできないので、靴裏で滑りながら、ひいこらひいこら下って行った。

ようやく地獄の泥ロードを抜けて、走れるくだり道に出た。
身も心も疲れ切っていたけれど、進まぬことには終わりは来ない。
とにかく走る。無心で走る。
雨は降り続いていた。
スマホを取り出してルートを確認したり、この状況を写真に収めたりする余裕はもちろんない。

ただ時計とだけ睨めっこ。
たぶん間に合うはず。
そう信じて前へ前へ。

安堵のゴール

ようやく山道を抜け、一般道へ。
走っては歩き、歩いては走り。
このゴールまでの道のりがどれだけ長いことか…

前後にいたランナーさんも見えなくなって、本当に一人旅。
誰かを近くに感じられたら安心もするものだけど、最後の最後になって一人ぽっちの戦いになってしまった。

案内に従って走っているから間違っているはずはないけれど、不安に押しつぶされそうになる。だって前にも後ろにも人っ子一人いないし、広場の音や熱気が一切感じられないんだもの。

この時間がこれまでのどんな道のりよりも長く感じられた。
ゴールは確実に近づいているはずなのに。

この道を信じて進むしかない。

・・・と突如現れる広場の芝生の緑!!!

え!!!

あとはあのアーチをくぐるだけ!?

最後の力を振り絞ってゴールへ。

15㎞出場のヒトミンが雨の中待っていてくれた!

どうにか最後は笑顔でゴールしよう!

絞り出した笑顔で!

ゴールアーチを越えた瞬間、なんとも言えない感情がこみ上げてきて少しだけ泣きそうになった。

達成感?喜び?苦しさ?楽しさ?

いや、安堵だ。
無事に帰って来れたと言う、安堵。

もちろん途中で止めようとは思わなかったけど、過酷な状況に自分の足で幕を下ろすことができたこと、自分を称えたいと思った。

やればできるじゃん。

諦めなかった自分に安堵。
自分を信じて、頑張れる力を持ててる。

そんな体験をさせてくれることがトレランの醍醐味なのかもしれない。

その後、うっちーも無事にゴールして、お互いを称え合う。
仲間がいるって心強いな。
わたしが声を掛けたレースに参加してくれてありがとう!

ご褒美タイム

飯山駅にて新幹線の時間まで、プチ打ち上げ。

ご当地クラフトビール
さばちくわ?だっけ…

禁酒していたし、喉も乾いていたしで、超絶うまい。

帰りの新幹線では死んだように寝ましたとさ。

さて次はどうしようかな。


おみやげに買ったビールも美味しかった

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