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なんでもないこと 9

安井順平さんが好き

安井順平さんという役者が好きで、
イキウメという劇団を知って、
毎回公演に足を運ぶようになった。

お芝居が素晴らしいのは当たり前で
声とか、動きとか、佇まいとか、
眼鏡の似合う顔とか
たまに見せる死んだ目も、
キャピッとはしゃぐ姿も、好き。

哀愁、憤り、狂い、滑稽、皮肉、
どっちかというと「負」の表現がもっと好き。

最近は同じイキウメの浜田さんにも
同じかそれ以上の「負」を感じて好き。

「負」には人間の本質が表れるような気がする。

わたしは「負」にどうしようもなく惹かれる。

シンパシーなのか、ないものねだりなのか、わからないけれど、死んだ目が好き。

安井さんの死んだ目の演技が極上なんだ。

観劇後のコメダ

人魂を届けに

いや観劇の感想を書けよ

と、言われないだろうけど言われるかもしれないから、でも、まだ上演中だしどうせ詳しくは書けないけど、とりあえず記す。

「人魂」とは何となく、目に見えないもの、もしくは、見えたとしてもフワフワと浮遊しているもの、のイメージ。付け加えると、色は白。

ホラーや妖怪の世界なんかで、そのように表現されるものだし、大抵の人はそう思っている。

この作品の原点はここにある気がしてならない。

人魂って、ほんとに、そうなん?

作品の中で、人魂は、実体のある塊で、しかも黒黒としてる。登場人物から「臓物みたい」とも表現される。

その人魂は、処刑された死刑囚のもので、親元に返そうと、ある刑務官が森の中に住んでいる母親を訪ねる、という話。

その母の家には、こども(実子ではなく、母に森の中で助けられ、住みついた者たち)がいて、慎ましく暮らしている。

彼らは社会から虐げられた人、もしくは、自ら社会からはみ出たり逃げたりした人。

生きることに意味や目的を持つことが正義であると考えられる世の中に疑問を抱き、生きることを生きている人たちの話。

人魂(ひとだま)となって、極刑を生き延びた政治犯は、小さな箱に入れられて、独房の隅に忘れもののように置かれている。耳を澄ますと、今もときどき小言をつぶやく。

恩赦である(捨ててこい)、と偉い人は言った。
生真面目な刑務官は、箱入りの魂を、その母親に届けることにした。

森の奥深くに住む母は言った。
この子はなにをしたんですか?

きっと素晴らしいことをしたのでしょう。
そうでなければ、魂だけが残るなんてことがあるかしら。
ところで、あなたにはお礼をしなくてはいけませんね。
母はベッドから重たそうに体を起こした。

魂のかたちについて。

https://www.ikiume.jp/kouengaiyou.html

篠井英介さん素敵だったな。

森について

「森」の魅力は深い。
創造において、一度は描きたい場所なのかもしれない。

つい先日読み終わった本、野沢尚「砦なき者」でも、森がキーワードだった。

森は人々に癒やしを与える自然であるのと同時に、得体は知れないが実在する虚構のようで、人は恐れを抱くものでもある。

目に見えるようで、実際は見えない。
そこにいても、離れたところから見ても、全体像は掴めない。

何が生きていて、何が死んでいるのか、ナニモノも把握できやしない。

森なのに樹海と呼ばれる海がある。

不思議な引力がある。

「林」より、「森」のほうがタイトルに使われてるのも納得。

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