_2014復刻

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.5

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【北海道日本ハムファイターズ③】

・レジェンドシリーズ(2013・2014・2015・2016・2017)

 他球団の復刻企画の流行には長らく乗ってこなかったファイターズだが、2013年にパ・リーグ6球団揃っての復刻企画「レジェンドシリーズ」が開催されるにあたり、その重い腰を上げる。今にして思えば、あわてることなく過去のユニフォームを精査して、しかるべき復刻のタイミングをはかっていたのではないかと推測される。用意周到な手法も、この球団らしいではないか。なお、パ・リーグ共同のレジェンドシリーズは2013年のみだったが、ファイターズは単独で2017年まで「レジェンドシリーズ」と称して復刻企画を継続している。

⑤2013復刻

 2013年、まず先陣を切ったのが東京ドーム時代終盤の2003年まで使用されていた白地に黒のストライプ、オレンジ色に縁取られたFsロゴのユニフォーム。当時のマスコット・ファイティーの復活も東京時代からのファンを喜ばせた。余談だが、このユニフォームを着用した木佐貫洋がなぜか異様に似合っていた記憶が強く残っている。

⑤2014復刻

 2014年に復刻したのは、1982年から11年間にわたり使用された白地にオレンジのユニフォーム。江夏豊や西崎幸広、白井一幸といった幅広いOBたちのイメージが今も残っているデザインだ。そして何より驚いたのは、ファイティーに加えてこのオレンジユニフォームの時代のマスコットだったギョロタンまでもが登場したことだった。巨大かつハイテンションな姿には畏怖するほかない。

⑤2015復刻

 2015年は、1974年後期から使用された白地に水色のピンストライプ。Fightersのロゴと襟元が鮮やかな赤系のオレンジ色に縁取られているのが特徴。同じデザインのタンクトップが作られたのも印象的だった。このユニフォーム、実は2005年に一度よみがえっている。円山球場での主催試合でイベント用として上着だけが使用されていたのだ(試合では着用せず)。

⑤2016復刻

 2016年の復刻は、1974年前期使用の白地のユニフォーム。襟と袖口には赤と紺色のラインが入る。東京ドームで始球式を務めた張本勲氏がスタンドから一斉に「喝!」とツッコミを入れられていたのはご愛敬といったところ。

⑤2017復刻

 2017年はさらに時代をさかのぼり、1962年に球団初の日本一を勝ち取った東映フライヤーズのユニフォームを復刻。胸にはFの部分を鳥に模したFLYERSのロゴ。袖には映画のオープニングでおなじみの東映の三角マーク。実にしぶく、かつモダンなユニフォームである。

 こうして見てみると、北海道移転前の歴史をさかのぼるかたちでたどっていることがわかる。となると、すでに復刻した時代のビジターユニフォームの登場は今後、望めないだろうか。また、日拓ホームフライヤーズが1973年に採用した7種類のユニフォームが復活することはないのだろうか。球団の歴史は深い。まだまだ掘り下げる余地はありそうだ。


・ファーム(2007・2008〜2009・2010〜2011・2012〜2013・2014〜2016・2017〜2018・2019〜)


 「育成のファイターズ」の看板どおり、ファームの本拠地・鎌ヶ谷スタジアムからは多くのスター選手が旅立っている。この球場は選手の鍛錬はもちろん、マスコットのカビーを筆頭として独自の楽しさを追求する場ともなっている。その独自性の一環として、ファームのイベント開催時などに着用されるグリーンのユニフォームが用意されている。

⑥2007鎌ヶ谷

⑥2008鎌ヶ谷

 FIGHTERSの下にKAMAGAYAの文字が入ったロゴの初代ユニフォームは2007年に登場。デザインは一軍と同じだが、左袖の色は黒ではなく緑。どことなくメンソール系のタバコのパッケージを彷彿とさせる。2008年からは緑と白の色合いが入れ替わり、胸のロゴはKAMAGAYAのみとなった。

⑥2010鎌ヶ谷

 2010年は黄緑色の地にオレンジ色の左肩という明るいカラーに変更。「メロンユニフォーム」とも呼ばれるが、鎌ヶ谷市がメロンの特産地というわけではない(むしろ有名なのはスタジアム周辺を畑が覆い尽くす梨である)。このユニフォームでのトピックといえば、球場外周に設置された自動販売機への中田翔による直撃弾。今でもそれを記念するプレートが残されている。

⑥2012鎌ヶ谷

⑥2014鎌ヶ谷

 2012年からは黄緑・黒・茶色の非対称カラーに。2014年からは白地に黄緑色のストライプが入り、初めて左右対称のデザインとなった。

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 鎌ヶ谷スタジアムのオープンから20周年となる2017年は、濃い緑色の地に左肩が黄緑色、右肩が白というユニフォームが登場。この年から胸のロゴは一軍と同じFIGHTERSに変更された。

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 2019年からは、通称「鎌スタ☆ユニフォーム」。基礎のデザインは一軍のユニフォームと同じで、黄緑色の地に鎌ヶ谷スタジアムの外観から取ったネイビーのラインが入った。

 かつては湘南シーレックスやサーパス神戸といった独立採算を目指したファームチームも存在した。それらとは異なるアプローチであるものの、二軍もプロであるという意識の育成にこのグリーンのユニフォームも役立っているのではないだろうか。

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