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私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.4

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【北海道日本ハムファイターズ②】

・WE LOVE HOKKAIDO(2007・2008・2009・2010・2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019)

 福岡ソフトバンクホークスの鷹の祭典に端を発するイベントユニフォームの流行に、ファイターズも独自の路線で乗ることになる。ホームは札幌だけではなく北海道全域であることを強調し、「北海道シリーズ」として立ち上げたコンセプトの中から生まれたのがWE LOVE HOKKAIDOである。

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 スタートとなった2007年のカラーはスカイブルー。胸のロゴはHOKKAIDO。移転5年目にして初めて地名をユニフォームに取り入れることになった。ホームユニフォームと同じく左袖は黒。翌年は色取りが逆となり、黒地で左袖がスカイブルーに。あまりネタがないのか?と思わせながらここから引き出しの多さを見せるのがこの球団のこわいところ。

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 2009年は富良野のラベンダーをイメージした紫色。2010年は稲穂を思わせる明るい金色。これが2011年から採用されたビジターユニフォームのデザインの端緒となったと思われる。当時のプロ野球のユニフォームとしてはなかなかお目にかかれないカラーリングが続いていた。

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 中断期間を挟み、WE LOVE HOKKAIDOは2013年から再スタート。大地に恵みを与える太陽と道民の燃える精神を表現した赤いユニフォームは「バーニングレッド」と称された。なおこの年からのHOKKAIDOのロゴは、2011年からのホームユニフォームについているFIGHTERSのロゴに準じたデザインに変更されている。

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 2014年は「NEXT BLUE」と称された青。2015年は、2009年よりも淡い色合いの「EZOlution(エゾリューション)ラベンダー」。この年は北海道出身のアーティスト・DREAMS COME TRUEとコラボ。「エンターテインメント」のキーワードでつながる、という打ち出し方は見事。

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 2016年は北海道にとって大きな転機の始まりとなる、北海道新幹線開通の年。ユニフォームは新幹線の車体と同じ「常盤グリーン」と呼ばれる緑色に染められ、新幹線開業日となる開幕2戦目に早くも起用という力の入れ様だった。函館出身のGLAYが新幹線・ファイターズと三つ巴で手を取り合い、ひと役買っていたことも忘れられない。

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 2017年は夕張を舞台にした山田洋次監督の映画「幸せの黄色いハンカチ」をモチーフにした「ハッピーイエロー」。左袖の色は白から水色に変わり、黄色く染まったスタンドは北海道の空をバックにした野原のタンポポのようにも見えた。

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2018年は「北海道スカイブルー」。肩から脇へのラインはこれまでと変わらないが、ラインの内も外も空色に覆われている。このユニフォームは北海道移転15周年の事業を象徴するデザインともなる。平成最後となる2019年は「新時代緑(ニューグリーン)」。令和最初にファイターズがどの色を選択するか、注目しておきたい。

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 ファイターズが令和最初に選んだのは、白。2020年のWE LOVE HOKKAIDOユニフォームは白地にやや金色寄りのクリーム色の左袖、そして左肩のスペースには「モレウ(「渦巻」の意、魔除けの願いが込められている)」が入った、球団・北海道庁・北海道アイヌ協会との共同デザイン。また、2011年以来ホームをはじめとしたユニフォームに一貫してつけられていたものとは異なる背番号・背ネームのフォントが登場。真っ白のようでいながら、これまででもっとも凝ったユニフォーム。


・サマーフェスタ(2012)

 WE LOVE HOKKAIDOが休止していた期間、球団も手をこまねいていたわけではない。2011年の「北海道祭り」では札幌ドームで初めてビジターユニフォームを着用して試合を行なった。

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 2012年の夏に開催されたサマーフェスタで登場したのはモノクロームのカラーリングの、通称「エコユニフォーム」。選手が練習などで着用していたユニフォームやアンダーシャツ、ジャケットなどを再利用して作られた、地球環境にやさしいエコロジーなユニフォーム。これもまた北海道から発信するに値すると考えられるコンセプトだ。WE LOVE HOKKAIDOと異なり、このデザインのユニフォームは球場での配布がされずレプリカ3000枚の限定販売となった。商品の特性上、極端に少ない流通量であったためマニアの間では他のユニフォームと比較して非常に入手しにくいもののひとつとして数えられている。

・HOKKAIDO be AMBITIOUS(2017・2018・2019)

 WE LOVE HOKKAIDOに続く北海道シリーズの目玉企画、それが2017年から始まったHOKKAIDO be AMBITIOUSだ。毎年7月20日ごろから始まるため、WE LOVE HOKKAIDOが北の大地に春を告げるイベントならば、HOKKAIDO be AMBITIOUSは短い夏を連れてくるイベントと言えそうだ。

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 2017年のユニフォームは北海道旗の濃紺・白・赤を基調とした、通称「アンビシャス・トリコロール」。胸には北海道のイニシャルであるHと「AMBITIOUS」の文字、さらに七芒星を組み合わせたロゴマーク。左袖には北海道の地図があしらわれている。北海道移転後の歴代ユニフォームの中でダントツのカッコよさを誇るのがこのデザインであると、個人的には考えている。

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 「アンビシャス・トリコロール」の名前は翌年以降も継続されたが、2018年には地の色が濃紺から白に、肩のラインは赤から濃紺にと入れ替わった。

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 さらに2019年になると今度は地の色が赤に。この年、ユニフォームのモデルとして着用したのは大田泰示。移籍で開花した無限の才能にはこのデザインが最高に似合っていた。

 WE LOVE HOKKAIDOからスタートした北海道シリーズの開催は早いもので10年以上が経過。イベントの新鮮味を保ち続けるのが難しくなりつつあるものの、これからも球団は新機軸を次々と打ち出してくるであろう。「ファイターズならやってくれる」という期待を胸に、その挑戦を見守りたい。北海道は、まだまだ食らい尽くせないはずだ。

【北海道日本ハムファイターズ③につづく】

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