見出し画像

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.14

前回の記事はこちら

【オリックス・バファローズ②】

・サード(2011〜2013・2014〜2015・2015・2016・2017・2018・2019・2020)

③サード2011

③サード2014

  ユニフォームのデザインに大きく手が入れられた2011年からはサードユニフォームが登場することになる。ネイビーで塗り固められた地に、金色のBuffaloesのロゴというシンプルさ。2014年になると金色の袖ライン・ラケットライン・ロゴ縁取りとバージョンアップ。袖にBs Spiritsのワッペンがつき、ここからサードユニフォームが「Bs Spiritsユニフォーム」と呼ばれるようになっている。

③サード2015

 2015年には「もうひとつのサードユニフォーム」としてシャンパンゴールド風の金色のユニフォームが登場。「サードがもうひとつってどういう意味だ」と多くのツッコミが入ったが、カラーリングそのものは意外にも好評だった。

③サード2016

 2016年になるとネイビー+金色というカラーリングがビジターに取り入れられたため、差別化をはかるべく赤と白の袖のライン・ラケットライン・ロゴ縁取りを配した新しい色を用意した。ここからBs Spiritsのユニフォームは毎年変遷することになる。

③サード2017

③サード2018

 2017年はネイビー地に金色のラケットライン。ここまでは過去のデザインに近いが、胸のロゴがチームのイニシャルであるOBに変更された。2018年になると白地に赤いラケットライン、OBのロゴ、背番号と、またしても印象を大きく変えた。社会人野球の日本生命のユニフォームにも似ているが、海田智行や小田裕也あたりがどう思っていたか気になる。

③サード2019

 2019年はホームユニフォームのデザインを踏襲し、ネイビーと赤を襟と袖口のライン、ロゴの縁取りに配した。これでやや落ち着くのかと思いきや、そうは問屋が卸さない。

画像23

 2020年のサードユニフォームは「勝紺」というコンセプトのもと、イメージを一新。なんと全身黒と白のストライプが予定されている。かつて阪急ブレーブスが何度か使用していたデザインに近いイメージのようだ。胸には2019年のBs夏の陣で帽子に使われた牛のロゴマークが配されている。

 球団としてはサードユニフォームを壮大な実験の場としているようにも見える。新たなデザインの誕生のためには様々な試行錯誤が必要なのだな、と感じさせるユニフォーム群である。


・夏の陣(2009・2010・2011・2012・2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019)

 福岡ソフトバンクホークスによる鷹の祭典に近い夏のイベントを、Bsでは意外にも他球団より早いタイミングで取り入れている。「Bs大坂夏の陣」と題され、来場者へのユニフォームプレゼントも実施。しかし、西軍が負ける運命にある「大坂夏の陣」というネーミングは大阪の球団にとっていかにも不吉で、実際に勝率の伸びない年が多かった。2009年は選手による特別ユニフォームの着用はなし。配布用のユニフォームの背中には堂々と夏の陣のロゴが配置されていた。

画像22

④夏の陣2011

 2010年は、通称「ZIN-UNI(陣ユニ)」。基本の赤は変わらず、袖には甲冑の模様を配して戦の雰囲気を盛り立てた。2011年は濃い赤で覆われた、通称「リベンジレッド」。その名に恥じぬよう、この年は全勝を果たす。対戦相手が大阪より西の球団・ホークスなので「Bsを東軍にすれば勝てる」とまことしやかにささやかれたものだった。

④夏の陣2012

④夏の陣2013

 2012年は金色のラケットラインを加えた、通称「レジェンドレッド」(※画像の配布用と異なり、選手は紺色のロゴのデザインを着用)。2013年は赤というより茜色に近い、通称「シャイニングレッド」。ここまで赤にこだわったのは、真田信繁の赤備えになぞらえていたとも考えられる。

④夏の陣2014

 2014年からはイベントの名称を「Bs夏の陣」に変更。これなら東軍も西軍も関係ないというわけだ。この年のユニフォームは水色。水都・大阪と港町・神戸をイメージした、通称「ストリームブルー」。好調だったチームはここから波に乗り、シーズン終盤にはホークスをあと一歩のところまで追い詰めた。

