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格闘技との日々②


格闘技とわたし

何だかんだ、続くもので。

「格闘技」に触れる機会がまたあった。
だけど、ひとくくりに格闘技と言っても多種多様。

かつて一世を風靡したK-1も、人気の高いプロレスも、比較的新興のRIZINやBreakingDownも、そしてボクシングも、格闘技。

今回は「ボクシング」について。

わたしが働くジムの同僚がプロボクサーで、久しぶりに試合に出ると言うので応援に行った。

正直、わたしは格闘技が苦手である。

何度も訴えていることだが、なぜ憎み合うわけでもない者同士が、殴ったり蹴ったり、羽交い締めにしたり、しなければならないのだ、と。

格闘技の観戦は去年7月のRIZNぶり。
ボクシングとなると……ありそうでないかも。
いや、一度くらいは見たことあったかな。
お仕事なんかでボクサーの方とご一緒になることはあったりしたけど、生での観戦はほぼ初めてかもしれない。

そんな状態だったので、ちゃんとガン見できるかな、とか、楽しめるかな、とか一抹の不安がないと言ったら嘘になる。
しかも同僚の試合である。
ボッコボコにされたらどうしよう…逆に強すぎて相手を痛めつけまくったらどうしよう…そんな思いもよぎった。

二度目の後楽園ホール

後楽園ホールは、知り合いから声を掛けてもらって行った「修斗」と呼ばれる格闘技の試合。

観戦したのはかれこれ2021年の話。
もう3年も前なのか…

東京ドームに隣接した後楽園ホール。
ドームには何度かライブで行っているので、馴染みの場所と言っていい。
試合前にフライデーズで腹ごしらえをし、いざ会場へ。

後楽園ホールはコンパクトな大きさでどの席からも比較的よく見える。
すでに試合自体は始まっていた。彼は次の試合だった。前の試合の状況によってはかなり時間が読めないのは格闘技観戦の難しいところ。
同じように彼を応援するために集まった知り合いに挨拶をしつつ、サッカーで言うバックスタンド側、ちょうどリングと同じ目線で観ることができる席に座った(指定席)。

柿元蓮 登場

我らが応援するのはワタナベジム所属の柿元蓮くん。

前回の試合で怪我をしたためブランクがあり、復帰戦である。さらに、階級をひとつ上げての戦いである。それが吉と出るか凶と出るか……想像がつかない。

普段はカッキーと呼んでいる

いつも職場で見るときとは違う、引き締まった表情。勤務中も決してヘラヘラするタイプではないし、ものすごく真面目な人柄ではあるが、それとは確実に違う。何か背負っているというか、腹が座っているというか、極限まで引き上げた集中が伝わってくる。

ーこういう時って声かけていいんだっけ?

「カッキーがんばれー!」って言いたいけど、その集中を切らしちゃいそうで(そんな生半可な集中ではないに決まってるのに)変に遠慮しちゃう自分がいて。

とか考えていると、他の同僚と会員さんが花束を渡しに行っていて、少しだけほころんだ表情が見えて、ホッとした。

ちょうど顔が見えない…

カッキーのガウン(正式名称なんだろう、羽織っている上着)の背中に「泥中之蓮」って刺繡があって、とても気になった。

調べたところ、

泥中の蓮(でいちゅうのはちす)
蓮が泥の中で清らかな花を開くところから) 煩悩や俗世の汚れの中にあって染まらず、清浄を保っているもののたとえ。

彼の名前は「蓮」なので、座右の銘のような感じなのだろう。
泥の中・・・初め見たときはもっと明るい響きのワード使ったらいいのにぃ~って思ったけど、改めて考えるとカッキーの人柄に合った言葉だから素敵だわ。

そして開始のゴング

両選手の準備やら確認やらが終わり、ようやく。

アナウンスの人が両選手の紹介何かしてるんだけど、何言ってるか全然聞き取れなくて、多分マイクのせいもあるんだろうけど、ホントもわもわ~って耳障りで聞こえねえ!改善求む!

いよいよ試合のゴングが響く。

先にも述べたように、殴り合いを見るのはあまり好きではない。
しかもいつも一緒に働いている同僚。殴られる姿なんて見たくない。

軽快なステップで相手を翻弄

・・・と思っていたのに、いざ試合が始まったら、ガン見。

「行け!」「攻めろ!」「打て!」

応援ワードが乏しいながらも、セコンドさながらに声が出ていた。

前半は圧倒的に押していて、KOもあるかなと言った展開。
そのまま行っちまえ!決めちまえ!まとめろ!
とにかく手持ちのワードを連呼する。
(「まとめろ」は現場で仕入れた専門用語)

どちらも打ち打たれの後半

しかし、相手もしぶとい。見るからにカッキーより体重があり、いくら打たれてもブレなさがあった。後半4Rくらいからは徐々に相手の反撃が始まる。ただもちろんカッキーも引かない。一進一退の攻防が続く。

祈るような気持ちで、でも鼓舞しようと声を出し続ける。
「いけ!」「がんばれ!」「打て!」もうシンプルな言葉しか出ない。

最後は判定に持ち込まれた。

またもやアナウンスがもわもわして聞こえない!
だけど、「赤コーナー!」だけはハッキリ聞こえ、歓声が上がった。

ガッツポーズで去り行くカッキー

よかったぁ~!!

勝ってナンボ!
勝利をありがとう!!

みんなで胸を撫でおろし、すっかりボクシングを見ることの面白さを知ったわたしは、続く試合も楽しませてもらった。

開始早々のKOがあったり、推しの選手を見つけたり、圧倒的に攻めてる方が出血によりドクターストップがかかって負けたり、何かしらワイのワイの言って盛り上がった。

戦う覚悟

リングに上がるボクサーに具体的な指示なんて当たり前だけど出来ないけれど、きっとつらい時に応援の声が聞こえたら足が動いたり、パンチを繰り出せたりするんじゃなかろうか、そう思って声を出し続けた。

彼らは生身の身体で、たったひとりで、リングで戦う。

戦う前には厳しい減量がある。厳しい練習を重ねて重ねて、重ねる。

どんなに鍛えていても、どんなに強くとも、死の危険すらある。

その覚悟たるや。

想像ができない、自分には持ちえない種類の覚悟。決意。

つまりは、変な人なんだよなぁとも思うけれど(笑)
だからこそ魅力的で、応援したいと思うんだろうなぁ。


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