ユニットライブというものについて。

僕は個人でライブ主催を定期的にやっている。
ただそのほとんどが単発のライブであり、出演するメンバーも回ごとに異なる。
お笑いライブ全体で見ても、単発のライブが占める割合は最も多い。
定期開催でメンバー固定のいわゆる「ユニットライブ」は、ライブシーンの中で少ないわけではないが多くを占めるわけでもない。

だが、僕が主催するユニットライブが1つだけある。
去年の11月から始まったユニットライブ、「新大石兄弟」(厳密には僕1人で主催している訳じゃないけど)

第1回終わりの集合写真

ネタ2本とコーナーを行うライブとして、僕と木場で企画・立案。他のメンバーも勿論いろんな形で構成に携わっている。
メンバーは、新作のハーモニカ、大仰天、オッパショ石、マリオネットブラザーズという、なんとなく同期くらいの4組。
もっと人気が欲しい奴らで集まって、人気のユニットライブに成長させたろうというコンセプト。
ユニット名の由来は、まあ見て気付く方もいると思うが、それぞれのコンビ名の一部をとっている。

記念すべき第1回目の企画は、M-1の3回戦の合否が出る日だったこともあり、企画で合否を発表するということになった。本当に恐ろしい企画。誰が言い出したんだよ。俺だったわ。
4組とも3回戦に進出していたため、1組ずつ発表。結果は3組合格の1組敗退。客席には嬉し涙か悲し涙か、泣いている方が何名かいらっしゃった。

そこからこのライブはほぼ毎月開催され、色んなネタや企画を行ってきた。
楽しいゲーム的な企画からシャッフル漫才、また番外編として企画だけの90分をLOFTで行ったこともあった。
正直この4組のライブを1500円で見れるって大分お得だと思う。

ハッキリ言って、多少の失敗はありつつもお客様が満足できる物を提供し続けてきた自信はある。
だがここで、深刻な問題が発生。
なにかというと、お客様の数が徐々に減ってきてしまっている。
目に見えて減っていると言うほどでもないけど、徐々に徐々に少なくなって来ている。

ユニットライブは、どうしても回を重ねるごとに集客が落ちていってしまう宿命にある。
なぜかというと、ユニットライブはお客様が“内輪感”を感じてしまいやすく、新規の方にとっては入りづらいライブなのだ。
お客様は時間的にも予算的にも見れるライブの数が限られているため、新規開拓というのはハードルが上がる。
かといって今来てくださっているお客様がずっと来続けてくれるかというとそんなこともない。様々な理由から途中で離脱するお客様も出てくる。
つまり新規を獲得し続けないと、ユニットライブというのは続いていかない。

新ネタ縛りのユニットライブは、新ネタに重きを置いているため内輪感を感じにくいが、
企画メインのライブは特に内輪感が出やすい。
厳密に言うと、演者達で内輪感を出さないように意識していても、ユニットライブというだけで「なんか今更通い出してもなあ」とお客様が思ってしまいやすいのだ。
こうした状況の中で、そのまま諦めずに続けていくことで成功する例と、赤字が続いて解散になるユニットライブがある。
新大石兄弟は、赤字は出ていないもののそう遠くないうちに赤字に転落する可能性が少し出て来てしまっている。

そこで、8ヶ月続いた「新大石兄弟」だが、この度ライブ内容を見直すことになった。
というのも、上で述べた90分企画だけのライブが大好評で、このライブをもう一度やって欲しいという声が多数届いた。
その声を受けてメンバー間で話し合い、「ネタは色んなライブで見れるわけだし、どうせならこの4組がいることで見れるワイワイしている部分をもっと出したいよね」ということで、来月からネタの数が2本から1本になり、その代わり企画の時間が増えることになった。
そして企画の内容も、ただゲーム的なことをするのではなく、もう少し力を入れた内容にしようということに決まった。
ちなみに来月は8月1日で、企画はリップグリップ岩永君が作問した中学生レベルのテストを皆で解いて順位を決めようというもの。

「あれ?企画メインのライブは新規を獲得しにくいんじゃないの?書いてることおかしくない?」という風に思う人もいると思う。
実際、構成は変えずにネタを新ネタ縛りにするという案もあった。
だが、「この4組が集まった時の強みは“ネタ”なのか?むしろ“同期仲良し4組であること”なんじゃないのか?」という意見があり、それには僕を含め全メンバーが賛同した。

そこで、グループYouTuberの戦略を考えてみることにした。
勿論いろんなYouTuberがいるので一概には言えないが、基本的には「魅力のある企画」と「内輪的な企画」の2つを動画にしていることが多い。
これは、「魅力のある企画」で新規を獲得し、「内輪的な企画」で新規の方を固定客にするという戦略だ。
YouTubeはライブと違って気軽に見れるという違いこそあるものの、この戦略は使えるんじゃないかという風に考えたのである。

そこで新大石兄弟も、「引きのある企画」「見たくなる内容」を告知に載せ、よりお客様に興味を持ってもらい、来場や配信購入に繋げようということになった。
幸いにも新大石兄弟は初回から配信を続けているため、来場のみのライブよりも視聴のハードルが低い。
配信は「地方の方が見れるようにできる」というメリットと「来場するほどではないけどちょっと興味がある人が見れる」というメリットがある。
前者も大事だが、今回は後者のメリットも使ってライブの拡大をはかろうということになったのだ。

だが一つだけ注意しないといけないのは、
「YouTubeは過去の動画も遡ってみれる」ということ。
新大石兄弟は、最新のもの以外は配信期限が終了しているため、もう見ることはできない。
つまり「この4組のワイワイという内輪」を出すのは良くても「過去の内容を使うという内輪」はあまりやるべきではないのである。

ただ、そこさえ気をつけて、かつ質の良い企画や内容を提供し続けることができれば
きっとこのユニットライブを続けていくことが可能だろうという見込みでライブの見直しが行われたのである。

勿論あくまで実験的な変更であり、またすぐ見直しがはかられる可能性もゼロではない。
ただこの形で成功できる勝率は、そんなに低くないんじゃないかなあと思っている。
そのうえでこのユニットライブに対する演者の熱意や盛り上がりをしっかりとお客様に伝えていきたい。

以上が、「新大石兄弟」というユニットライブのとった戦略に対する説明。
なぜこんなことをノートに書いたか。それは勿論、見に来て欲しいから。このノートを書くことで興味を持ってくれる人もいるだろうという部分もあるから。
メンバー全員が本気で意見を出し合って、本気でふざけてやっているライブなので、是非とも是非とも皆様に来てほしい。

今日のところはこんな感じで!
来月の新大石兄弟、絶対来てね!!
来場予約URLはこちら↓↓

(配信URLは開催日近くに出ます。)

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