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【第8節 仙台戦】朴一圭の本当の凄さ、知ってますか?〜Goalkeeper's review〜

りょー(@YFMsupo)です。

終了間際のゴールで勝利した仙台戦。得点者のマルコスもさることながら、開幕戦以来の復帰となった朴一圭の好プレーが印象的な試合でした。

私自身はGKとして10年以上プレー経験があるのですが、改めて朴一圭のプレーの「凄さ」を感じました。そんな「凄さ」の理由に触れながら、仙台戦で見せたプレーを詳細に振り返ります。

朴一圭の復帰と仙台戦での活躍

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DAZNベストイレブンに選出。復帰戦ながら見事。(※写真は、DAZN ツイッターより引用。)

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セーブ数6はリーグトップ。それだけ枠内シュートを許しているので良くはないですが、朴の活躍を裏付けるデータであることは確かでしょう。(※写真は、Football LAB ツイッターより引用。)

朴一圭の凄さは「認知」「予測」「判断」

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朴一圭の凄さは「認知」「予測」「判断」のスピードと正確性にあります。

この試合で何度も見せた素早いディストリビューション(配球)は、周囲の状況に対する事前の「認知」かつ「判断」の速さゆえのプレーです。

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ただ、朴の負傷中にゴールを守った梶川のプレーも非常に良かったです。朴を凌ぐパススタッツを記録しました。キック、セーブ等技術は安定しており、「実行」段階での差はさほどありません。

ですが、「実行」段階で朴が大きく上回るプレーが1つあります。それは「飛び出し」です。データも用いながら、詳しく比較してみましょう。

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仙台戦と浦和戦を比較。敵陣でプレーする時間が長かったこの2試合は、最終ラインと前線がほぼ同位置。朴と梶川の平均ポジションも近いです。

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ただ、2人のヒートマップを見比べると様相が異なります。朴の守備範囲は非常に広く、ペナルティエリア外でのプレーが目立ちます。特に、朴の守備範囲が「横方向に広い」ことがポイントです。

この動画の1:44〜のシーンでもサイドに蹴られたボールに果敢に飛び出しクリア。解説の戸田氏も「ここまでカバー来ますか」と声を漏らします。

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GK経験者なら分かりますが、「縦方向の飛び出し」は比較的容易です。自身に向かってくるボールは距離感が上手く掴めます。一方、「横方向の飛び出し」は難しいです。ボールが自身から離れていくため、移動距離も遠くなります。

「横方向の飛び出し」は、早い段階で「出る」判断をしないと間に合わず、また「予測」無しでは間に合いません。朴一圭は「出る」「出ない」の判断スピードと予測がとても優れています。

朴と梶川の「実行」段階における差は「飛び出し」によく表れており、サイド裏へのロングボールを狙う相手が多い中で朴の「横方向の飛び出し」は非常に大きな役割を果たしています。

ちなみに朴は言語化能力も非常に高く、聞かれた内容を的確に把握する「認知」と構造化に長けています。的確なコーチングでチームを助けます。

朴一圭の仙台戦シュート対応

仙台戦から、4つのセーブシーンをピックアップ。

・25'00 アピアタウィアのシュート

動画クリックでシュートシーンを再生できます。

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CKの場面、ややファー寄りの朴。ゴールの幅を10としたとき、CK時のキーパーのポジショニングはニア6、ファー4くらいの位置が基本なので、良い位置です。ややファー寄りな気もしますが、アウトスイングのボールでニアを抜かれる可能性は低いため、あまり問題にはならないでしょう。

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アピアタウィアのシュートをジャンピングキャッチ。立ち位置が良く、正対し対応できました。

・35'40 長沢のシュート

動画クリックでシュートシーンを再生できます。

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ライン裏へ抜け出されます。シューターと距離を詰めるのは「シューターがペナルティエリアに入ってから」がセオリー。長澤がペナルティエリアに入る瞬間、前へ出る朴。タイミングが見事。

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至近距離の1対1で重心を低める朴。重心を低め面を広くする、至近距離の構えのセオリー通り。

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最後まで体勢を崩さず、シュートをセーブ。距離を詰めた朴、畠中のスライディングによりコースは限定されていましたが、先に倒れずよく反応しました。個人的にはベストセーブです。

・68'00 ジャーメイン良のシュート

動画クリックでシュートシーンを再生できます。

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ディフェンダーとの間を狙うグラウンダークロスに備え、畠中の背後に走る選手を警戒。ややニアを空けたポジショニングではありますが、前に出過ぎてはいません。先に動いてはいません。

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おそらく予想外のシュートが来ますが、その場でジャンピングセーブ。踏み切るのは早かった気がしますが、予測で先に動かず良いポジションに位置していたため上手く防ぐことが出来ました。

このシーンはDAZNの今節のベストセーブにも選ばれていましたね(1:41〜)。

・76'15 西村のシュート

動画クリックでシュートシーンを再生できます。

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フリーでクロスが入ってきそうです。自身に向かうボールに対して、前に出られる構えです。

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クロスボールがゴール前を横切ります。前には出ず、シュートへの構えに切り替えます。

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シュートシーンでは、シューターに正対する良いポジションでプレッシャーを与え、正面で捕球。

おわりに

Goalkeeper's reviewと題した本記事。試合全体を振り返る形式ではなく、今後はゴールキーパー(もしくはいちプレーヤー)のプレーを分析する形式のレビューの継続も考えています。

そして今節は朴一圭の好プレーが目立ちました。基本に忠実な守備で終始危なげない対応でした。

引き続き朴の好プレーにも期待しつつ、明後日8/8(土)の第9節柏戦は相手GK中村航輔にも注目です。ハイレベルなプレーは見応えアリです。

柏戦は、仙台戦の勢いそのままに今季初の連勝を狙いましょう。それではまた。

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