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山口先生のこと

恐れ多くもライブで「声楽をやってる人?」と声をかけていただくことがあるのですが、私が声楽を学んだのは2017-2020、30代入ってから3年ほどの短い期間です。しかしその期間がなければ今のボーカルスタイルはあり得なかったと言えます。先日、当時の恩師が闘病の末お亡くなりになったと連絡を受けました。山口香緒里先生という方です。

声楽レッスンを始める前、私はボイスパフォーマンスをメインに活動していましたが、それまでのスタイルに限界を感じていました。特に歌に関しては完全に迷っていて、どう歌いたいのかわからなくなっていた。ポップスからゴスペルまでたくさんのレッスンを体験した中で行き着いたのが声楽。当時、いわゆる歌モノの歌い方に違和感を感じていた自分にとって、1番自然な身体の鳴らし方に思えたから。

初回の体験レッスンで元々の声量、音域を見てもらって「高いレベルを目指せるので絶対ちゃんとやった方がいい」と言ってくださいました。
正直にクラシックを歌っていきたいというわけではないけど、、、と話したところ、山口先生は「わたしはロックやポップスは全然わからないけど、それでも今持ってるその声を最大限に使えるようにするべき。不自然な歌い方をして活かせないのは勿体無い」と伝えてくれた。

山口先生のレッスンは優しいけどめちゃめちゃ厳しかった笑、細かなニュアンスもミスるとすぐ見抜かれました。出来てないところが自分でわかるから余計悔しかったりもした。何度も何度も同じとこで止めて、先に進めず苦しんだことも多かった。

そういうとき山口先生は必ず「なぜダメなのかわかっていて自分で納得できていること、それ自体なかなか素直にできる人はいないし、わかっていれば必ずできるようになるから何度でもやる」と言ってくださいました。

正直、習うということに素直になれる自信がなく、細かいこと言われるのも苦手な自分はレッスンもすぐ辞めてしまうかもと思いながら始めたけど、自分の発声に関する違和感やまだできるという気持ち、どんだけ細かくても前に進めるまで付き合ってくださり、まあいつも全部見抜かれたので笑、続けることができた。

2020年、コロナが流行して、一時期はレッスンそのものができなくなり、少しずつ再開した頃に先生ご自身の闘病のため休職という形が長く続いていました。他の人のレッスンを受けることも考えたけど、できればまた先生のレッスンを受けたくて、待っていたと思う。叶わなかったけど、当時の録音とかコロナ中にレッスンできるように残してくださった音源で今も個人練習は続けています。

あらためてレッスン前後の録音聴くと違う人なのではレベルで変わったと思う、Evraakの曲は山口先生のレッスンを受けていなかったら歌えなかっただろうなと本当に思います。3年という短い期間だけどイタリア式声楽を学んで、その後イタリアでCDをリリースできたんですよ、私の今の歌はまじで山口先生なしには有り得なかった。本当にありがとうございました。

お通夜当日は、秘境祭の出演と重なってしまい伺えなかったのですが、自分なりにライブにも想いを乗せたつもりです。届いていればいいな。あんなノイズボイスは怒られそうだけど笑。本当に感謝しています。ありがとうございました。

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