見出し画像

ストリーテラー Marioの物語II

2008年

この頃の夏、TVでは『ポーニョポニョポニョ』うるさい夏であった。
今思えば、この映画が水害の話だったように思う。
大変話題になった映画だ。
洋画では、『ハリーポッターの死の秘宝』が放映された。
ハリーポッターシリーズはどの作もハズレはなかった。
今見ても新鮮に思える。
映画界も、ヒット作が多い頃だ。
TVドラマでは、天海祐希が大人であった。
まだ今のような異常な暑さはない頃だ。
しかしながら、世の中は美白が主流で、常にロング手袋と帽子、日傘が欠かせなかった。
日焼けとシミが大敵で、異常に太陽光に気を使った。
オーガニックにこだわり、新しい化粧品やサプリ、食品を試しては研究をしていた。
バイオダイナミックの野菜や自然食品にこだわり、この頃から糖質制限や、糖化しない食事、小麦抜きなど体に良いと言われることを、いろいろ試していた。
世の中には、いろいろな食事療法があるものだと思ったものだ。
どれが良いかは、試して見なければわからない。
良いと言われていることでも、体質によっては合わないことがある。
同じような趣向の友人と、話していると思いもしないような情報が入る。
玄米はこうして炊く。
お肉にも、体質によって合う合わないがある。
こんな話をランチをしながら話す。
そんな中で、これは美味しいと思ったのが、大豆ミート。
大豆ミートの唐揚げが実に口にあう。
全くお肉と見分けがつかない。
こうして肉食を減らしていく。
この頃から、お肉はほとんど頂かない。
カスピ海ヨーグルトが良いと聞き、自分で作るがあまり体に合わず断念。
こんなことをずっと続けてきた。
これが一つの趣味になっていた。
体についての本もどれだけ購入したのだろう。
精神世界を勉強していると、次第にお肉食は遠のき菜食に傾く。
これも一つのブームなのだろうか。
パーソナルトレーニングが流行り始め、スポーツジムが流行り、エステが大盛況で美容整形にも手軽に皆が通うようになる。
少しバブルの気配があった。
こんな生活をしていたら、どうも思ったような結果が得られず、一から研究し直し。
デパ地下は賑わいを見せ、この頃、美味しいパン屋がデパ地下に集められ競い合う。
物産展なども頻繁に行われていた。
大盛りの海鮮丼などが目を引いていた。
多くのお客がそれに引き寄せられるように、デパ地下にやってくる。
流石に、デパ地下の食品は良いものばかりで、スーパーでは変えないようなものが手に入る。
スーパーでは、お刺身が買えなくなっていた。
月に何度か、デパ地下で買い物をして美味しいものを買う。
こんなことをしていると、目も口も肥えてしまう。
しかしながら、自炊した方が美味しいのは確かだ。
お惣菜はなんだか美味しくないのだ。
必ず自分で火を入れられるものが、美味しく感じる。
不思議なものだ。
揚げ物は自分で揚げるに限る。
惣菜は買わずに、食材を買う。
デパ地下は、目の保養に通っているようなものだ。
たまに有名人にお目にかかる。
レジに普通に並んでいる。
私生活は一般人と同等だ。
見て見ぬ振りをしている。
デパ地下も夕方5時を過ぎると、お値打ちシールが貼られる。
得した感じだ。
いつも混んでいるのには、やはり理由があるのだろう。
皆、新鮮で良い食材を買いたいのだ。
まだまだ、世の中は、そんな余裕のある頃であった。
この頃だったか、よくベランダに出ていると飛行船が目の高さで飛んでいるのが伺える。
こんな近くまでやってくるのだ。
夜間飛行も流行りだった。
一般の客を乗せた、飛行船が飛び交うようになった頃だ。
ベランダで植木の水やりをしていると、いろいろな光景が広がる。
『やはりバブルの気配がする・・・』
皆が景気良くお金を使っている。
今とは大違いだ。
この頃はまだ、
『マリオ様、マリオ様』
と呼んで世話を焼いてくれる人がいた。
もう、”   今は昔 ”  になりつつある。
そんな生活に慣れきっていた。
今は、お客様にお仕えする身に転身した。
2008年にはそんなことになろうとは、自分でも思わなかった。
人生には、いろいろあるのだ。
『マリオには、絶対無理だよ。無理無理。』
と、どれだけ言われたのだろう。
これだけ言われると、反逆精神が湧いてくるのである。
『一人暮らしもしたこともないのに・・・』
『だ・か・ら、チャレンジでしょう!』
『悪いことは言わないから、諦めた方がいいよ!』
『ぷう!』
これが私の幼馴染である。
年中この家に遊びに出かけていた。
この家のお爺様に、遊んでもらった記憶がある。
小さい頃から知っているから、いろいろ言われるのである。
サミーはしっかりした長女である。
2008年、この頃から、プチ同窓会が流行っていた。
地元民が集まる会である。
まだ皆若く大騒ぎしていた頃。
サミーは、この頃、ご両親をなくしていた。
近くにいるのに、同窓会には出てこられなかった。
大きな地主の娘で、親の後を継いで仕事を背負っていた。
近所でも、知らない人はいないくらいの家である。
小さい頃からのんびり屋の長女は、親の期待の星であった。
弱虫でのんびりしているこの少女は、思春期には人の相談役のような立場の人間に成長していた。
いわゆる、集まり場になるような家であった。
良い子から悪い子まで、この家に集まる。
まるで村長の様な立場の人間である。
今でもそれは変わらない。
この娘は、小さい時に祖母に命を救われた。
祖母が命をかけて救ったのだ。
本人がそれを知っているのかは私も知らない。
お祖母様のおかげで、今も元気に存在している。
先祖の守りが強いのか。
きっちりした良い旦那様との間に、優秀な2人の子供が生まれた。
長男は神童であった。
3歳くらいの時に、
『僕、早く学校に行って勉強したいんだ!』
と耳を疑う様な発言をしていた。わずか3歳だ。
この子は大物になるなと思っていた。
もちろん期待外れなく、その様になった。
先祖の守りが大きいのだ。
村長がいる限り、同窓会は続くのである。
村長には長生きしてもらわないと、私がさみしくなるので、私より先にいかないでもらいたいものである。
2008年、精神世界と哲学に目覚めた頃。
まさか、命を狙われる様になるとは思いもせず。
まさか、横取りをされるとは思いもせず。
こんな不可思議なことに、巻き込まれるとは思いもせず。
まさか、自分の情報が流されているとは思いもせず。
まさか・・・!


























この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?