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先発陣容2023

 球春到来。春の足音が確実に聞こえつつある。

 さて先日、千葉ロッテのブルペン陣容・起用法を投稿したところ、先発編・第2先発編も書いて欲しいとのリクエストをいただいたので、今回は今季の先発陣容・起用法を見ていきたいと思います。もし「このテーマについて書いて欲しい」といったリクエストございましたら、今後は可能な範囲で書こうと思います。あくまでも個人的見解なので、ご了承ください。


☆考え得る起用法

 ・打者人数

 事の発端はこの記事からだ。昨年メルセデス獲得した際の吉井理人監督のコメントだ。打者20人をノルマに抑えようというものだ。
 3巡目理論というものがある。これは相手打線が3巡目になると捕まえる傾向があるということだ。20人目は3巡目の入りにあたる。それを踏まえてのことだろう。

 メルセデスのような行けるところまで全力でといったタイプはこうした使い方、あるいは第2先発とのセットな継投が現実味を帯びそう。
 特にローテ4.5.6番手格は打順・球数どこで捕まりやすいかデータ抽出して起用法を決めていくかもしれない。
 ただし試合単位で打者20人目のタイミングは異なるのと1人に球数稼がれれば、この算段は狂うので注意は必要。 
 ロングリリーフとの併用であれば1試合で打者27人をどのように分けてアウト取るのか。投手内で分担が行われることだろう。

・球数


 打者人数による起用法を挙げてきたが、だからといって球数は切り離して考えるのかというとそうではない。
 現代は80球から100球といった試合単位での球数が主流ではあるが、年間単位での球数管理も重要である。今は高校野球でも球数制限が導入されるなど投手の肩を守ることには念を入れなければならない時代だ。

 年間単位の目安としては2500球あたりに留めたい。特に3000球を超えると投げすぎの部類に入る。
 これはそれぞれ年間25登板と仮定して1試合100球〜120球の計算である。
 
 ちなみに昨年の佐々木朗希の年間投球数は1804球。1試合平均は90.2球。100球を超えたのは完全試合(105球)、その翌週(102球)の2回。21年シーズンは11登板で977球。

 これを踏まえると今季は2000球が1つ目処になるか。平均90球計算だと22登板。沢村賞基準の25登板は2250球計算となる。

 ただし投手によって球数のデッドラインは変わってくる。それこそ佐々木朗希のフォームであれば1試合85球あたりが一般的な100球での疲労度に当たるかもしれないし、かつての涌井秀章(現・中日)のように100球超えても球威が衰えない選手もいれば、ローテ下位格は70球が限界ですという選手もいる。

 それぞれの能力を考慮して1試合あたりの球数数と目標登板数をかけ合わせた数値を算出した起用が見込まれることになる。

・メンタル

 
 先発投手の疲労は肉体的疲労ではなく精神的疲労からスタミナが消耗している投手も少なくないだろう。長い回を投げている以上、そのリスクはつきまとう。
 代表的なものが牽制。走者を気にすることで集中力がそちらに傾き、見えない負荷がかかっている。
 牽制球は実際の球数には反映されない。そのため少ない球数、イニングなのに「あれ交代?」となったときは思っている以上にメンタルが削られたのかなって考えてみるのもいいのかも。(毎回ランナー出している投手の姿を想像したら分かりやすい)
 実際の球数+牽制球の総数で交代を見極めるといったところだ。

・スポットローテ
 

 中6日が基本線の日本のスターターだが、例えば80球未満と100球超えの投手が同じ中6日というのも変な話である。最初から何球だよ、打者の人数を制限する代わりに中5日で回ってねといったニュアンス。ここに入りそうなのは主に左投手。後述するが筆頭は佐藤奨真になりそう。
 
 そこに成長枠として中10日グループと分けて考えるといったところか。このグループから取り分け相性の良いチームがいる投手はその対戦相手に当てればいいので使い勝手がよくなる。

 

☆今季の先発陣

 ここからは現段階で自分が考える今季の先発陣を描いてみる。少し惰性やイメージ論のところもありますが、参考までにどうぞ。

・年間2000球超え 20登板以上


 佐々木朗希 小島和哉 石川歩 美馬学

 年間先発ローテを張っていく2000球超えに該当するのはこの4人。この3人は開幕ローテ入りも確定だろう。佐々木朗希はWBCで遅れることになるが。昨季は開幕直後にピークが合いすぎたが、今季はWBCからのボールの感覚を早めに取り戻して1年間通したピーキングを合わせたい。
 石川・美馬は昨季20登板で平均92球(小数点切り捨て)だが、この球数ならもう2.3登板増やして欲しい。一方で彼らが先発ローテの2番手などで回っている状況はそう好ましくない。無理をさせられない気持ちもある。
 力感ないフォームが特徴の小島には少しでもたくさん投げて欲しいが、昨季5月のように2登板連続で130球超えのような引っ張りだけは避けるべき。しかし年々ローテの柱としての自覚が芽生えている。今季もチーム最多投球回、投球数は確実か。
 