④夏の陣2015

④夏の陣2016

 ここで球団は何らかの光を見てしまったのか、一気に個性が爆発したデザインを連発することになる。2015年は世界地図、2016年は宇宙の星と、これは本当に野球のユニフォームなのかと問いかけたくなる題材を提示してきた。余談だが、配布用のユニフォームは襟の裏にAEONのスポンサーロゴが入っており、世界や宇宙がテーマでありながら生活感もにじみ出るようなデザインであった。

④夏の陣2017

④夏の陣2018

 2017年の赤いカモフラージュ柄、通称「ファイティングレッド」も本来なら派手な部類のデザインだったはずだが、前2年を受けてのものだったため「普通だな」という感想が多く漏れた。夏の陣10年目となる2018年はダイヤモンド柄。これまた派手だが、「火曜サスペンス劇場」のアイキャッチで使われるガラスの割れる映像にも見え、一部では「火サスユニフォーム」とも呼ばれた。

④2019夏の陣

 2019年に登場したのは漆黒のユニフォーム、通称「アグレッシブブラック」。パンツもグレーで全身が統一されたイメージカラーに染められた。スタンドのファンの視点では「背番号がやや見えにくい」「審判と同化する」という難点はあったが、歴代の夏の陣ユニフォームの中では一番のカッコよさを誇っていると考えている。

 夏の陣ユニフォームは、とにかく「目立つ」「極端」「他とは違う」というポイントに特化したデザインが徹底されている。これを大阪らしさ、とひと言でまとめるのはいかにも乱暴か。しかし「何かとんでもない飛び道具が出てくるぞ」と他球団のファンにまでインパクトを与えているのは間違いないであろう。知らんけど。


・オリ姫&オリ達(2015・2016・2017・2018・2019)

 Bsの女性ファンを「オリ姫」と呼び、さらにチームへの愛を深めてもらおうと2015年に始まった企画が「オリ姫デー」だ。「カープ女子」「タカガール」といった球界の流れに乗ったかたちでもあるが、うまいネーミングをしたものである。

⑤オリ姫2015

 初年度はサードユニフォームのデザインを流用し、ネイビーの地はそのままでピンク色の袖のライン・ラケットライン・ロゴ縁取りを配した。オリ姫デー後、早くも地殻変動が起こる。「女性がオリ姫なら、男性はオリ達だ」と声が上がり、今度はオリ達デーも開催。選手はここでも同じデザインを着用した。

⑤オリ姫2016

⑤オリ姫2016オリ達

 2016年に用意されたユニフォームは、なんとチェック柄。ご丁寧にオリ姫デーではピンク、オリ達デーでは青と2種類が登場し、当然ながら選手たちもそれを着用。夏の陣のユニフォームがとんでもない方向へ飛んでいった時期でもあり、このデザインにも非常に驚かされたものだ。ピンク色のチェック柄ユニフォームを着た福良淳一監督の絶妙な表情は今でも忘れられない。

画像22

 2017年はオリ達・オリ姫共通となるネイビーの豹柄デザイン。配布用にはピンクも用意された。どうしても大阪のおばちゃんを連想してしまうが、ファンも完全に感覚が麻痺してきた頃合いで、むしろネタとして楽しんでいたようにも見えた。

画像21

 2018年はレーザーライトのような幾何学模様のアクションラインのデザイン。夏の陣もそうだが、「なぜカッコいいデザインにしたんだ」とツッコミを入れられるのはなかなかつらいものがある。この年もオリ姫のピンクとオリ達の青の2種類が配布された。2019年もオリ姫デーは開催されたものの選手のユニフォーム着用はなかった。

 近年は、女性ファンの大切さを球団もしっかり把握していることが伝わってくる。グッズ展開やイベントにも力が入っており、気風ともいうべき自由さ、ゆるさも人気の秘密となっているようだ。

【オリックス・バファローズ③につづく】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?