・年間1500球〜1800球 18〜20登板


 メルセデス・岩下大輝・二木康太
 
 準ローテに入るのがこの3人か。
 この辺りは打者の人数を制限しての起用が見込まれそうなポジションとなりそう。行けるところまでいってガス欠を起こしやすいメルセデス・岩下は吉井式が当てはまると思う。
 二木は現状、当落線上の立場だが、一昨年までは100回は消化して故障も少なく年単位でローテを回れる存在として重宝はした。このレベルはノルマとしていきたい。

・先発ローテ入りorロングリリーフ


 菊地吏玖・鈴木昭汰

 この下のゾーンにドラフト1位・菊地吏玖・鈴木昭汰が位置する。
 この2人は先発orロングどちらの可能性も考えられる。だがひとまずは先発として考えたい。
 菊地はオープン戦からアピールすれば開幕ローテ入りは十分に可能だ。鈴木は思い切りリリーフスタイルで空振りを量産できることが長所。チェンのような便利屋ロング1番手でもあるが、そのスタイルを先発で持続出来る力があるから可能性を捨てたくない。
 芯の外せる2シームカッターの菊地、鈴木は真っ直ぐ・スライダー以外の第3球種の確立と、ともに変化球の精度が課題。
 

・スポット枠① 左投手のアクセント


 本前郁弥・佐藤奨真

 本前・佐藤奨は昨季のように球数70球、打者15から18人をベースにローテの谷間で回っていく方針か。佐々木朗希の翌日登板で緩急差で翻弄してくるスタイルは今季も継続になりそう。それ以外でも自分の球で抑えていけるか否かが中6日で回れるチャンスを得られる鍵になりそう。
 中5日で詰めて回れる力も必要だ。

・スポット枠② 若手経験値


 中森俊介・森遼大朗・秋山正雲

 高卒3年目の中森の評価が極めて高く先発としての期待が高まる。
 森も育成から支配下2年目。育成4年漬け→支配下のモデルケースとして成功を収めることが田中楓、永島田、白濱らの自信にも繋がっていく大切な役割を担う。
 高卒2年目の左腕・秋山は今キャンプの練習試合初戦で先発を任された。今季中の一軍デビューは十分に射程圏内。

・故障明け


 種市篤暉

 今季こそだ。TJ手術から2年かけて先発ローテ復帰へ名乗りを上げる。まだバリバリ回れるかと言われると疑問だが、少しずつ強度を上げて夏場には本格的にローテ回った2019年のような曲線を期待している。今のところロングリリーフも考えてないかな。
 本来ならエースとして10勝、防御率2.50を期待したいが、まずは年間1500球目処に頑張って欲しい。とはいえ球の力や体の使い方は戻ってきているので残せないことはない。

・UT枠(第2先発含む)


岩下大輝・西野勇士・河村説人・中村稔弥

 右の3人はシーズンに応じて先発・第2先発・中終盤リリーフと使い分けたい。
 ともに真っ直ぐ・縦と緩急のカーブのある投手が多く、その中で河村がやや総合力で抑えるタイプに寄っている。
 岩下・西野は先発7:3の割合で年間100回消化を目標に。故障明けの河村も少しずつ長い回を投げて先発ローテの谷間を埋められるように。なんだかんだ5回6回2失点が最大値だが、確実にそれをこなすかつ勝ち運が強いので先発で使いたい。
 河村は後ろもいけるようにフォークの精度を高めていきたい。それこそ澤村拓一からスプリットを習得してもらいたい。

 中村稔弥は敗戦処理スタートからが濃厚だが、本当はミドルリリーフで1回2/3を任せられるみたいな役割を期待したい。一度タイミング外すフォームで相手打線を落ち着かせる役割を期待したい。そうすれば鈴木昭汰を余裕持って先発に回すことだって可能だ。

 ミドルリリーフでは一気に斬る力、タイミング外すタイプ、左右で正反対のスタイルを投入する。こうした要素を先発と掛け合わせて選定していきたいところ。

☆最後に

 特に重要なのが準ローテ組の活用だと今季は考えている。第2先発とセットで抑えて行くのか、それとも1人でノルマを達成して6.7回投げてくれるのか。だいぶ代わってくる。
 UT組はシーズンの流れによって起用法に
 その中で複数人で先発の時期、中継ぎの時期といったローテーションを組むのも面白いか。
 あとは下からの突き上げで2000投球数クラスに乗りそうな故障明けの種市篤暉。本格的に佐々木朗希と共存出来るのならば楽しみである。

 また気温、球場・湿度によって得意・不得意を見極める、マリンの向かい風を利用してカーブを多投させるなど、細かなエッセンスも吉井監督はおこなっていきそう。

 昨季は開幕直後こそ石川歩のHQS連発や佐々木朗希の完全試合などでチーム全体として活気があったものの夏場以降、失速してピークアウトしてしまった。今季は春先は制限を設けて、気温の上昇とともに肩が温まるような先発ローテを構築していきたい。

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